日別アーカイブ: 2019年8月4日

触媒反応

触媒反応

1 触媒

反応中にある物質を加えることで、反応が早くなることがある。例えば、N2とH2を混合し、加熱してもほとんどアンモニアNH3は生成されないが、酸化鉄を加えることにより、アンモニア生成されやすくなる。酸化鉄のようにそれ自身は化学変化を受けないが、反応を促進させる物質を触媒という。触媒が反応を促進させる理由については、触媒が活性化エネルギーを低下させるためである。

なお、触媒は活性化エネルギーを低下させ、反応を促進させるが、反応熱を変化させないため、反応による熱の出入り(吸熱、発熱)には影響を与えない。


2 特殊酸塩基触媒(pH)

 反応によっては、[H]や[OH]が触媒となり、反応のしやすさ(反応性)に影響を与える場合がある。このように[H]や[OH]が触媒作用を示す場合、[H]を特殊酸触媒、[OH]を特殊塩基触媒という。

k=kH[H]+kOH[OH

kHは水素イオンの触媒定数、kOH:水酸化物イオンの触媒定数

<特殊酸触媒[H]が反応性に影響を与える場合>
[H] により反応性が変化する場合、速度定数の式はk=kH[H]で表される。pHと[H]の関係については、[H]=10pHであることから、pHが1低下するごとに[H]が10倍になる。これらのことから、[H] により反応性が変化する場合については、pHが1低下するごとに速度定数が10倍になる(速度定数の常用対数は1ずつ増加する)。

<特殊塩基触媒[OH]が反応性に影響を与える場合>
 [OH] により反応性が変化する場合、速度定数の式は、k=kOH[OH]で表される。pHの増加に伴って、[OH]が増加し、それによりkも増加する。

<[H]、[OH]が反応性に影響を与える場合>
速度定数の式については、k=kH[H]+kOH[OH]で表される。
酸性(pHが低い)側では、[H]≫[OH]であることから、速度定数kは主に[H]の影響を受け変化し、アルカリ性(pHが高い)側では、[H]≪[OH]であることから、速度定数kは主に[OH]の影響を受け変化する。

なお、[H]、[OH]の両方に反応性が影響を受ける場合については、一般に中性付近でkの値が最小値を示すことから、中性付近のpHで最も安定である。


3 一般酸塩基触媒

酸や塩基として加えた化合物が反応性に影響を与える場合がある。この場合における酸や塩基については、特殊酸触媒、特殊塩基触媒と区別するために一般酸触媒、一般塩基触媒といわれる。
例えば、ある反応に酢酸を加えると、速度定数が大きくなることがある。この場合、酢酸は一般酸触媒として作用している。


4 酵素反応

 酵素とは、触媒作用を有するタンパク質のことであり、生体内の反応を加速させる。酵素は、以下に示す特徴を有していることから、優れた触媒作用を示す。
①:基質特異性を有する(ある特定の物質のみに作用する)。
②:反応特異性を有する(ある特定の生成物を与える)。
③:温和な条件で高い活性を示す。

酵素反応の速さについては、ミカエリス−メンテン機構より詳細を知ることができる。ミカエリス−メンテン機構では、第一段階で酵素Eと基質Sが結合した酵素−基質複合体ESが生成し、その後、第二段階で複合体から生成物Pができ、酵素Eが遊離する。

上記のように酵素反応は2段階反応であり、その反応速度はミカエリス−メンテン式により表される。

ただし、Vmaxを最大消失速度、Kmをミカエリス定数とする。ミカエリス定数Kmは、酵素と基質の親和性を示しており、ミカエリス定数Kmが大きい場合は、酵素と基質の親和性が低く、ミカエリス定数Kmが小さい場合は酵素と基質の親和性が高い。
ミカエリス−メンテン式をもとに反応速度vと基質の濃度[S]の関係をプロットすると、下記のようなグラフが得られる。

グラフからわかるようにミカエリス定数に比べ基質の濃度が低い([S]≪Km)場合、反応速度は基質の濃度に比例して大きくなっていることから、1次反応速度式に従って反応が進行している。一方、ミカエリス定数に比べ基質の濃度が高い([S]≫Km)場合、反応速度は基質の濃度に無関係であることから、0次反応速度式に従って反応が進行している。また、[S]=Kmのとき、v=Vmax/2となることから、ミカエリス定数Kmは、最大速度の半分の反応速度になる基質濃度と同じ値を示す。

1) ミカエリス定数、最大速度の測定
 ミカエリス定数Km、最大速度Vmaxは、ミカエリス−メンテン式により酵素反応を評価するにあたって重要なパラメータである。
ミカエリス定数Km、最大速度Vmaxについては、ラインウィーバー・バーグプロットを用いることで正確に求めることができる。ミカエリス−メンテン式の両辺に逆数をとると、下記の式(ラインウィーバー・バーグ式)が得られる。

この式をもとにグラフを作成すると、ラインウィーバー・バーグプロットが得られ、縦軸切片が1/Vmax、横軸切片が-1/Kmとなり、縦軸切片よりVmaxが得られ、横軸切片からKmが得られる。また、傾きがKm /Vmaxであることから、傾きよりKm とVmaxの比を求めることができる。

2) 酵素阻害反応(競合的阻害、非競合的阻害)
 酵素反応が非可逆的に抑制される現象を失活といい、酵素反応が可逆的に抑制される現象を阻害という。阻害には、競合(拮抗)阻害、非競合(非拮抗)阻害があり、阻害現象を引きこす物質を阻害剤という。

①:競合(拮抗)阻害
基質と同一の部位に結合する阻害剤により認められる現象。
阻害剤が基質と同一の部位に結合することにより、基質が酵素に結合しにくくなり、反応が抑制される。

競合(拮抗)阻害では、阻害剤を添加することで、Vmax/2に到達する基質の濃度(Km)は増加するが、基質の濃度の増加と共に阻害剤の影響が小さくなる(ほぼ無視できる状態になる)ため、Vmaxは変化しない。

②:非競合(拮抗)阻害
基質と異なる部位に結合する阻害剤により認められる現象。
酵素及び基質−酵素複合体において、阻害剤が基質と異なる部位に結合し、酵素の活性が低下することにより、反応が抑制される。

非競合(拮抗)阻害では、阻害剤を添加することで酵素活性が低下するため、Vmaxが変化するが、Vmax/2に到達する基質の濃度(Km)は変化しない。

Vmaxは低下するため、1/Vmaxは増加し、Km変化しないため、-1/Kmも変化しない。

第104回薬剤師国家試験 問145

第104回薬剤師国家試験 問145

一般病床に280人が入院し、外来患者に係る取扱い処方箋数が150枚である地域医療支援病院における、医療法で規定された薬剤師の員数について、正しいのはどれか。1つ選べ。ただし、この病院は特定機能病院又は臨床研究中核病院ではないものとする。

1 3人
2 4人
3 5人
4 6人
5 7人

 

 

 

 

 

 


解答
4


解説
一般病院(特定機能病院及び臨床研究中核病院を除く病院)における薬剤師の員数は以下の式より求めることができる。

上記の式より、設問の病院の医療法で規定された薬剤師の員数は以下のように求めることができる。

なお、特定機能病院の薬剤師の員数は、入院患者30人ごとに1人、外来調剤数80ごとに1人と規定されている。

第104回薬剤師国家試験 問144

第104回薬剤師国家試験 問144

薬剤師法に基づいて薬剤師又は薬局開設者が行った業務に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 薬剤師が、販売又は授与の目的で調剤した薬剤の適正な使用のため、患者に対し必要な情報を提供し、薬学的知見に基づく指導を行った。
2 薬剤師が、処方箋中に疑わしい点があったので、その処方箋を交付した医師に問い合わせたが連絡がつかなかったため、後で確認することにして調剤して交付した。
3 薬局開設者が、患者から希望があったので、調剤済みとなった処方箋を、すぐに患者に返した。
4 薬剤師が、分割調剤を行ったので、処方箋に必要な事項を記載し、調剤録への記載は省略した。
5 薬局開設者が、調剤録を最終の記載日から3年間保存したのち廃棄した。

 

 

 

 

 

 


解答
1、5


解説
1 正
2 誤
薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。(薬剤師法24条)
3 誤
薬局開設者は、当該薬局で調剤済みとなった処方せんを、調剤済みとなった日から3年間、保存しなければならない。(薬剤師法27条)
4 誤
薬剤師は、薬局で調剤したときは、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記載しなければならない。ただし、その調剤により当該処方せんが調剤済みとなったときは、この限りではない。(薬剤師法28条)
分割調剤を行い、調剤済みとならなかった場合、処方せんに必要事項を記載するとともに、調剤録へも必要事項を記載しなければならない。
5 正
薬局開設者は、当該薬局で調剤済みとなった処方せんを、調剤済みとなった日から3年間、保存しなければならないとされていることから、調剤録を最終の記載日から3年間保存したのち廃棄することは問題ない。 

ホクナリンテープ0.5mg/1mg/2mg(ツロブテロール)

ホクナリンテープ0.5mg/1mg/2mg(ツロブテロール)

名称

商品名:ホクナリンテープ
一般名:ツロブテロール


剤形、規格

テープ剤:0.5mg、1mg、2mg


構造


薬効分類

経皮吸収型気管支拡張剤


薬効薬理・作用機序

ツロブテロールは、気管支の交感神経アドレナリンβ2受容体(Gsタンパク質共役型)に作用することでアデニル酸シクラーゼを活性化する。それにより細胞内cAMPが増加し、気管支拡張作用を示す。

下田武

本剤は、TCS(経皮時間制御送達システム)により持続的な気管支拡張作用を示すとされており、就寝前に貼付することにより気管支喘息で問題となるモーニングディップ(早朝の呼吸機能低下)を抑制するとされています。


適応症、服用方法、使用方法

・下記疾患の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解
気管支喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫

<成人>
通常、ツロブテロールとして2mg、胸部、背部又は上腕部のいずれかに貼付する。

<小児>
通常、ツロブテロールとして0.5〜3歳未満には0.5mg、3〜9歳未満には1mg、9歳以上には2mgを1日1回、胸部、背部又は上腕部のいずれかに貼付する。


使用できない場合(禁忌)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者


使用するにあたっての注意事項

1.気管支喘息治療における長期管理の基本は、吸入ステロイド剤等の抗炎症剤の使用であり、吸入ステロイド剤等により症状の改善が得られない場合、あるいは患者の重症度から吸入ステロイド剤等との併用による治療が適切と判断された場合にのみ、本剤と吸入ステロイド剤等を併用して使用すること。
本剤は吸入ステロイド剤等の抗炎症剤の代替薬ではないため、患者が本剤の使用により症状改善を感じた場合であっても、医師の指示なく吸入ステロイド剤等を減量又は中止し、本剤を単独で用いることのないよう、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に注意を与えること.

下田武

小児喘息治療管理ガイドライン2017では、本剤は短期追加薬に分類され、長期管理中に一過性のコントロール悪化が認められた場合に数日から2週間以内で使用するとされています。

2.気管支喘息治療の長期管理において、本剤の投与期間中に発現する急性の発作に対しては、短時間作動型吸入β2刺激薬等の他の適切な薬剤を使用するよう患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に注意を与えること.
また、その薬剤の使用量が増加したり、効果が十分でなくなってきた場合には、喘息の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し治療を受けるよう患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に注意を与えると共に、そのような状態がみられた場合には、生命を脅かす可能性があるので、吸入ステロイド剤等の増量等の抗炎症療法の強化を行うこと.

3.用法・用量通り正しく使用しても効果が認められない場合(目安は1〜2週間程度)は、本剤が適当でないと考えられるので、使用を中止すること.なお、小児に使用する場合には、使用法を正しく指導し、経過の観察を十分に行うこと.

4.用法・用量を超えて使用を続けた場合、不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあるので、用法・用量を超えて使用しないように注意すること.


副作用

<主な副作用>
振戦、心悸亢進、適用部位掻痒感、接触性皮膚炎 など

<重大な副作用>
1)アナフィラキシー
2)重篤な血清カリウム値の低下

下田武

本剤はアデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMPを増加させ、Kの細胞内への取り込みを促進させることで血清カリウム値を低下させるとされています。
また、他の喘息治療薬(副腎皮質ステロイド性薬など)でも低カリウム血症を誘発することがあるため、低カリウム血症には注意する必要がある。


体内動態

単回投与時の血中濃度推移(小児)


飲み合わせ(相互作用)

<併用注意>
・カテコールアミン製剤
(アドレナリン 、イソプロテレノール等)
臨床症状・措置方法
臨床症状:不整脈,場合によっては心停止を起こすおそれがある.
機序・危険因子
機序:本剤及びカテコールアミン製剤はともに交感神経刺激作用を持つ.

・キサンチン誘導体
(テオフィリン 、アミノフィリン水和物 、ジプロフィリン等)
臨床症状・措置方法
臨床症状:低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある.
機序・危険因子
機序:本剤及びキサンチン誘導体はともに細胞内へのカリウム移行作用を持つ.

ステロイド剤
(プレドニゾロン、ベタメタゾン 、ヒドロコルチゾン等)
臨床症状・措置方法
臨床症状:低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある.
機序・危険因子
機序:ステロイド剤及び利尿剤は尿中へのカリウム排泄を増加させる.

・利尿剤
(トリクロルメチアジド 、フロセミド 、アセタゾラミド等
臨床症状・措置方法
臨床症状:低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある.
機序・危険因子
機序:ステロイド剤及び利尿剤は尿中へのカリウム排泄を増加させる.


(注意事項)
作成日時の時点における医薬品情報を使用して作成しております。
医薬品を使用する前には、必ず最新の添付文書を確認するようにしてください。