薬物の標的分子

講義動画 薬物の標的となる場所として、受容体、酵素、イオンチャネル、トランスポーターなどがある。本章では、薬物の標的となる受容体、酵素、イオンチャネル、トランスポーターについて概説する。 1 受容体 受容体はタンパク質で構成されており、受容体に生体内伝達物質(神経伝達物質、ホルモン、オータコイドなど)や薬物が結合すると細胞内シグナルが発生する。受容体には細胞膜上に存在するものや細胞質、核に存在するものがある。 細胞膜上に存在する受容体は、アゴニストが結合した際に生じるシグナルの伝達様式から3種類に分類することができる。 ①グアノシン三リン酸(GTP)結合タンパク質と共役するもの ②イオンチャネル内蔵型のもの ③受容体に酵素部位を有するもの 見出しタイトル 受容体の詳細については、「受容体と情報伝達系」を参照してください 2 酵素 酵素は、生体内に存在する高分子タンパク質であり、生体内反応を促進する作用を有する。薬物の中には、酵素反応を促進または阻害することにより効果を示すものが存在する。 3 イオンチャネル イオンチャネルには、Ca2+チャネル、Na+チャネル、K+チャネル、Cl-チャネルが存在する。 1)Ca2+チャネル  細胞内のCa2+濃度は、細胞外に比べ1000分の1〜10000分の1程度であり、筋収縮、ホルモンの分泌、神経伝達物質の放出には、細胞内のCa2+濃度の上昇が必要である。細胞内Ca2+濃度の上昇には、細胞外からのCa2+の流入と、細胞内でのCa2+の遊離が関与しており、Ca2+チャネルは、細胞外からのCa2+の流入、細胞内貯蔵部位からのCa2+の遊離経路として重要な役割を果たしている。 2)Na+チャネル Na+チャネルには、電位依存性Na+チャネルとアミロライド感受性Na+チャネルが存在する。 3)K+チャネル  K+チャネルには、多種多様なものが存在するが、一般に活性化することにより膜電位を負に傾ける。静止膜電位の形成や調節、活動電位の再分極、K+の輸送に関与している。 4)Cl-チャネル  Cl-チャネルには、電位依存性Cl-チャネル、カルシウム依存性Cl-チャネル、細胞容積感受性Cl-チャネルなどが存在し、静止膜電位の形成や調節、活動電位の再分極、細胞膜興奮調節、水輸送などに関与している。 4 トランスポーター トランスポーターは、生体膜表面や細胞小器官膜に存在し、様々な物質(有機物質、イオンなど)の輸送に関与している。トランスポーターには、ATPを利用することにより濃度勾配に逆らった輸送をする能動輸送系、複数の基質を同じ方向に輸送する共輸送系、2つの基質を逆の方向に輸送する逆輸送系が存在する。 1)有機物質トランスポーター 2)イオントランスポーター  イオントランスポーターには、共輸送系として、Na+−K+−2Cl-、Na+−Cl-、K+−Cl-、Na+−HCO3-、逆輸送系として、Na+−H+、Na+−Ca2+、Cl-−HCO3-が存在する。 薬物の標的分子 PDF → Read More

アゴニストとアンタゴニスト

アゴニストとアンタゴニスト 1 薬物の併用 薬物Aに薬物Bを併用することにより相互作用が認められることがある。薬物Aを単独で用いる場合よりも作用が増強する場合を「協力」といい、減弱される場合を「拮抗」という。協力作用には、相加作用と相乗作用がある。 2 拮抗 1)薬理学的拮抗 2種類の薬物の薬理作用が拮抗する場合を薬理学的拮抗という。薬理学的拮抗には、競合的拮抗と非競合的拮抗がある。 2)拮抗作用と用量−反応曲線 (1)競合的拮抗 競合的アンタゴニストが存在すると、アゴニストの用量−反応曲線は、高濃度側へ平行移動する。 競合的アンタゴニストの作用の強さを表す指標として、pA2値(アゴニストによる用量−反応曲線を2倍だけ高濃度側に平行移動させるのに必要な競合的アンタゴニストのモル濃度の負の常用対数値)を用いる。 (2)非競合的拮抗 非競合的アンタゴニストが存在すると、アゴニストの用量−反応曲線は、平行移動せず、縦に圧縮された形になる。 非競合的アンタゴニストの作用の強さを表す指標として、pD’2値(アゴニストによる用量−反応曲線の最大反応を50%に抑制するのに要する非競合的アンタゴニストのモル濃度の負の常用対数)を用いる。 関連問題 第97回問27、第100回問151、第101回問27、第102回問26 アゴニストとアンタゴニスト PDF → Read More