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第104回薬剤師国家試験 問179

第104回薬剤師国家試験 問179

意識障害に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 意識障害の原因として、脳の器質的な障害に加え、全身性疾患による二次的な脳の機能障害が考えられる。
2 意識障害の評価法として Glasgow Coma Scale(GCS)が用いられる。
3 意識障害の状態を指標化して表した Japan Coma Scale(JCS)は、覚醒の程度を4段階に分けて評価する。
4 認識内容に異常があるが、意識混濁を伴わない状態をせん妄状態という。
5 強い痛覚刺激によってのみ覚醒し、刺激が無くなると直ちに眠ってしまう状態を昏睡状態という。

 

 

 

 

 


解答
1、2


解説

1 正
意識障害の原因として、脳の器質的な障害に加え、心血管疾患、低血糖、電解質異常、尿毒症、高アンモニア血症などによる二次的な脳の機能障害がある。
2 正
Glasgow Coma Scale(GCS)は、意識状態を開眼機能、言語機能、運動機能の3要素に分けてスコア化し、意識障害を評価する方法である。
3 誤
Japan Coma Scale(JCS)は、意識状態を覚醒度によって3段階に分け、これをさらに3段階に分けることにより意識障害の状態を評価する方法である。
4 誤
せん妄は、突然起こる意識障害と精神機能障害であり、認識機能(幻覚など)の異常とともに、短時間で認められる軽度〜中等度の意識混濁を伴う。
5 誤
昏睡状態とは、強い痛覚刺激を与えても全く反応しない状態のことである。なお、設問の記述は昏迷状態に関する記述である。

第104回薬剤師国家試験 問178

第104回薬剤師国家試験 問178

腹痛に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 腹痛は、神経痛と体性痛の2つに分類される。
2 腹膜刺激によって起こる痛みは、体性痛である。
3 腹部全体に痛みがある腸重積症は、急性腹症である。
4 右下腹部痛及び発熱があると、胃食道逆流症が疑われる。
5 左側腹部痛、発熱、黄疸があると、胆嚢炎が疑われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解答
2、3


解説
1 誤
腹痛は発生のしくみなどにより、内臓痛、体性痛、関連痛に分類される。
・内臓痛
食道、胃、小腸、大腸などの炎症や閉塞、肝臓や脾臓などの炎症や腫脹による圧迫、臓器被膜の急激な伸展が原因で発生する自律神経を介した痛み
・体性痛
皮膚や骨、関節、筋肉、結合組織に対する機械的刺激により発生する脊髄神経知覚伝導路を介する痛み
・関連痛
病巣の周囲や病巣から離れた場所により発生する痛み
2 正
解説1参照
3 正
腸重積症は、回腸が大腸の中に入り込むことによって腸閉塞をきたす疾患であり、急性腹症に該当する。なお、急性腹症とは、急激に発症した激しい腹痛のことであり、緊急手術を必要とする可能性の高い急病の総称である。
4 誤
右下腹部痛及び発熱があるときは、急性虫垂炎が疑われる。なお、胃食道逆流症では、胸の痛みを感じることがある。
5 誤
胆嚢炎では、右上腹部痛、発熱、黄疸が認められる。

トリプタン製剤

概要

トリプタン製剤は、片頭痛の前兆時、片頭痛発作時に第一選択薬として用いられている。
最近では、トリプタン乱用頭痛が問題となっている。

トリプタン乱用頭痛
トリプタン製剤を頻回使用することにより誘発される頭痛
3ヶ月を超えて月に10回以上トリプタン製剤を使うとトリプタン乱用頭痛になる


一般名(商品名)、剤形

・スマトリプタン(イミグラン)
<錠、注、点鼻>
・ゾルミトリプタン(ゾーミック)
<錠、RM錠>
・リザトリプタン安息香酸塩(マクサルト)
<錠、RPD錠>
・エレトリプタン臭化水素酸塩(レルパックス)
<錠>
・ナラトリプタン(アマージ)
<錠>


薬理作用、作用機序

セロトニン5−HT1B1D受容体を刺激する。
セロトニン5−HT1Bを刺激することにより血管を収縮させ片頭痛による拍動痛を鎮める。三叉神経終末にあるセロトニン5−HT1Dを刺激することにより神経原性炎症の原因となる物質の放出を抑制する。


各製剤の特徴

スマトリプタン(イミグラン)
・片頭痛の急性期に用いられる
・注射剤は、片頭痛、群発頭痛に用いられる
・作用時間が短い(短時間作用型)
・内服以外に注射や点鼻薬もある
・吸収率が低い

ゾルミトリプタン(ゾーミック)
・片頭痛の急性期に用いられる
・作用時間が短い(短時間作用型)
・中枢移行性が良く、副作用として眠気などが現れやすい

リザトリプタン安息香酸塩(マクサルト)
・片頭痛の急性期に用いられる
・作用時間が短い(短時間作用型)
・中枢移行性が良く、使用2時間後の頭痛消失率が高い

エレトリプタン臭化水素酸塩(レルパックス)
・片頭痛の急性期に用いられる
・作用時間が長い(長時間作用型)
・作用時間が長く、同日の再発が少ない

ナラトリプタン(アマージ)
・作用時間が長い(長時間作用型)
・5剤の中でもっとも半減期が長い
・他のトリプタン製剤(追加投与する際には2時間間隔をあける)と異なり、追加投与する際には4時間間隔をあける必要がある
・効果持続と再発抑制が認められるとともに副作用が少ない


(注意事項)
作成日時の時点における医薬品情報を使用して作成しております。
医薬品を使用する前には、必ず最新の添付文書を確認するようにしてください。

第104回薬剤師国家試験 問177

第104回薬剤師国家試験 問177

放出制御型製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 硫酸鉄を含むグラデュメット型製剤は、イオン交換樹脂に鉄を吸着させて、消化管内のイオンとの交換反応により徐放させる製剤である。
2 パリペリドンを含む浸透圧ポンプ型製剤は、薬物とそれを押し出す駆動力となる電解質を高分子マトリックスに分散させた徐放性製剤である。
3 チモロールマレイン酸塩と添加剤であるメチルセルロースを含む持続性点眼剤は、熱可逆的ゾル−ゲル相転移特性を利用して、結膜嚢での薬物の長時間滞留を可能にした製剤である。
4 オキシブチニン塩酸塩を含む経皮吸収型貼付剤は、マトリックス型構造を有し、貼付後、血中薬物濃度を長時間維持できる製剤である。
5 ブセレリン酢酸塩を含むエチレン・酢酸ビニル共重合体からなる生分解性マイクロカプセルは、皮下投与後、長期にわたり薬効を持続できる製剤である。

 

 

 

 

 

 

 

 


解答
3、4


解説
1 誤
イオン交換樹脂を用いて、消化管内のイオンと交換させることにより薬物を放出させる製剤は、レジネート型製剤である。 なお、グラデュメット製剤は、多孔性プラスチックの格子の間に薬物を含有させた製剤である。
2 誤
パリペリドンを含む浸透圧ポンプ型製剤は、薬物層とプッシュ層を放出制御膜で包んだ製剤であり、水が浸透することによりプッシュ層が膨張し、薬物が放出される。

3 正
チモロールマレイン酸塩と添加剤であるメチルセルロースを含む持続性点眼剤は、温度の上昇によりゲル化(固体状になる)するメチルセルロースを添加することにより薬物の長時間滞留を可能にしている。
4 正
5 誤
ブセレリン酢酸塩を含む生分解性マイクロカプセルは、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体でできており、生体内で徐々に加水分解されることにより徐放化を可能にしている。

第104回薬剤師国家試験 問176

第104回薬剤師国家試験 問176

容器・包装に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 日本薬局方製剤包装通則における包装適格性には、製剤の保護、製剤と包装の適合性、包装に用いる資材の安全性及び投与時の付加的な機能が含まれる。
2 日本薬局方において気密容器の規定がある場合、密閉容器を使用して保存することができる。
3 押出しチューブは、軟膏剤等の内容物を押し出せる柔軟性をもつ容器で、材質に金属やプラスチックが用いられる。
4 輸液剤の容器で利用されるプラスチックバッグは密封容器である。
5 プラスチックのシートを加熱成形してくぼみを作り、その中に製剤を入れる包装形態は SP(Strip Packaging)と呼ばれる。

 

 

 

 

 

 


解答
1、3


解説
1 正
包装適格性には、製剤の保護、製剤と包装の適合性、包装に用いる資材の安全性及び投与時の付加的な機能の要素が含まれる。

2 誤
密閉容器は、気密容器の条件を備えていないため、日本薬局方において気密容器の規定がある場合、密閉容器を使用して保存することはできない。

3 正
4 誤
輸液剤の容器で利用されるプラスチックバッグは気密容器である。
5 誤
SP(Strip Packaging)包装とは、熱可塑性高分子フィルム側を内側とし、2枚のラミネートフィルムを重ね周囲を加熱圧着した包装のことである。なお、設問の記述は、PTP(press through package)に関する記述である。

第104回薬剤師国家試験 問174

第104回薬剤師国家試験 問174

ある薬物の静注用の水性注射剤の製造工程を図に示した。本注射剤及びその製 造工程に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 アの操作として、高圧蒸気法を用いなければならない。
2 イの操作は、10-6以下の無菌性保証水準が得られる条件で行われる。
3 容器Aは、日本薬局方一般試験法のエンドトキシン試験法に適合しなければならない。
4 溶剤Bは、日本薬局方一般試験法の発熱性物質試験法に適合しなければならない。
5 充てんは、表示量の±5%の範囲で行う。

 

 

 

 

 

 


解答
2


解説
1 誤
製造工程のアでは、ガラスアンプルの滅菌を行なっている。ガラスアンプルの滅菌では、加熱法である高圧蒸気滅菌(湿熱滅菌法)や乾熱滅菌法を用いることができる。
2 正
製造工程のイでは、ガラスアンプルに充てんした静注用の水性注射液の滅菌を行なっている。この方法のように製剤を充てんした後に滅菌する方法を最終滅菌法という。最終滅菌法は、通例、適切な滅菌指標体を用いるなどして、10-6以下の無菌性保証水準を担保する条件において行う。
3 誤
容器Aは、ガラスアンプルであるため、注射剤用ガラス容器試験法に適合しなければならないが、エンドトキシン試験法に適合する必要はない。
4 誤
溶剤B(注射用水)は、エンドトキシン試験法に適合すれば、発熱性物質試験法に適合する必要はない。
5 誤
注射剤は、採取容量試験法(表示量よりやや過剰に採取できる量が容器に充てんされていることを確認する試験法)に適合するために、表示量よりも多く充てんされていなければならない。

第104回薬剤師国歌試験 問258〜259

第104回薬剤師国歌試験 問258〜259

63 歳男性。根治切除不能な悪性黒色腫と診断され、外来化学療法でニボルマブが投与されることになった。薬剤師が初回投与時に患者のもとを訪れ、抗がん薬の特徴や注意すべき副作用の説明を行うことになった。


問258(実務)
ニボルマブの市販後に報告されている以下の副作用のうち、その作用機序から考えて、間接的に生じると思われる副作用として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 間質性肺炎
2 低血糖
3 重症筋無力症
4 下痢
5 甲状腺機能障害

 

 

 

 

 


解答
2


解説
ニボルマブは、モノクローナル抗体であり、活性型T細胞の表面に発現するPD−1に作用し、PD−1とPD−L1及びPD−L2との結合を阻害することによりT細胞への抑制シグナルを減少させることで、がん細胞に不応答となっていた腫瘍抗原特異的なT細胞の再活性化作用を示す。ニボルマブはT細胞活性化作用を有していることから、過剰な免疫反応による副作用が発現することがある。

過剰な免疫反応により起こる副作用
間質性肺炎、重症筋無力症、心筋炎、大腸炎、小腸炎、重度の下痢、1型糖尿病、血液障害、肝機能障害、甲状腺機能障害、下垂体機能障害、神経障害、腎障害、副腎障害、脳炎、皮膚障害 など

選択肢のうち、過剰な免疫反応により、間接的に生じると思われる副作用は、低血糖である。ニボルマブを投与すると、甲状腺機能障害や下垂体機能障害、副腎障害が起こることにより血糖上昇ホルモン(甲状腺ホルモン、成長ホルモン、副腎髄質ホルモン、副腎皮質ホルモン)が分泌されにくくなり、低血糖を起こすと考えられる。


問259(薬理)

ニボルマブは別の薬物を併用すると作用増強が現れる。理論的に考えて、同一細胞における別の標的分子に働くことで、ニボルマブと相乗作用を示すと考えられる併用薬の作用点として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 RANKL(NF−κB活性化受容体リガンド)
2 CD20
3 CTLA−4(細胞傷害性Tリンパ球抗原−4)
4 VEGFR2 (血管内皮増殖因子受容体2型)
5 HER2 (ヒト上皮増殖因子受容体2型)

 

 

 

 

 

 


解答
3


動画解説


解説
ニボルマブの作用を増強させる目的で、ニボルマブと併用される薬としてイピリムマブがある。イピリムマブは、モノクローナル抗体であり、活性化T細胞表面に発現するCTLA−4に作用し、CTLA−4と抗原提示細胞に存在するCD80/CD86との結合を阻害することによりT細胞への抑制シグナルを減少させることで、腫瘍抗原特異的なT細胞の増殖、活性化作用を示す。また、制御性T細胞(Treg)の機能低下及び腫瘍組織におけるTreg数の減少により腫瘍免疫反応を亢進させ、抗腫瘍効果を示すと考えられる。

第104回薬剤師国歌試験 問175

第104回薬剤師国歌試験 問175

コーティングを施した固形製剤の溶出性を調べたところ、下図の結果が得られた。この薬物溶出を示す製剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。ただし、薬物の溶解度は試験液のpHに依存せず、薬物と添加剤の相互作用はないものとする。

 

 

 

 

 

 

 

 


解答
3


解説
設問の図よりpH1.2、pH6.0の試験液では薬物は溶出せず、pH7.0の試験液で薬物が溶出していることを確認することができる。このことから、本製剤は、腸溶性製剤であると考えられる。選択肢のうち、腸溶性製剤は、メタクリル酸コポリマーSでコーティングされている選択肢3の製剤である。なお、選択肢1、2、5の製剤は即放性部分があるため、pH1.2、pH6.0の試験液で薬物が溶出する。また、選択肢4の製剤はヒプロメロースにより胃溶性コーティングされているため、pH1.2、pH6.0の試験液で薬物が溶出する。

第104回薬剤師国家試験 問173

第104回薬剤師国家試験 問173

ある固体薬物Aに粉砕や再結晶などの処理を行ったところ、下図の粉末X線回折パターンを示す固体a、b、cが得られた。別の方法で再結晶を行ったところ、異なる回折パターンを示す固体dが得られた。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。 ただし、粉末X線回折測定に必要な前処理により、薬物Aの化学変化や固体組成の変化は生じないものとする。

1 固体a〜dの回折パターンを比較することにより、それぞれの結晶の外観の相違を判断できる。
2 固体aと固体bの回折パターンを比較することにより、固体aの水分量は固体bより多いことが判断できる。
3 固体aと固体dの回折パターンから、両者の結晶の単位格子の大きさが異なっていることが判断できる。
4 固体bと固体dは、結晶多形の関係にあると判断できる。
5 固体cの回折パターンから、本品の結晶性は著しく低いことが判断できる。

 

 

 

 

 

 


解答
4、5


解説
粉末X線回折パターンから得られる回折図については、以下の特徴を示す。
・同じ結晶構造を有する(単位格子の大きさが同じ)ものは、同じ回折角の部分に回折強度が強く現れる。
・異なる結晶構造を有する(単位格子の大きさが異なる)ものは、異なる回折角の部分に回折強度が強く現れる。
・結晶構造を有していないもの(非晶質)は、明確な回折強度は現れない。
上記より、固体a、dは同じ回折角度に回折強度が現れていることから、固体a、dは単位格子の大きさが同じであり、固体a、dと固体bでは、異なる回折角度に回折強度が現れていることから、固体a、dと固体bは異なる結晶構造を有している(結晶多型である)と考えられる。また、固体cは明確な回折強度が現れていないことから、結晶性が著しく低い(非晶質である)と考えられる。

分析バリデーション

バリデーション

 バリデーションとは、医薬品の製造工程、手順、品質管理の方法に問題ないかを検証することである。バリデーションには様々なものがあり、分析法を対象としたものを分析法バリデーションという。

分析法バリデーション

分析法バリデーションとは、医薬品の試験法に用いる分析法が適切であるかを検証することであり、日本薬局方では、以下のように定義されている。
分析法バリデーションとは、「医薬品の試験法に用いる分析法が、分析法を使用する意図に合致していること。すなわち、分析法の誤差が原因で生じる試験の判定の誤りの確率が許容できる程度であることを科学的に立証することである。」と定義されている。

分析能パラメーター

分析法バリデーションでは、分析法の妥当性を示すために評価する必要があるパラメーターが定められている。このパラメーターを分析能パラメーターという。分析能パラメーターには、「真度」「精度」「特異性」「検出限界」「定量限界」「直線性」「範囲」がある。


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