日別アーカイブ: 2019年7月15日

第104回薬剤師国家試験 問106

図は桂皮酸イソプロピルエステル[C6H5CH=CHCOOCH(CH3)2]の1H–NMR スペクトル[300 MHz、CDCl3、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)]である。このスペクトルに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。なお、 7.26ppmのシグナルはCDCl3 に含まれる微量のCHCl3に起因するものである。

1 1.3 ppm付近には積分値が 3H 分の一重線が2本ある。
2 5.2 ppm付近には五重線がある。
3 6.5ppm付近の二重線の結合定数が16 Hzであるとき、二重結合はE配置である。
4 矢印で示す7.5ppm付近の多重線の積分値は3H分ある。
5 最も低磁場のシグナルは、芳香環上のプロトンに由来する。

 

 

 

 

 

 

 

 


動画解説


解説
1 誤
本化合物中には、イソプロピル基(−CH(CH3)2)があるため、1.3 ppm付近には積分値が6H分の二重線が1本ある。
2 誤
5.2 ppm付近には、下線のプロトン(イソプロピル基(−CH(CH3)2 ))のシグナルが現れると考えられる。下線のプロトンの隣には等価なプロトンが6個存在するため、七重線となる。
3 正
二置換アルケンでは、E配置、Z配置により結合定数が異なる。一般にE配置では、結合定数が13〜18Hzとなり、Z配置では結合定数が7〜12Hzとなる。
4 誤
矢印で示す7.5ppm付近の多重線の積分値は2H分ある。
5 誤
最も低磁場のシグナルは、二置換アルケンに結合したプロトンに由来する。


解答
3

第104回薬剤師国家試験 問104

以下に示す反応において、反応が最も速く進行するR−Brはどれか。1つ選べ。

 

 

 

 

 

 

 

 


解説
(1)では以下の反応が進行する。

(2)(1)で生じたアニオンがハロゲン化合物に対してSN2反応を起こす。

SN2反応は、立体障害の小さいハロゲン化アルキルで進行しやすい。
選択肢1の化合物、選択肢2の化合物は、共鳴によりC−Br結合が二重結合性を帯びているため、容易に開裂できない。このことから、選択肢1、2の化合物はSN2反応を起こしにくい。選択肢3、4、5のうち、最も立体障害が小さいのは選択肢3の化合物であるため、選択肢の化合物の中でSN2反応が最も速く進行するR−Brは、選択肢3の化合物である。


解答
3

第104回薬剤師国家試験 問103

d–カンフルとその確認試験に用いられる2,4–ジニトロフェニルヒドラジンとの反応に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 脱水縮合反応である。
2 反応の進行に伴って窒素が発生する。
3 生成する有機化合物の一般名はオキシムである。
4 生成する有機化合物はオレフィン構造を持つ。
5 生成する有機化合物はベンゼン環を含む共役系を持ち、橙赤色を示す。

 

 

 

 

 

 


解説
1 正
本反応は、d−カンフルが有するカルボニル基に2,4−ジニトロフェニルヒドラジンが縮合して、2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンが生成する反応である。
2 誤
本反応では、脱水が伴うため、反応の進行に従って水が発生する。
3 誤
生成する有機化合物の一般名はヒドラゾンである。
4 誤
生成する有機化合物はオレフィン構造(C=C)ではなく、イミン構造(C=N)を有する。
5 正


解答
1、5

第104回薬剤師国家試験 問102

求核置換反応(SN反応)はどれか。2つ選べ。

 

 

 

 

 

 

 


解説
1 正
ゲラニル二リン酸に対する水の求核置換反応である。
2 正
S−アデノシルメチオニンに対するノルアドレナリンの求核置換反応である。
3 誤
オキサロコハク酸の脱炭酸反応である。
4 誤
セリンとピドキサールリン酸が結合した化合物の脱水反応(脱離反応)である。
5 誤
フルクトース1,6−ビスリン酸がジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド3−リン酸に分解される逆アルドール反応である(第103回問106参照)。


解答
1、2

第104回薬剤師国家試験 問101

以下に示すE2反応に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 化合物Aの最も安定な立体配座はⅡである。
2 脱離反応はIの立体配座のときに進行する。
3 主生成物はBである。
4 この反応はカルボカチオン中間体を経由する。
5 この反応の速度は、化合物A及びNaOC2H5のいずれの濃度にも比例する。

 

 

 

 

 

 


解説
1 正
シクロヘキサンがいす形配座となり、最も大きい置換基がエクアトリアル位にある場合、最も安定な立体配座となる。このことから、立体障害の大きい基であるイソプロピル基(−CH(CH32)がエクアトリアル位に結合したⅡの立体配座が最も安定である。
2 誤
E2反応では、脱離基とanti(trans)位にあるHが脱離して反応が進行する。Ⅰの立体配座では脱離基(Cl)がエクアトリアル位にあり、脱離するH(イソプロピル基の結合している炭素に結合したH)もエクアトリアル位にあるため、両者はanti平面上に存在しない。このことからⅠの立体配座では、E2反応は進行しない。なお、Ⅰの立体配座の化合物がE2反応する際には、環反転しⅡの立体配座となり反応が進行する。

3 誤
脱離反応は一般にザイツェフ則(HXが脱離する際、HはHの少ない方から脱離する)に従って進行する。このことから、この反応における主生成物はC(イソプロピル基が結合した炭素よりHが脱離して生成した化合物)となる。
4 誤
E2反応は、カルボカチオン中間体を経由せず進行する。なお、カルボカチオン中間体を経由して進行する反応はE1反応である。
5 正
E2反応の速度は、基質(化合物A)と試薬(NaOC2H5)のいずれの濃度にも比例する。


解答
1、5

第104回薬剤師国家試験 問114

紫外線照射によりチミン二量体が生じた大腸菌DNAのヌクレオチド除去修復の概要を図に示した。各反応を説明した文章中の(ア)〜(エ)に入る酵素の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解説
紫外線照射によりチミン二量体が生じDNAが損傷した場合、ヌクレオチド除去修飾によりDNAが修復される。
<ヌクレオチド除去修飾の概要>
①:DNA損傷を受けた部分から数塩基離れた部分がエンドヌクレアーゼにより切断される。
②:①で切断された部分がDNAヘリカーゼにより除去される。
③:DNAポリメラーゼにより②で除去された部分のDNAが合成される。
④:③によるDNA合成終了後、DNA リガーゼにより、切れ目が連結されることで修復が完了する。


解答
6

第104回薬剤師国家試験 問306〜307

82歳男性。在宅で療養しており、てんかんのため処方1の薬剤を服用していたが、今回、処方2が追加となった。この患者は独居であり、薬剤師も参加して多職種による定期的なケアカンファレンスを行っている。

問306(実務)
これらの処方に関連した副作用の1つとして、スティーヴンス・ジョンソン症候群がある。薬剤師がケアカンファレンスで、他職種に確認して欲しいと伝えるべき初期症状の中で、緊急性が最も低いのはどれか。1つ選べ。

1 のどの痛み
2 排尿・排便時の痛み
3 38 °C以上の発熱
4 唇のただれ
5 筋肉のこわばり

 

 

 

 

 

 

 

解説
スティーヴンス・ジョンソン症候群は、初期症状として、発熱(38℃以上)、目の充血、めやに(眼分泌物)、まぶたの腫れ、目が開けづらい、くちびるや陰部のただれ、排尿・排便時の痛み、皮膚の広い範囲が赤くなるなどが認められる。


解答
5


問307(法規・制度・倫理)
処方2の副作用である重篤な皮膚障害については、因果関係が否定できない死亡症例が短期間に複数報告されたことから、注意喚起がなされた。このような安全性情報を迅速に周知するために用いられる手段として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 安全性速報(ブルーレター)
2 医薬品インタビューフォーム
3 医薬品リスク管理計画(RMP)
4 医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)
5 定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解説
1 正
安全性速報は、緊急安全性情報に準じ、一般的な使用上の注意の改訂情報よりも迅速な安全対策措置をとる場合に発出される。
2 誤
医薬品インタビューフォームは、添付文書の補完と医薬品の適正使用や評価のための裏付けとなる情報などが集約された総合的な医薬品の解説書である。
3 誤
医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)は、医薬品の開発から市販後まで一貫したリスク管理をひとつの文書にわかりやすくまとめたものであり、開発段階から安全対策を実施することで、製造販売後の医薬品の安全性の確保を図ることを目的として作成される。
4 正
医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)は、医薬品・医療機器等の安全性に関する特に重要な情報が発出された際に、タイムリーにその情報を配信するメールサービスである。
5 誤
定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)とは、医薬品開発企業が安全性に関する情報を収集、分析し、ベネフィットとリスクを評価した結果をまとめた報告書のことである。


解答
1、4