日別アーカイブ: 2019年7月14日

ステロイド外用剤の強さと適切な使用法

ステロイド外用剤の強さと適切な使用法

ステロイド外用剤は抗炎症作用と血管収縮機能の強さにより5つのクラス(ストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、マイルド(ミディアム)、ウィーク)に分類されている。ステロイド外用剤は、症状の強さ及び使用部位により適切なものを選択する必要がある。


皮疹の重症度と外用薬の選択

・最重症
強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上
2歳未満:ストロング以下
2〜12歳:ベリーストロング以下
13歳以上:ベリーストロング以下
・重症
強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%以上、30%未満
2歳未満:ストロング以下
2〜12歳:ベリーストロング以下
13歳以上:ベリーストロング以下
・中等症
強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%未満
2歳未満:マイルド(ミディアム)以下
2〜12歳:ストロング以下
13歳以上:ベリーストロング以下
・軽症
面積にかかわらず軽度の皮疹のみ
全年齢において、ステロイドを含まない外用剤を選択する。

※ベリーストロングを使用しても症状が改善しない場所には、ストロンゲストのステロイド外用剤の使用を検討する。


ステロイド外用剤部位別吸収率

前腕屈側部の吸収率を1とした場合の、体の各部位における吸収率
陰嚢:42
顎:13
前額部:6
腋窩:3.6
頭部:3.5
背部:1.7
前腕背面:1.1
前腕前面:1
手掌:0.83
足裏:0.42

顔面は高い薬剤吸収率を示すことから、原則としてマイルド(ミディアム)以下のステロイド外用剤を選択する。また、腋窩、陰嚢も薬剤吸収率が高いため、副作用を起こさないように注意しながらステロイド外用剤を使用する必要がある。


ステロイド外用剤の適量について

5gチューブで人差指(第二指)の先端から第1関節まで軟膏を出すと、おおよそ0.5gとなる。ステロイド外用剤0.5 gは、成人の手のひら2枚分の使用量に該当するため、5gチューブ1本は手のひら20枚分の使用量に相当する。また、ローション剤においては、1円玉程度の大きさの量が成人の手のひら2枚分の使用量に該当する。

使用回数は1日2回(朝、夕)を原則とし、症状が軽減したら、1日1回に使用回数を減らし、さらに隔日投与、3日に1回と使用回数を減らしていく。

長期使用試験結果より、通常の成人患者に1日5gないし10g程度の初期用量で開始し、症状に合わせて漸減する使用法であれば3ヶ月間使用しても、一過性の副腎機能抑制が現れることがあるが、不可逆性の全身性の副作用は生じないとされている。


外用ステロイド剤:有効成分(商品名)

・ストロンゲスト
0.05% クロベタゾールプロピオン酸エステル
(デルモベート)
0.05% ジフロラゾン酢酸エステル
(ジフラール、ダイアコート)

・ベリーストロング
0.1% モメタゾンフランカルボン酸エステル
(フルメタ)
0.05% 酪酸プロピオン酸ベタメタゾン
(アンテベート)
0.05% フルオシノニド
(トプシム)
0.064% ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
(リンデロン DP)
0.05% ジフルプレドナート
(マイザー)
0.1% アムシノニド
(ビスダーム)
0.1% 吉草酸ジフルコルトロン
(テクスメテン、ネリゾナ)
0.1% 酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン
(パンデル)

・ストロング
0.3% プロピオン酸デプロドン
(エクラー)
0.1% プロピオン酸デキサメタゾン
(メサデルム)
0.12% デキサメタゾン吉草酸エステル
(ボアラ、ザルックス)
0.1% ハルシノニド
(アドコルチン)
0.12% ベタメタゾン吉草酸エステル
(ベトネベート、リンデロン V)
0.025% プロピオン酸ベクロメタゾン
(プロパデルム)
0.025% フルオシノロンアセトニド
(フルコート)

・マイルド(ミディアム)
0.3%吉草酸酢酸プレドニゾロン
(リドメックス)
0.1%トリアムシノロンアセトニド
(レダコート、ケナコルトA)
0.1%アルクロメタゾンプロピオン酸エステル
(アルメタ)
0.05%クロベタゾン酪酸エステル
(キンダベート)
0.1%ヒドロコルチゾン酪酸エステル
(ロコイド)

・ウィーク
0.5%プレドニゾロン
(プレドニゾロン) 

第104回薬剤師国家試験 問308〜309

58歳男性。入院中にヘリコバクター・ピロリの一次除菌を行うことになった。現在処方されている薬剤があり、除菌時の治療薬の選択について医師から薬剤師に問合せがあった。処方は、以下の薬剤を考えているとのことであった。なお、この病院ではDiagnosisProcedureCombination(DPC;診断群分類)制度に基づいて、入院患者の診療報酬を請求している。

アモキシシリン水和物
クラリスロマイシン
「 薬物A 」

<現在の処方薬>
クロピドグレル硫酸塩
プラバスタチンナトリウム
カルベジロール


問308(実務)
現在の処方薬を考慮して、薬剤師が薬物Aとして推奨するのに適切なのはどれか。2つ選べ。

1 オメプラゾール
2 ファモチジン
3 ポラプレジンク
4 ラベプラゾールナトリウム
5 ランソプラゾール 

 

 

 

 

 


解説
ヘリコバクター・ピロリの一次除菌では、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン、プロトンポンプインヒビター(PPI)の3剤併用療法を行う。選択肢のうち、オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾールはPPIに該当する。本症例では、併用薬としてクロピドグレル硫酸塩を服用していることから、CYP2C19阻害作用を有するオメプラゾールと相互作用を起こすおそれがあるため、薬物Aとして推奨すべき薬剤は「ラベプラゾールナトリウム」「ランソプラゾール」である。

<参考:オメプラゾールとクロピドグレル硫酸塩の相互作用について>
オメプラゾールがCYP2C19を阻害することにより、クロピドグレル硫酸塩の活性代謝物の血中濃度が低下する。

解答
4、5

 


問309(法規・制度・倫理)
DPC制度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 傷病名と診療行為に基づいて包括払い金額が決まる仕組みである。
2 入院中に使用する薬剤は、出来高払いで請求する。
3 手術・麻酔の費用は、出来高払いで請求する。
4 入院期間が長くなっても、包括払い金額は同じである。
5 全ての病院が、この制度を利用している。

 

 

 

 

 

 


解説
DPC制度(包括医療費支払い制度)とは、新たに導入された診療報酬制度のことであり、従来の診療報酬制度と異なり、入院期間中に治療した疾患の中で最も医療資源を投入した一疾患のみに厚生労働省で定めた1日当たりの定額の点数からなる包括評価部分(入院基本料、検査、画像診断、投薬、注射など)と出来高評価部分(手術、麻酔、放射線治療、内視鏡検査、リハビリなど)を組み合わせて診療報酬を算定する方法である。
1 正
DPC制度における包括評価部分は、傷病名と診療行為によって金額が決まっている。
2 誤
入院中に使用する薬剤は、包括評価部分に含まれている。
3 正
手術・麻酔の費用は、出来高評価部分に含まれている。
4 誤
包括払い金額は入院期間(在院日数)に応じて算定方式が異なり、入院期間が長くなると、安くなる。
5 誤
要件を満たした医療機関のみ、DPC制度を導入することができる。


解答
1、3

第104回薬剤師国家試験 問310〜311

58歳男性。肺がん、ステージIV。強い疼痛を訴えていたため、アセトアミノフェン錠とフェンタニル経皮吸収型貼付剤が投与されていた。患者の希望で緩和ケア病棟に1週間前に入院となった。腎機能は、直近のデータでCcr 20 mL/minである。入院後、疼痛コントロールが不良になったため、フェンタニル経皮吸収型貼付剤の増量が行われたが、痛みに対する効果が改善されなかった。


問310(実務)
この患者の担当薬剤師が医師に処方提案する内容として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 オキシコドン徐放錠への変更
2 コデインリン酸塩散への変更
3 プレガバリン口腔内崩壊錠への変更
4 モルヒネ硫酸塩徐放錠への変更
5 モルヒネ塩酸塩坐薬への変更

 

 

 

 

 


解説
がん性疼痛に対してフェンタニル製剤で効果が認められない場合、モルヒネ、オキシコドン塩酸塩、メサドン塩酸塩などの強オピオイド製剤を使用する(オピオイドローテーション)。高度な腎機能障害を有する患者にモルヒネを投与すると、モルヒネの代謝物(M6G、M3G)の排泄が低下し、副作用が現れやすいとされている。本症例において、患者は重度の腎機能障害状態にあるため、フェンタニル経皮吸収型貼付剤をオキシコドン徐放錠へ変更することが適切であると考えられる。

解答
1 


問311(法規・制度・倫理)

薬剤師が病室を出ようとしたところ、患者が「もう早く死んでしまいたい。家族にも迷惑をかけるし、何とかしてください。」と涙ながらに訴えた。薬剤師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 「そんなことを言わずに頑張ってください!」と激励する。
2 言われたことは誰にも伝えず、自分の心の中にしまっておく。
3 患者の訴えを医療スタッフと共有する。
4 突然の訴えに驚き、病室から立ち去る。
5 患者の話を共感しながら傾聴する。

 

 

 

 


解説
患者が悩み、つらさを訴えてきた場合、患者の話に共感しながら傾聴することが重要である。また、患者の訴えを医療スタッフ全員で共有し、サポートしていくことが重要である。


解答
3、5

第104回薬剤師国家試験 問312〜313

32歳女性。難治性の多発性骨髄腫のため、治療を目的に入院してサリドマイド製剤を服用する予定である。サリドマイドは、過去に薬害を引き起こした薬物である。

問312(実務)
病棟でのサリドマイド製剤の取扱いについて誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)を遵守する。
2 製薬会社に登録した医師のみが処方する。
3 入院中、本剤は患者の自己管理とする。
4 本剤の服用開始4週間前から本剤服用中止4週間後までは、妊娠を避けさせる。
5 本剤の管理上の責任を担う薬剤師を、製薬会社に登録する。

 

 

 

 


解説
1 正しい
サリドマイド製剤の製造販売・管理・使用するにあたっては、サイドマイド製剤安全管理手順TERMS(Thalidomide Education and Risk Management System)を遵守する必要がある。
サリドマイドは、過去に四肢奇形などの重度の先天異常や胎児死亡(薬害)を引き越したことがある。そのため、サリドマイドによる薬害を二度と繰り返さないようサリドマイドの使用と管理について厳重に監視するとともに、サリドマイドを必要とする患者に適正に使用されることを目的とし、医療従事者向けの「サイドマイド製剤安全管理手順TERMS(Thalidomide Education and Risk Management System)」が作成された。
2 正しい
3 誤っている
患者が入院した場合、医師、薬剤師等の医療従事者又はその他適切に薬剤管理を行うことのできる者が、処方医師及び責任薬剤師と協力して、カプセルシートを用いて調剤された本剤の数量管理を行う。
4 正しい
妊娠する可能性のある女性については、本剤服用開始4週間前から本剤服用中止4週間後まで妊娠を回避する必要がある。なお、男性は、本剤服用開始時から本剤服用中止4週間後まで妊娠を回避する必要がある。
5 正しい


解答
3


問313(法規・制度・倫理)
医薬品の安全対策の充実には、幾つかの薬害が関わっている。サリドマイドが引き起こした薬害が契機となって整備された制度として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 副作用報告制度
2 再審査制度
3 医薬品リスク管理計画制度
4 感染症定期報告制度
5 市販直後調査制度

 

 

 

 


解説
サリドマイドが引き起こした薬害が契機となって整備された制度は、副作用報告制度である。なお、再審査制度が導入される契機となった薬害は「キノホルムによる亜急性脊髄視神経末梢神経症(SMON)」、感染症定期報告制度が導入される契機となった薬害は「非加熱血液製剤によるHIV」、市販直後調査制度が導入される契機となった薬害は「ソリブジンとフルオロウラシルの併用による血液障害」である。

解答
1