日別アーカイブ: 2019年7月13日

第104回薬剤師国家試験 問314〜315

58歳男性。健康診断で血圧が高いことを指摘されて近医を受診し、下記の薬剤が処方された。日常的に車を使用し、ほとんど運動の習慣はない。また、長年の喫煙習慣があり、塩辛いものを好む。服薬指導時に「特に気になる症状もないし、副作用が怖いので、薬は飲まないでおこうと思っている。」と薬剤師に話をしていた。BMIは32、診察室血圧は156/101mmHg、家庭血圧は152/96mmHgであった。

問314(実務)
この患者に対する服薬指導を行う際に、薬剤師が知っておくべきこととして正しいのはどれか。1つ選べ。

1 高血圧の診断には、診察室血圧に加え、家庭血圧を測定することが重要だが、両者の値が異なる場合は診察室血圧を優先する。
2 禁煙は精神的ストレスの原因になるので、高血圧患者に対する禁煙指導は避けた方が良い。
3 降圧薬の服用により血圧がうまくコントロールできた場合、生活習慣の改善は必要ない。
4 降圧目標は、年齢や合併症の有無に応じて決められる。
5 減塩目標は、食塩10 g/日未満である。

 

 

 

 


解説
1 誤
近年、家庭血圧は診察室血圧よりも疾病リスクを予測するのに優れていることが明らかにされたことから、「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧の診断を優先する」とされている。
2 誤
高血圧を改善するために、生活習慣を改善する必要がある(禁煙、食塩制限(1日の食塩摂取量6 g未満)、アルコール制限、運動など)。
3 誤
高血圧治療の基本は、生活習慣の改善である。生活習慣の改善しても血圧が目標値に達しない場合、薬物療法を行う。
4 正
通常、降圧目標は140 mmHg/90 mmHg未満(診察室血圧)、135 mmHg /85 mmHg未満(家庭血圧)とされているが、後期高齢者、糖尿病患者・慢性腎臓病患者では降圧目標が異なる。
・後期高齢者の降圧目標
150 mmHg/90 mmHg未満(診察室血圧)、145 mmHg /85 mmHg未満(家庭血圧)
・糖尿病患者・慢性腎臓病患者の降圧目標
130 mmHg/80 mmHg未満(診察室血圧)、125 mmHg /75 mmHg未満(家庭血圧)
5 誤
解説2参照


解答
4


問315(法規・倫理・制度)

この患者は、「薬を飲まないでおこうと思っている。」という発言からも、行動変容ステージの無関心期(前熟考期)にいると考えられる。この患者を関心期(熟考期)へと促していく働きかけとして適切なのはどれか。2つ選べ。

1 患者の反応にかかわらず一方的に服薬指導や生活指導を行う。
2 健康行動の必要性や有効性について情報を提供する。
3 患者に健康行動実施の宣言をしてもらう。
4 患者の服薬に対する考えや感情(解釈モデル)を聞く。
5 主治医に連絡し、患者を説得してもらう。

 

 

 

 

 

 


解説
行動変容ステージモデルでは、人が行動を変える場合は「無関心期」→「感心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考える。
無関心期:6ヶ月以内に行動を変えようと思っていない
関心期:6ヶ月以内に行動を変えようと思っている
準備期:1ヶ月以内に行動を変えようと思っている
実行期:行動を変えて6ヶ月未満である
維持期:行動を変えて6ヶ月以上である
無関心期の患者に対しては、関心を持ってもらうための援助が必要となる。このことから、患者の考えや感情を聴取するとともに健康行動の必要性や有効性について情報提供し、現在の状況に関心をもってもらうことが有効であると考えられる。


解答
2、4

インヴェガ錠3mg、6mg、9mg(パリペリドン)

インヴェガ錠3mg、6mg、9mg(パリペリドン)

名称

商品名:インヴェガ
一般名:パリペリドン


剤形、規格

錠:3mg、6mg、9mg

下田武

本剤は、浸透圧を利用した放出制御システム(OROS)を応用した放出制御型徐放剤となっています。


構造


薬効分類

抗精神病薬


薬効薬理・作用機序

パリペリドンは、リスペリドンの活性代謝物であり、抗ドパミン作用及び抗セロトニン作用を示すことにより統合失調症の陽性症状及び陰性症状を改善する。


適応症、服用方法、使用方法

・統合失調症
通常、成人にはパリペリドンとして6mgを1日1回朝食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により1日12mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は5日間以上の間隔をあけて1日量として3mgずつ行うこと。


使用できない場合(禁忌)

1.昏睡状態の患者
[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]

2.バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
[中枢神経抑制作用が増強されることがある。]

3.アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)

4.本剤の成分及びリスペリドンに対し過敏症の既往歴のある患者

5.中等度から重度の腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス50mL/分未満)[本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある。]


使用するにあたっての注意事項

1.投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、低血圧があらわれた場合は減量等、適切な処置を行うこと。

2.眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

3.興奮、誇大性、敵意等の陽性症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。

4.本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

5.低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

6.本剤の投与に際し、あらかじめ上記4.及び5.の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう指導すること。

7.抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意すること。


副作用

<主な副作用>
血中プロラクチン増加、統合失調症の悪化、体重増加、錐体外路障害、便秘など

<重大な副作用>
1. 悪性症候群(Syndrome malin)
2. 遅発性ジスキネジア
3. 麻痺性イレウス
4. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
5. 肝機能障害、黄疸
6. 横紋筋融解症
7. 不整脈
8. 脳血管障害
9. 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡
10. 低血糖
11. 無顆粒球症、白血球減少
12. 肺塞栓症、深部静脈血栓症
13. 持続勃起症


体内動態

最高血中濃度到達時間:24時間後
半減期:20〜23時間


飲み合わせ(相互作用)

<併用禁忌>
・アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)
臨床症状・措置方法
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすことがある。
機序・危険因子
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

<併用注意>
・中枢神経抑制剤
(バルビツール酸誘導体等)
臨床症状・措置方法
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。

・ドパミン作動薬
臨床症状・措置方法
相互に作用を減弱することがある。
機序・危険因子
本剤はドパミン遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある。

・降圧薬
臨床症状・措置方法
降圧作用が増強することがある。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。

・アルコール
臨床症状・措置方法
相互に作用を増強することがある。
機序・危険因子
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。

・カルバマゼピン
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下することがある。
機序・危険因子
本剤の排泄、代謝を促進し、吸収を低下させる可能性がある。

・バルプロ酸
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇することがある。
機序・危険因子
機序不明


(注意事項)
作成日時の時点における医薬品情報を使用して作成しております。
医薬品を使用する前には、必ず最新の添付文書を確認するようにしてください。

ロナセン錠2mg、4mg、8 mg/散2%(ブロナンセリン)

名称

商品名:ロナセン
一般名:ブロナンセリン


剤形、規格

錠:2mg、4mg、8mg
散:2%


構造


薬効分類

抗精神病剤


薬効薬理・作用機序

ブロナンセリンは、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT2A受容体に対して強い遮断作用を示すことにより統合失調症の陽性症状及び陰性症状を改善する。

下田武

ブロナンセリンは他のSDAに比べ、ドパミンD2受容体拮抗作用が強いため、ドパミン−セロトニン遮断薬(DSA)と呼ばれることもあります。また、アドレンリンα1受容体、ヒスタミンH1受容体、ムスカリン性M1受容体との親和性が低いとされています。


適応症、服用方法、使用方法

・統合失調症
通常、成人にはブロナンセリンとして1回4mg、1日2回食後経口投与より開始し、徐々に増量する。
維持量として1日8〜16mgを2回に分けて食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は24mgを超えないこと。

下田武

本剤は空腹時に服用すると吸収が低下し、作用が減弱することがあるため、食後に服用するよう指導する必要があります。


使用できない場合(禁忌)

1.昏睡状態の患者
〔昏睡状態が悪化するおそれがある。〕

2.バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
〔中枢神経抑制作用が増強される。〕

3.アドレナリンを投与中の患者
(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)

4.アゾール系抗真菌剤(外用剤を除く)(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール)、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、インジナビル、ロピナビル・リトナビル配合剤、ネルフィナビル、サキナビル、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル)、テラプレビル、コビシスタットを投与中の患者

5.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者


使用するにあたっての注意事項

1.眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

2.興奮、誇大性、敵意等の陽性症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。

3.本剤は肝酵素により代謝を受けやすく、血中濃度が大幅に上昇するおそれがあるため、CYP3A4を強く阻害する薬剤(アゾール系抗真菌剤、HIVプロテアーゼ阻害剤)を投与中の患者に本剤を投与しないこと。また、それ以外でも肝障害のある患者、高齢者、CYP3A4阻害作用を有する薬剤を併用している患者では、血中濃度が高くなる可能性があるので、観察を十分に行い慎重に投与すること。

4.本剤の投与により血糖上昇が認められており、また、類薬において高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるとの報告があるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

5.本剤の投与に際し、あらかじめ上記(4)の副作用が発現するおそれがあることを、患者及びその家族に十分説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、医師の診察を受けるよう、指導すること。

6.抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意すること。


副作用

<主な副作用>
振戦、運動緩慢、流涎過多等のパーキンソン症候群、アカシジア、不眠、プロラクチン上昇、ジスキネジア、眠気、不安・焦燥感・易刺激性 など

<重大な副作用>
1. 悪性症候群(Syndrome malin)
2. 遅発性ジスキネジア
3. 麻痺性イレウス
4. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
5. 横紋筋融解症
6. 無顆粒球症、白血球減少
7. 肺塞栓症、深部静脈血栓症
8. 肝機能障害

<重大な副作用(類薬)>
高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡


飲み合わせ(相互作用)

<併用禁忌>
・アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)
臨床症状・措置方法

アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。
機序・危険因子
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα- 受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

・CYP3A4を強く阻害する薬剤
(アゾール系抗真菌剤、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール)
・HIVプロテアーゼ阻害剤
(リトナビル、インジナビル、ロピナビル・リトナビル配合剤、ネルフィナビル、サキナビル、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル)
・テラプレビル
・コビシスタット
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。

<併用注意>
・アルコール
臨床症状・措置方法
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤等の中枢神経抑制作用による。

・ドパミン作動薬
(レボドパ製剤、ブロモクリプチン等)
臨床症状・措置方法
相互に作用が減弱することがある。
機序・危険因子
本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。

・降圧薬
臨床症状・措置方法
降圧作用が増強することがある。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。

・エリスロマイシン
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。

・グレープフルーツジュース
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。

・CYP3A4阻害作用を有する薬剤
(クラリスロマイシン、シクロスポリン、ジルチアゼム等)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。

・CYP3A4誘導作用を有する薬剤
(フェニトイン、カルバマゼピン、バルビツール酸誘導体、リファンピシン等)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を誘導するため、経口クリアランスが増加する可能性がある。


(注意事項)
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