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第106回薬剤師国家試験 問334 疑義照会

 72歳男性。体重60kg、身長165cm。薬局に処方箋を持参した。患者から力が入りにくくなったとの訴えがあったため、対応した薬剤師は血液検査のデータを確認した。
検査値:赤血球数350×104/μL、Hb13.5g/dL、白血球数4,200/μL、 血小板数150×104/μL、
HbA1c5.6%(NGSP値)、Scr1.4mg/dL、 eGFR42.6mL/min/1.73m2、ALT42IU/L、AST30IU/L、  
ALP100IU/L、T-Bil0.5mg/dL 

疑義照会すべき内容として適切なのはどれか。2つ選べ。 

  1. 血清マグネシウム値の確認
  2. ファモチジン塩酸塩錠の減量
  3. プレガバリンカプセルの減量
  4. シタグリプチンリン酸塩錠の減量
  5. バルサルタン錠の減量

 

解答・解説

解答
1、3

解説
本患者はeGFR42.6mL/min/1.73m2であり、腎機能が低下している。また、力が入りにくくなったとの訴えがあることから、筋力低下が現れている可能性がある。また、Cockcroft-Gault式を用いてクレアチニンクリアランスを算出すると約40mL/minである。
●Cockcroft-Gault式を用いたクレアチニンクリアランスの算出
(140-年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値)
(140-72)×60÷(72×1.4)≒40.5

1 正
酸化マグネシウムは、通常成人に1日2gを3回に分割経口投与するか、または就寝前に1回投与するとされている。本患者に対して、酸化マグネシウムが1日3gを3回分割投与で処方されている(通常量よりも多く処方されている)とともに、腎機能低下によりマグネシウムの排泄が低下している可能性があるため、血清マグネシウム値を確認する必要がある。なお、高マグネシウム血症では、悪心・嘔吐、徐脈、口渇、血圧低下、筋力低下、傾眠などの症状が認められる。

2 誤
ファモジチンは腎機能に応じて用量調節する必要がある。

本患者はクレアチニンクリアランスが約40mL/minであり、処方されている量が用量範囲内であるため、減量する必要はない。

3 正
プレガバリンは腎機能に応じて用量調節する必要がある。

本患者はクレアチニンクリアランスが約40mL/minであり、最高投与量で処方されており、副作用である脱力感が現れている可能性があるため、減量を検討する必要がある。

4 誤
シタグリプチンは腎機能に応じて用量調節する必要がある。

本患者はクレアチニンクリアランスが約40mL/minであり、処方されている量が用量範囲内であるため、減量する必要はない。

5 誤
バルサルタンは、重篤な腎機能障害(血清クレアチニン値が3.0mg/dL以上)の場合、投与量を減らすなど慎重に投与することとされている。本患者はScr1.4mg/dLであり、処方されている量が用量範囲内であるため、減量する必要はない。

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