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第108回薬剤師国家試験 問324〜325(実践問題) 薬学的管理/患者情報の取扱い

 45歳女性。調理師。仕事中に動悸を感じていたが、疲れのためだろうと深刻に考えていなかった。健康診断で不整脈の疑いが指摘されたため、近隣の診療所を受診したところ、頻脈傾向で処方1が処方され薬局Aで調剤された。1週間後、診療所から紹介された医療機関を受診し、精査したところ、肝機能及び腎機能は正常値であったものの、心房細動と確定診断されたため、新たに処方2が追加された。この患者が処方2の処方箋を持参して、薬局Bに来局した。患者からの聞き取りで、処方1の薬を服用していることが確認できたが、お薬手帳には過去の治療薬の記載のみで、処方1の薬の記載はなかった。また、患者は、セントジョーンズワート含有食品を常用していると話していた。
 処方1開始時の血圧143/86mmHg、脈拍98回/分

問324(実務) 
 この患者への薬局Bにおける薬学的管理に関する対応について適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. セントジョーンズワート含有食品は、薬学的管理の対象とならないと判断した。
  2. 血圧や脈拍などについて、薬局内の自動血圧計で測定してもらい、測定値を薬歴に記載した。
  3. 職業が調理師であるため包丁の使用などでの出血に注意するように説明したが、職業は個人情報であるため薬歴には記載しなかった。
  4. リバーロキサバンに注意が必要なビタミンK含有量の多いブロッコリーなどの食品の過剰摂取がないか確認した。
  5. 処方1について薬局Aに確認し、薬歴に記録を残しお薬手帳にも併用薬情報として記載した。 

解答・解説

解答
2、5

解説
1 誤
 使用している健康食品と医薬品が相互作用を起こすことがあるため、使用している健康食品は薬学的管理の対象となる。なお、セントジョーンズワート含有食品は、CYP3A4を強力に誘導することがあり、リバーロキサバンの代謝を促進し、血中濃度を低下させることがある。

2 正
 薬学的管理する上で、バイタルサイン(血圧、脈拍など)を薬歴に記載することは有用である。

3 誤
 薬歴には、患者の氏名、年齢、性別、職業、家族歴、副作用歴、アレルギー歴、服用中の薬剤、使用中の健康食品等、個人情報を含め薬学的管理に必要な情報を記載する。

4 誤
 ビタミンK含有量の多い食品と相互作用を起こすのは、ワルファリンである。なお、リバーロキサバンとビタミンKの相互作用は報告されていない。

5 正
 患者からの聞き取りで服用している薬剤が確認できたが、お薬手帳に記載されていない場合、服用中の薬剤について他の薬局に聞き取りし、その内容を併用薬として記載することは適切な対応である。

問325(法規・制度・倫理) 
 この患者の情報の取扱いに関する薬局Bでの対応について正しいのはどれか。2選べ。

  1. 患者の勤務する会社から、ストレスチェックの一環として患者の服用している薬を知りたいと連絡があったため、情報を提供した。
  2. 患者から自分の薬歴を開示してほしいとの申し出があったが、薬局には開示の義務はないので断った。
  3. 患者の同僚が薬局に来た際、この患者もこの薬局で調剤を受けていることを教えた。
  4. 薬局内で示している利用目的の範囲内で、個人を特定できない匿名化を行い、近隣の薬局との症例検討会で発表した。
  5. マーケティング会社から、医薬品の使用率調査として患者の健康保険証の記号番号等を含めた情報提供を依頼されたが、この情報は個人情報に該当するため断った。 

解答・解説

解答
4、5

解説
1 誤
 患者の同意を得ることなく、患者の勤務する会社(第三者)に個人情報を提供することはできない。

2 誤
 個人情報保護法により、行政機関や民間事業者が保有する自己の個人情報の開示を求めることができるため、患者から自分の薬歴を開示してほしいとの申し出があった場合、薬局は薬歴(個人情報)を開示する必要がある。

3 誤
 患者がどの薬局で調剤受けているかは要配慮個人情報(本人の人種、信条、病歴、犯罪歴など、特に配慮を要する個人情報)に該当するため、 患者の同意を得ることなく第三者に情報を提供することはできない。

4 正
 薬局内で示している利用目的の範囲内で、個人を特定できない匿名化を行った情報を近隣の薬局との症例検討会で使用することは問題とはならない。

5 正
 健康保険証の記号番号は、個人識別符号であり、個人情報に該当するため、患者の同意を得ることなく、マーケティング会社(第三者)に健康保険証の記号番号等を含めた情報を提供することはできない。

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