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第108回薬剤師国家試験 問282〜283 リスペリドン持効性懸濁注射液

34歳女性。身長165cm、体重40kg。統合失調症の診断を受け、外来にてリスペリドン経口製剤で治療を受けていた。内服継続にて症状は安定してきたため、医師が患者にリスペリドンの持効性注射剤について説明したところ、患者はその使用を希望した。そこで、リスペリドンの投与並びに持効性注射剤へ剤形変更する際の注意点について、担当医から医薬品情報管理室に確認があった。

問282(実務) 
薬剤師が医師に伝える注意点として、適切なのはどれか。2選べ。

  1. 毎回、同一部位に注射する。
  2. 最大量に増量しても効果が認められない場合は、クロザピンを併用する。
  3. 薬剤の調製は、冷所から常温に戻して行う。
  4. 無月経や月経障害が起こる可能性を、患者に指導する。
  5. 悪性症候群を疑う症状が現れた際には、次回の投与量を減量する。
解答・解説

解答
3、4

解説
1 誤
注射部位は、左右臀部の外側上部とし、他の筋には投与しないこと。また、注射部位は毎回左右交互とし、同一部位への反復注射は行わない。

2 誤
クロザピンは原則単独で使用することとされており、リスペリドンと併用して用いることはない。

3 正
本剤を調製する際には、付属の懸濁用調製器具を用い、薬剤及び専用懸濁用液を常温に戻してから行う。

4 正
本剤は、プロラクチン分泌に影響を与え、副作用として無月経や月経障害を引き起こす。

5 誤
本剤は、重大な副作用として、悪性症候群を起こすことがある。強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等を発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う。

問283(薬剤)
 剤形変更後の製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. 生分解性高分子に薬物を封入して、長期間の薬物放出を行うことができる。
  2. 脂質二重膜により薬物を保護することで、長期間安定に保存できる。
  3. 薬物結晶の表面を生分解性高分子でコーティングしている。
  4. 分子内に親水性部と疎水性部をもつ高分子が、自己会合して薬物を保持している。
  5. 水溶性高分子を結合させた脂質を用いて、静脈内での滞留性が改善されている。
解答・解説

解答

解説
本剤は、添加剤として生分解高分子であるdl-ラクチドグリコリド共重合体を含有したマイクロスフェア製剤であり、リスペリドンを数週間にわたり安定して放出させることを可能とした製剤である。

1 正
前記参照

2 誤
リポソームに関する記述である。リポソームは、脂質二重層からなる閉鎖小胞であり、水溶性及び脂溶性いずれの薬物も含有することが可能であるため、DDSキャリアとして汎用される。

3 誤
本剤は、薬物結晶の表面を生分解性高分子でコーティングしたものではない。

4 誤
高分子ミセルに関する記述である。高分子ミセルは、親水性部分と疎水性部分を有する高分子の集合体であり、自己会合して脂溶性薬物を保持する。

5 誤
ポリエチレングリコール(PEG)修飾リポソームに関する記述である。PEG修飾リポソームは、リポソームを水溶性高分子であるポチエチレングリコールで修飾することにより、肝臓や脾臓等への取り込みを抑制し、静脈内での滞留性を向上させる。

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