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第107回薬剤師国家試験 問224〜225(理論問題) 薬剤感受性試験

65歳女性。体重50kg。術後肺炎と診断され、喀痰から緑膿菌が検出された。医師の指示により、シプロフロキサシン注射液が静脈内投与された。

問224(物理・化学・生物)
検査部で、患者の痰から分離・同定した緑膿菌を培養し、薬剤感受性試験としてディスク法を実施した。

ディスク法の説明
 寒天培地に一定量の菌を均一に広げた後、上にディスク(一定量の抗菌薬を染み込ませたろ紙)を置いて培養する方法(図1参照)。ディスクから培地に拡散した抗菌薬によって菌の発育阻止円ができ、その直径を測定する。
 多剤耐性緑膿菌の場合、判定に用いる抗菌薬(β–ラクタム系、フルオロキノロン系及びアミノ配糖体系の3系統)の種類と判定に適した濃度は決められており、指定の条件で一定時間培養後、生じた阻止円の直径をもとに、感受性か耐性かを判断する。

 今回は、この患者由来の緑膿菌と通常の緑膿菌基準株を用いた。また、指定されたイミペネム(IPM)、シプロフロキサシン(CPFX)、アミカシン(AMK)の3剤に加え、抗菌薬XとYも調べた。その結果を図2に示す。

 本試験とその結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 本法は、微量液体希釈法よりも最小発育阻止濃度(MIC)を算出するのに適している。
  2. 阻止円の直径が大きいほど、その抗菌薬への感受性が高い。
  3. この患者より単離した緑膿菌は、多剤耐性菌である。
  4. 抗菌薬Xは、この患者の治療薬候補になる。
  5. 抗菌薬Yは、この患者の治療薬候補にはならない。

解答・解説

解答
2、3

解説
1 誤
微量液体希釈法は、異なる濃度の抗菌薬を含む液体培地にマイクロプレートを作成し、ここに試験菌溶液を入れ培養することで最小発育阻止濃度(MIC)を算出する方法であり、ディスク法に比べMICの算出に適している。

2 正
阻止円が大きいほど緑膿菌の増殖が抑制されているため、その抗菌薬への感受性が高い。

3 正
図2より患者由来の緑膿菌を含んだ培養後のプレートは、通常の緑膿菌基準株を含んだ培養後のプレートに比べA‘(アミカシン)、I(イミペネム)、C(シプロフロキサシン)の阻止円が小さいことから患者より単離した緑膿菌は、A、I、Cに対して耐性を示す(多剤耐性菌)と考えられる。

4 誤
図2より患者由来の緑膿菌は抗菌薬Xに対して耐性を示すと考えられるため、抗菌薬Xは治療薬候補にはならない。

5 誤
図2より患者由来の緑膿菌は抗菌薬Yに感受性があると考えられるため、抗菌薬Yは治療薬候補になる。

問225(実務)
薬剤感受性試験結果から考えられる、この患者に最も適切な抗菌薬療法はどれか。1つ選べ。なお、薬剤はすべて注射剤である。

  1. シプロフロキサシンを基本とした併用療法への変更
  2. アルベカシン硫酸塩の単独療法への変更
  3. ピペラシリンナトリウムの単独療法への変更
  4. シプロフロキサシンの単独療法の継続
  5. コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムを基本とした併用療法への変更

解答・解説

解答

解説
薬剤感受性試験の結果より、本患者から検出された緑膿菌は、アミカシン(アミノグリコシド系抗菌薬)、イミペネム(β-ラクタム系抗菌薬)、シプロフロキサシン(ニューキノロン系抗菌薬)では十分な効果が得られないと判断できる。また、アミノグリコシド系抗菌薬のアルベカシン硫酸塩、β-ラクタム系抗菌薬のピペラシリンナトリウムでも十分な効果が得られないと判断できる。
よって、この患者に最も適切な抗菌薬療法は、ポリペプチド系抗菌薬であるコリスチンメタンスルホン酸ナトリウムを基本とした併用療法への変更であると判断できる。

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