ガラクトースは、単糖(六炭糖)の一種であり、分子式はC₆H₁₂O₆である。自然界に広く存在し、動植物や微生物の多くの多糖類や糖タンパク質、糖脂質の構成成分として重要な役割を果たす。特に哺乳類の乳糖(ラクトース)の構成糖として知られている。
ガラクトースの特徴
- 構造:
- アルドース(アルデヒド基を有する糖)に分類される。
- グルコース(ブドウ糖)のC-4エピマー(C-4炭素上の立体配置が異なる化合物)であり、グルコースとよく似た化学構造を有している。
- 水溶液中では、直鎖型と環状型の平衡状態をとる。
- 物理的性質:
- 白色の結晶性物質で、水に溶けやすい。
ガラクトースの生理的役割と機能
- 乳糖の構成成分:
- ガラクトースは乳糖(ラクトース)の一部として乳製品中に存在する。
- 乳糖は小腸で分解酵素であるラクターゼによって、グルコースとガラクトースに分解され吸収される。
- 細胞膜の構成成分:
- ガラクトースは糖脂質や糖タンパク質の成分として、細胞膜の構造や細胞間の認識、シグナル伝達に寄与する。
- エネルギー源:
- ガラクトースは代謝によってエネルギーを供給する役割を果たし、肝臓でグルコースに変換される。
ガラクトースの臨床的意義
- ガラクトース血症:
- ガラクトース代謝異常症として知られる遺伝性疾患で、酵素(ガラクトース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼなど)の欠損によりガラクトースが正常に代謝されず、体内に蓄積する。
- 重症の場合、肝障害、白内障、発育遅延などの症状を引き起こす。
- 乳糖不耐症:
- 乳糖を分解するラクターゼ酵素が不足することで、乳製品摂取後にガスや下痢などの消化器症状が生じる。
- ガラクトースそのものの代謝には影響しないが、乳糖摂取が関連する。





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