85歳女性。再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の治療を受けている。この患者の処方箋を、家族が薬局に持参した。
家族より、最近飲み込む力が弱まり服用の際に苦労しているので、薬が飲みやすくなる方法はないかと相談を受けた。
問212 (実務)
薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- オメプラゾール錠を正確に半錠に分割して調剤する。
- オメプラゾール錠を乳鉢で粉砕して調剤する。
- ラベプラゾールNa錠へ変更し、乳鉢で粉砕して調剤することを医師に提案する。
- ランソプラゾールカプセルへ変更し、脱カプセルして調剤することを医師に提案する。
- ランソプラゾール口腔内崩壊錠への変更を医師に提案する。
解答・解説
解答
4、5
解説
1 誤
プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールなど)は、胃酸で分解されやすいことから、それらを含有する製剤は腸溶性製剤となっている。オメプラゾール錠、ラベプラゾール錠は腸溶性製剤であり、半錠に分割することや粉砕することにより腸溶性が失われるため、半錠に分割することや粉砕することは避ける必要がある。
2 誤
解説1参照
3 誤
解説1参照
4 正
ランソプラゾールカプセルは、脱カプセルしても腸溶性が失われることはないため、脱カプセルして調剤することは可能である。
5 正
問213 (物理・化学・生物)
オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化(A〜D)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- Aの反応はpHが7より大きいと加速される。
- Bの過程で不斉中心は消失する。
- Cは酸化還元反応である。
- Dでは酵素のシステイン残基と反応する。
解答・解説
解答
2、4
解説
1 誤
Aの反応では、ピリジン環の窒素に存在する非共有電子対がイミダゾール環の炭素に対して分子内求核反応を起こすことにより、イミダゾール環の窒素に水素が付加し、ピリジン環の窒素がプラスに帯電していることから、プロトンが多い条件(酸性条件下)で進行しやすいと考えられる。なお、プロトンポンプ阻害薬は、酸性条件下で活性化されることから、Aの反応は酸性条件下で進行しやすいと考えられる。
2 正
Bの前では、不斉中心であるスルホキシド(>S=O)が存在するが、Bの後ではスルホキシドが消失している。よって、Bの過程で不斉中心は消失する。
なお、スルホキシドには、ローンペアも併せて4つの異なる原子および原子団が結合しているため、不斉中心となる。
3 誤
Cの反応前と反応後では、酸化数に変化がないため、この反応は酸化還元反応ではない。なお、Cでは水の脱離が認められる。
4 正
Dでは、オメプラゾールの活性体にある硫黄(S)が酵素(H+,K+−ATPase)のシステイン残基と反応し、共有結合(ジスルフィド結合)を形成する。これによりH+,K+−ATPaseの活性が低下する。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] ← 第103回薬剤師国家試験 問208〜209 第103回薬剤師国家試験 問212〜213 → […]