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第103回薬剤師国家試験 問212〜213

85歳女性。再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の治療を受けている。この患者の処方箋を、家族が薬局に持参した。

家族より、最近飲み込む力が弱まり服用の際に苦労しているので、薬が飲みやすくなる方法はないかと相談を受けた。

問212 (実務)
薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. オメプラゾール錠を正確に半錠に分割して調剤する。
  2. オメプラゾール錠を乳鉢で粉砕して調剤する。
  3. ラベプラゾールNa錠へ変更し、乳鉢で粉砕して調剤することを医師に提案する。
  4. ランソプラゾールカプセルへ変更し、脱カプセルして調剤することを医師に提案する。
  5. ランソプラゾール口腔内崩壊錠への変更を医師に提案する。

解答・解説

解答
4、5

解説
1 誤
プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールなど)は、胃酸で分解されやすいことから、それらを含有する製剤は腸溶性製剤となっている。オメプラゾール錠、ラベプラゾール錠は腸溶性製剤であり、半錠に分割することや粉砕することにより腸溶性が失われるため、半錠に分割することや粉砕することは避ける必要がある。

2 誤
解説1参照

3 誤
解説1参照

4 正
ランソプラゾールカプセルは、脱カプセルしても腸溶性が失われることはないため、脱カプセルして調剤することは可能である。

5 正

問213 (物理・化学・生物)
オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化(A〜D)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. Aの反応はpHが7より大きいと加速される。
  2. Bの過程で不斉中心は消失する。
  3. Cは酸化還元反応である。
  4. Dでは酵素のシステイン残基と反応する。

解答・解説

解答
2、4

解説
1 誤
Aの反応では、ピリジン環の窒素に存在する非共有電子対がイミダゾール環の炭素に対して分子内求核反応を起こすことにより、イミダゾール環の窒素に水素が付加し、ピリジン環の窒素がプラスに帯電していることから、プロトンが多い条件(酸性条件下)で進行しやすいと考えられる。なお、プロトンポンプ阻害薬は、酸性条件下で活性化されることから、Aの反応は酸性条件下で進行しやすいと考えられる。

2 正
Bの前では、不斉中心であるスルホキシド(>S=O)が存在するが、Bの後ではスルホキシドが消失している。よって、Bの過程で不斉中心は消失する。

なお、スルホキシドには、ローンペアも併せて4つの異なる原子および原子団が結合しているため、不斉中心となる。

3 誤
Cの反応前と反応後では、酸化数に変化がないため、この反応は酸化還元反応ではない。なお、Cでは水の脱離が認められる。

4 正
Dでは、オメプラゾールの活性体にある硫黄(S)が酵素(H,K−ATPase)のシステイン残基と反応し、共有結合(ジスルフィド結合)を形成する。これによりH,K−ATPaseの活性が低下する。

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