紫外線は、電磁波スペクトルの中で可視光線より波長が短く、X線より波長が長い範囲の電磁波である。名前の由来は、紫色(可視光の中で最も波長が短い色)の外側に位置する波長域であることからきている。
1. 紫外線の基本特性
- 波長範囲: 約10ナノメートル(nm)~400ナノメートル(nm)。
- エネルギー: 電磁波の中では比較的高いエネルギーを持ち、生物や物質に影響を及ぼすことがある。
2. 紫外線の分類
紫外線は波長によって以下のように分類される:
| 種類 | 波長範囲 | 特性 | 主な用途・影響 |
|---|---|---|---|
| UVA(長波長紫外線) | 315~400 nm | 地表に届く紫外線の大部分。肌への影響が比較的少ないが、長期曝露で老化を促進。 | 日焼け、皮膚老化、紫外線硬化装置。 |
| UVB(中波長紫外線) | 280~315 nm | 地表に届く一部。肌やDNAへの影響が強く、日焼けや皮膚がんの原因となる。 | ビタミンD生成、日焼け、医療用ランプ。 |
| UVC(短波長紫外線) | 100~280 nm | オゾン層でほぼ吸収されるため地表には届かない。殺菌効果が高い。 | 殺菌灯、消毒装置、研究用途。 |
3. 紫外線の性質
- 吸収: 紫外線は特に生体分子(DNA、タンパク質など)や化学物質に吸収されやすい。
- 高エネルギー: 波長が短くなるほどエネルギーが高まり、化学反応や生物に対する影響が強くなる。
- 散乱: 紫外線は可視光線よりも大気中で散乱しやすい。
4. 紫外線の利用
4.1 医療と健康
- ビタミンD生成: UVBによって皮膚でビタミンDが合成される。
- 光線療法: 特定の皮膚疾患(乾癬など)の治療に使用。
- 殺菌効果: UVCを用いた細菌やウイルスの除去。
4.2 日常生活
- 殺菌灯: 病院や食品工場での消毒。
- ブラックライト: 鑑定や装飾用途に使用。
5. 紫外線と人体への影響
5.1 肌
- UVAとUVBは日焼けや皮膚老化の原因となる。
- 長時間曝露は皮膚がん(特にメラノーマ)のリスクを高める。
5.2 目
- 強い紫外線は、白内障や網膜損傷を引き起こす可能性がある。
6. 紫外線の自然現象
- オゾン層: 大気中のオゾン層はUVBやUVCを吸収し、地表に届く量を制限している。
- 日焼け: 太陽光に含まれる紫外線が皮膚に吸収され、メラニンの生成を促進することで起こる。
7. 紫外線と環境問題
- オゾン層の破壊: オゾン層が薄くなると、UVBやUVCが地表に届きやすくなり、皮膚がんや目の病気のリスクが増加。
8. 紫外線対策
- 日焼け止め: 紫外線吸収剤や散乱剤を含む製品で防御。
- 衣類と帽子: 長袖や帽子で紫外線を遮る。
- サングラス: 紫外線を防ぐUVカット機能付きのものを選ぶ。




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