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第99回薬剤師国家試験 問274〜277(実践問題) 溶解補助剤、テオフィリンの投与計画

36歳男性。体重70 kg、気管支ぜん息の治療中である。吸入ステロイド薬で良好にコントロールされていたが、急性発作により、夜間救急を受診した。サルブタモール硫酸塩の吸入を反復したが改善せず、アミノフィリン点滴静注の処方が出された。

問274 (薬剤)
テオフィリンの溶解度を上昇させる目的で、アミノフィリン注射液に含有されている添加剤はどれか。1つ選べ。

  1. エチレンジアミン
  2. ポリエチレングリコール
  3. β−シクロデキストリン
  4. ドデシル硫酸ナトリウム
  5. ベンジルアルコール
解答・解説

解答
1

解説
アミノフィリン注射液には、テオフィリンの溶解度を上昇させる目的で、エチレンジアミンが添加されている。エチレンジアミンは、テオフィリンと可溶性複合体を形成することで、テオフィリンの溶解度を上昇させている。

問275 (薬剤)
この患者における定常状態での血中テオフィリン濃度を15 µg/mLとしたい。テオフィリンの点滴静注速度(mg/h)として適切な値はどれか。1つ選べ。ただし、この患者におけるテオフィリンの血中消失半減期は7時間、分布容積は 32 L、ln2=0.693とする。

  1. 12
  2. 24
  3. 36
  4. 48
  5. 60
解答・解説

解答
4

解説
<消失速度定数を求める>
血中消失半減期は7時間であることから、消失速度定数を以下のように求めることができる。
消失速度定数=0.693/血中消失半減期=0.693/7 h≒0.1 h1
<全身クリアランスを求める>
消失速度定数:0.1 h1、分布容積:32 Lであることから、全身クリアランスを以下のように求めることができる。
全身クリアランス=消失速度定数×分布容積=(0.1 h1)×(32 L)=3.2 L・h1
<定常状態における点滴速度を求める>
定常状態での血中テオフィリン濃度を15 µg/mLとするための点滴速度を以下にように求めることができる。
定常状態における点滴速度=全身クリアランス×定常状態の血中濃度
定常状態における点滴速度=3.2(L・h1)×15 µg/mL≒48 mg/h

問276 (実務)
この患者にアミノフィリン注射液(250 mg/10 mL)を前問で求めたテオフィリンとしての静注速度で1時間かけて点滴静注する場合、使用する薬液量(mL)として最も適切な値はどれか。1つ選べ。
ただし、アミノフィリン中のテオフィリン含量は80 w/w%とする。

  1. 0.6
  2. 1.2
  3. 1.8
  4. 2.4
  5. 3.0
解答・解説

解答
4

解説
テオフィリンを前問で求めた速度(48 mg/h)で1時間点滴静注した場合、その投与量は48 mgとなる。
アミノフィリン中のテオフィリンの含量は80 w/w%であることから、以下のようにアミノフィリンとしての投与量を求めることができる。
テオフィリンの投与量=アミノフィリンの投与量×0.8
アミノフィリンの投与量=テオフィリンの投与量÷0.8=48 mg÷0.8=60 mg
アミノフィリン注射液(250 mg/10 mL)であることから、以下のようにアミノフィリンを60 mg含有するアミノフィリン注射液の容量を求めることができる。
アミノフィリン注射液の濃度×アミノフィリンの容量=アミノフィリンの量
アミノフィリンの容量=アミノフィリンの量÷アミノフィリン注射液の濃度
アミノフィリンの容量=60 mg÷250 mg/10 mL=2.4 mL

問277 (実務)
アミノフィリン点滴静注を行う際の注意事項に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. 肝障害のある患者では、血中テオフィリン濃度が上昇しやすい。
  2. 喫煙習慣のある患者では、血中テオフィリン濃度が上昇しやすい。
  3. ニューキノロン系抗菌薬を併用している患者では、テオフィリンの中毒症状が現れることがある。
  4. 過量投与では、痙れんが発現しやすい。
  5. 過量投与の処置としては、輸液による排泄促進が有効である。
解答・解説

解答
2

解説
1 正しい
テオフィリンは肝消失型薬物であるため、肝障害のある患者では、血中テオフィリン濃度が上昇しやすい。

2 誤っている
喫煙習慣のある患者ではCYP1A2が誘導されているため、テオフィリンの代謝が促進され、血中濃度が低下することがある。

3 正しい
ニューキノロン系抗菌薬はCYP1A2阻害作用を有するため、ニューキノロン系抗菌薬を併用している患者では、テオフィリンの代謝が抑制され、中毒症状が現れることがある。

4 正しい
テオフィリンの過量投与では、以下の中毒症状が現れる。
・精神神経症状(頭痛、不眠、不安、興奮、痙れん、せん妄、意識障害、昏睡等)
・消化器症状(悪心、嘔吐等)

5 正しい
テオフィリンを過量投与した際には以下の処置が有効である。
・消化管内のテオフィリンを除去する方法
胃洗浄、活性炭の経口投与等
・血中テオフィリンを除去する方法
活性炭を吸着剤とした血流灌流、血液透析、輸液による排泄促進等

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