解答
2
解説
体内動態が線形性を示す場合、血中濃度時間曲線下面積(AUC)は①式で表すことができる。
CLtot:全身クリアランス X0:体内薬物移行量
<腎機能正常時の肝・腎クリアランスを求める>
問題文に「体内動態が線形性を示す薬物Aは、肝代謝と腎排泄によって体内から消失し、正常時における肝代謝クリアランスは全身クリアランスの20%である」とあることから腎機能正常時の肝・腎クリアランスを以下のように求めることができる。
CL肝(正常)=0.2 CLtot(正常) CL腎(正常)=0.8 CLtot(正常)
CLtot(正常):腎機能正常時の全身クリアランス
CL肝(正常):腎機能正常時の肝クリアランス
CL腎(正常):腎機能正常時の腎クリアランス
<腎疾患時の全身クリアランスを求める>
問題文に「腎疾患時に薬物Aの肝代謝クリアランスは変化しないが、腎排泄クリアランスは糸球体ろ過速度(GFR)に比例して変化する。」とあることからGFRが正常時の25%に低下した場合の患者の全身クリアランスを以下のように求めることができる。
CL肝(腎疾患)=CL肝(正常)=0.2 CLtot(正常)
CL腎(腎疾患)=0.8 CLtot(正常)×0.25=0.2 CLtot(正常)
CLtot(腎疾患)=CL腎(腎疾患)+CL肝(腎疾患)=0.2 CLtot(正常)+0.2 CLtot(正常)=0.4 CLtot(正常)
CLtot(腎疾患):腎疾患時の全身クリアランス
CL肝(腎疾患):腎疾患時の肝クリアランス
CL腎(腎疾患):腎疾患時の腎クリアランス
これらのことから、腎疾患により全身クリアランスが40%に低下しているため、①式より薬物Aの血中濃度時間曲線下面積(AUC)を腎機能正常時と同じにするには、投与量を腎機能正常時の40%に変更すればよい。
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