第98回薬剤師国家試験 問119

細胞傷害性のリンパ球を誘導する実験を(1)〜(4)の手順で行った。この実験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

(1)系統が異なる系統A及び系統Bのマウスから脾臓を摘出し細胞を単離した。
(2)系統Aのマウス由来の脾臓細胞にX線を照射し、細胞の増殖能を失わせた。
(3)(2)でX線照射した脾臓細胞及び無処理の系統Bのマウス由来の脾臓細胞を混合し、5日間培養した。
(4)新たに、系統Aあるいは系統Bのマウスから単離した組織の細胞を標的細胞として用い、(3)で培養した脾臓細胞と混合した後、それぞれの標的細胞に対する細胞傷害活性を調べた。

 系統B由来のマウスを標的細胞として用いたときに細胞傷害が観察される。
 (3)で培養した脾臓細胞からT細胞を除去すると、細胞傷害性が低下する。
 (3)の培養中に、系統Bのマウス由来のリンパ球の増殖が認められる。
 系統A及び系統Bのマウスの間で、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の差異が小さい場合には、細胞傷害性が高くなる。

 

 

 

解説
実験内容の概要を以下に示す。
(1)免疫応答反応に関わる細胞を多く含む脾臓細胞を系統A及び系統Bのマウスから抽出して単離
(2)系統Aのマウス由来の脾臓細胞にX線を照射し、細胞の増殖能を失わせた。
→このとき、細胞の増殖能が失われているため、系統Aのマウス由来の脾臓細胞では、T細胞などのリンパ球の増殖も起こらない。
(3)細胞増殖能のない系統Aのマウス由来の脾臓細胞に無処理の系統Bのマウス由来の脾臓細胞を混合
→系統Aのマウス由来の脾臓細胞は、系統Bのマウス由来の脾臓細胞に含まれるT細胞などのリンパ球より細胞傷害を受け、消滅する。

1 誤
系統Aのマウス由来の脾臓細胞は、細胞増殖能がないため、系統B由来のマウスを標的細胞として用いても細胞傷害は観測されない。
2 正
この実験における細胞傷害は、主にT細胞によるものであるため、脾臓細胞からT細胞を除去すると、細胞傷害性は低下する。
3 正
前記参照
4 誤
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)は、免疫学的自己を決定する遺伝子群のことであり、MHCが一致すれば自己、不一致であれば非自己と認識する。MHCの差異が小さい場合には、非自己と認識されにくいので、細胞障害性は低くなる。

解答
2、3

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第98回 問120

 

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