以下の化合物のうち、最も酸性度が高いのはどれか。1つ選べ。
解答・解説
解答
5
解説
酸の強さ(酸性度)は、その化合物がプロトン(H+)を放出しやすいかどうかで決まる。特に重要なのは、H+を放出した後に残る共役塩基の安定性である。共役塩基に残る負電荷が広く分散して安定化されていれば、酸性度は高くなる。この点で、フェノールはアルコールより酸性度が高い。
その理由として、フェノールが脱プロトン化して生じるフェノキシドイオンは、芳香環と共鳴して負電荷を分散できるからである。さらに、フェノールの芳香環に電子求引基が結合すると、共役塩基の負電荷が引きつけられ、より安定化される。これにより酸性度はさらに上がる。反対に、電子供与基が結合すると、負電荷が不安定化し、酸性度は低下する。代表的な電子求引基にはニトロ基(–NO₂)とクロロ基(–Cl)があるが、ニトロ基は誘起効果と共鳴効果の両方で電子を引くため、クロロ基よりも強い電子求引性を示す。したがって、ニトロ基がパラ位に結合した4-ニトロフェノールでは、共役塩基が強く安定化され、酸性度が最も高くなる。
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