ある薬局は、地域の飲食店等からの要望を受け、毒物劇物販売業の登録を申請し、劇物である苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の取扱いを行っている。近所の飲食店に勤務する者が、苛性ソーダを売って欲しいと来局した。来局者の年齢と使用目的を確認したところ、年齢は19歳で、厨房を清掃するための購入であり、以前にも一度使用した経験があるとのことであった。なお、この飲食店は毒物劇物営業者ではない。
問308(法規・制度・倫理)
薬局で苛性ソーダを管理するにあたり、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- この薬局に勤務する薬剤師が、毒物劇物取扱責任者として管理する。
- 移し替えた容器に「医薬用外」の文字と赤地に白色をもって「劇物」の文字を表示する。
- かぎのかかる設備に陳列する。
- 他の物と区分して保管する。
- 保管場所に「医薬用外」と「劇物」の文字を表示する。
解答・解説
解答
2
解説
1 正しい
毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を直接に取り扱う製造所、営業所又は店舗ごとに、専任の毒物劇物取扱責任者を置き、保健衛生上の危害の防止に当たらなければならない。次に掲げる者は毒物劇物取扱責任者になることができる。
・薬剤師
・厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者
・都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者
2 誤っている
劇物の容器及び被包には、「医療用外」の文字と白地に赤色をもって「劇物」の文字を表示する。
3 正しい
劇物は、かぎのかかる設備に陳列する。
4 正しい
劇物は、他のものと区別して保管する。
5 正しい
劇物の貯蔵・陳列する場所にも表示義務があるが、色の規定はない。
問309(実務)
この来局者に薬剤師が苛性ソーダを販売するにあたり、適切な対応はどれか。2つ選べ。
- この薬局の毒物劇物販売業の登録が有効期限内であることを確認する。
- この来局者に苛性ソーダの性状及び取扱いに関する情報を提供する。
- この薬局にて、この来局者の処方箋の調剤を行ったことがあり、身元を把握しているので、譲受書の受取りに関する手続きを省略する。
- 水剤の調剤で用いる内服液剤容器に入れて販売する。
- この来局者の年齢では、法律上販売できない旨を説明する。
解答・解説
解答
1、2
解説
1 正
毒物劇物営業者の登録には、有効期限(販売業の場合:6年間)があるので、毒物劇物を販売するにあたり、毒物劇物販売業の登録が有効期限内であることを確認する必要がある。
2 正
毒物劇物営業者は販売・譲渡の際に、譲受人に当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報を提供しなければならない(ただし、既に情報が提供されている場合、その他厚生労働省令で定める場合は除く)。
3 誤
毒物、劇物を販売する際、譲受書の受取りに関する手続きを省略することはできない。毒物劇物営業者は、譲受人が法で定める事項を記載し、書面の提出を受けなければ、毒物又は劇物を毒物劇物営業者以外の者に販売し、又は授与してはならない。
4 誤
毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は厚生労働省令で定める劇物については、その容器として、飲食物の容器として通常使用される物を使用してはならない。
5 誤
この来局者の19歳であるため、毒物、劇物を販売することができる。毒物劇物営業者は、次に掲げる者に対して毒物、劇物を交付してはならない。
・18歳未満の者
・心身の障害により毒劇物による保健衛生上の危害防止の措置を適正に行うことができない者
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