次の反応式は、油脂の化学的指標に関する試験法の化学反応の例を示したものである。不飽和脂肪酸を含む油脂において、自動酸化の進行に伴い測定値が減少し続ける試験法の反応式はどれか。1つ選べ。
解答
3
解説
1 誤
酸価の化学反応である。酸価は、油脂の自動酸化により生成する遊離脂肪酸の量を示す値であり、油脂1g中に含有される遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。酸価は油脂の自動酸化により増加する。
2 誤
過酸化物価の化学反応である。過酸化物価は、油脂の自動酸化により生成するヒドロペルオキシドなどの過酸化物の量を示す値であり、油脂1kgによりヨウ化カリウムから遊離されるヨウ素のミリ当量数で表される。過酸化物価の値は、油脂の自動酸化によりはじめ増加するが、その後、生成した過酸化物は加熱及び金属イオンにより分解されるため減少する。
3 正
ヨウ素価の化学反応である。ヨウ素価は油脂中の不飽和結合の量を示す値であり、油脂100gに吸収されるハロゲンの量をヨウ素のg数に換算したものである。油脂の自動酸化の進行により二重結合は減少するため、ヨウ素価の値は減少する。
4 誤
カルボニル価の化学反応である。カルボニル価は、カルボニル化合物の量を示す値であり、試料に2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを反応させ、ジニトロフェニルヒドラゾンとし、アルカリ性にすることで比色定量する。カルボニル価の値は、油脂の自動酸化により増加する。
5 誤
チオバルビツール酸(TBA)の化学反応である。TBA試験は、油脂の自動酸化により生成するマロンジアルデヒドなどのアルデヒド量を示す値であり、油脂を酸性条件下で加熱して遊離する成分とTBAを反応させて生じる532nmに極大吸収をもつ赤色色素を定量する。TBA試験の値は、油脂の自動酸化により増加する。
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