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第105回薬剤師国家試験 問200〜201

75歳女性。肝臓がんの疑いで外来通院中。今回、超音波検査で結節性病変を認めたため、精査目的で入院し、造影剤を用いた画像検査を行うことになった。ヨード造影剤にアレルギーがあるため、新しく採用となった超常磁性酸化鉄製剤であるフェルカルボトラン(注)を用いて画像を撮影することになった。図は肝臓におけるフェルカルボトラン投与前後の画像を模式的に示す。
(注)フェルカルボトラン:細粒子化した酸化鉄(Fe2O3)をデキストランやその誘導体などでコーティングしてコロイド化したもの。

肝臓における作用機序:本剤は投与後、肝臓内ではクッパー細胞に取り込まれ、色の濃い画像が得られる。肝腫瘍組織ではクッパー細胞が欠如しているため、色の薄い画像が得られる。図中では、信号強度の強い方が黒く表されている。

問200(実務)
この患者を担当する研修医から、薬剤部のDI(医薬品情報)担当者に、この薬剤についての質問があった。DI担当者の説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. ヘモクロマトーシス等の鉄過剰症の患者には禁忌である。
  2. メトホルミンなどビグアナイド系薬剤と併用禁忌である。
  3. MRI(magnetic resonance imaging)において使用する薬剤である。
  4. 腎機能が低下している患者には使用できない。
  5. ショックやアナフィラキシーは起きない。
解答・解説

解答
1、3

解説
1 正
本剤の鉄により症状が悪化するおそれがあるため、ヘモクロマトーシス等の鉄過剰症の患者には禁忌である。

2 誤
本剤と併用禁忌の薬剤はない。

3 正
本剤は、磁気共鳴コンピューター画像撮影における肝腫瘍の局在診断のための肝臓造影に用いられる。

4 誤
腎機能が低下している患者でも使用することは可能である。

5 誤
重大な副作用として、ショック・アナフィラキシーを起こすことがある。

問201(物理・化学・生物)
この患者に行った画像検査法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 酸化鉄(Fe2O3)の代わりに、酸化マグネシウム(MgO)を用いることも可能である。
  2. 波長 1〜10pmの電磁波が使用される。
  3. ドップラー効果により臓器の運動を観察することも可能である。
  4. 高磁場中でラーモア歳差運動の周波数と同じ周波数の電磁波を照射し、原子核を励起させる。
  5. 放射線被ばくに注意する必要はない。
解答・解説

解答
4、5

解説
本症例では、超常磁性酸化鉄製剤(フェルカルボトラン)を使用していることから、MRIを行ったと推察される。磁気共鳴画像(MRI)診断法は、核磁気共鳴(NMR)現象を利用した画像診断法である。MRIは、水素原子核(プロトン)が磁気内で特定の周波数を有する電磁波に受け共鳴現象を起こしたあと、電磁波を遮断し、基底状態に戻るまでの時間を画像化する方法である。磁気共鳴画像(MRI)診断法では、水の分布やその存在環境に関する情報を得ることができる。
<MRIの特徴>
・放射線被曝がない(非侵襲性)
・あらゆる方向の画像が得られる
・プロトンが存在しない場所については無信号であるため、空気などによる偽像を生じない
・撮影時間がX線CTに比べ長い
1 誤
MRIで用いられる造影剤は常磁性を有している必要があるため、酸化マグネシウム(MgO)を用いることはできない。

2 誤
MRIでは、波長数mのラジオ波が使用される。

3 誤
ドップラー効果により臓器の運動を観察することが可能なのは、「超音波診断法」である。

4 正

5 正

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