第100回薬剤師国家試験 問163
関節リウマチの治療に用いる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 レフルノミドは、ピリミジン合成系を阻害し、リンパ球の増殖を抑制する。
2 サラゾスルファピリジンは、抗原提示細胞のCD80/CD86に結合し、CD28を介した共刺激シグナルを阻害する。
3 ペニシラミンは、カルシニューリンを阻害し、ヘルパーT細胞でのインターロイキン−2産生を抑制する。
4 オーラノフィンは、腫瘍壊死因子α(TNF−α)と特異的に結合し、TNF−αの細胞膜受容体への結合を阻害する。
5 メトトレキサートは、キメラ型モノクローナル抗体製剤に対する中和抗体の産生を抑制する。
解答・解説
解答
1、5
解説
1 正
レフルノミドは、生体内で代謝されて活性代謝物となり、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼを阻害することにより、ピリミジン生合系を阻害し、リンパ球の増殖を抑制する。
2 誤
サラゾスルファピリジンは、T細胞及びマクロファージからのサイトカイン産生を抑制し、抗リウマチ作用を示す。抗原提示細胞のCD80/CD86に結合し、CD28を介した共刺激シグナルを阻害する抗リウマチ薬は、アバタセプトである。
3 誤
ペニシラミンは、リウマトイド因子などの免疫複合体の分子内のジスルフィド結合を解離させることにより抗リウマチ作用を示す。なお、カルシニューリンを阻害し、ヘルパーT細胞でのインターロイキン−2産生を抑制するのは、タクロリムスである。
4 誤
オーラノフィンは、自己抗体の産生抑制、炎症性細胞の機能抑制などにより抗リウマチ作用を示す。なお、腫瘍壊死因子α(TNF−α)と特異的に結合し、TNF−αの細胞膜受容体への結合を阻害するのは、インフリキシマブやアダリムマブ、ゴリムマブなどの抗リウマチ薬である。
5 正
インフリキシマブは、キメラ型抗体製剤であり構造中にマウスタンパク由来の構造が含まれているため、単独で使用すると、中和抗体が体内で産生され、作用が減弱することがある。そのため、この中和抗体の産生を抑制する目的で免疫抑制作用をもつメトトレキサートが併用される。