マルトースは二糖類の一種であり、2つのグルコース分子がα-1,4グリコシド結合によって結合した構造を有している。化学式はC₁₂H₂₂O₁₁である。「麦芽糖」とも呼ばれ、特に発芽中の穀物や麦芽で生成されることからその名が付けられている。
マルトースの特徴
- 構造:
- 2つのグルコース分子がα-1,4結合で結合しており、還元性を有している(1つのグルコース分子のヘミアセタール基が残るため)。
- 溶液中では環状構造と直鎖構造が平衡状態をとる。
- 物理的性質:
- 白色の結晶性粉末で、水に溶けやすい。
- 砂糖(ショ糖)ほど甘味は強くないが、わずかに甘味を有している。
- 天然での存在:
- 発芽中の穀物(麦芽など)や一部の食品(シロップ、パン、ビールなど)に含まれる。
マルトースの生成
- デンプンの分解:
- デンプンやグリコーゲンが酵素アミラーゼ(特にα-アミラーゼ)によって加水分解される際の中間生成物として生成される。
- 最終的にはグルコースに分解される過程の一部を構成する。
- 食品加工:
- デンプンを加水分解することで人工的に生成される場合がある。たとえば、マルトースを多く含むシロップや甘味料として使用される。
マルトースの生理的役割
- エネルギー源:
- 消化管でマルターゼ(グルコアミラーゼ)という酵素によって加水分解され、2つのグルコース分子に分解される。
- 分解されたグルコースは小腸で吸収され、エネルギー源として利用される。
- 代謝経路:
- 分解後のグルコースは解糖系やクエン酸回路に取り込まれ、ATP(エネルギー分子)の生成に利用される。
食品とマルトース
- 含有食品:
- ビールや麦芽エキス、パン、キャンディーなどの加工食品に含まれる。
- 発芽中の大麦や穀物で自然に生成される。
- 用途:
- 甘味料として使用されることがあり、特に糖化シロップや一部の加工食品の製造に利用される。
- ビールやウイスキーなどのアルコール飲料の製造過程でも重要である。





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