α-ケト酸(アルファケト酸, Alpha-Keto Acid)は、生化学において重要な化合物群であり、ケト基(C=O)とカルボキシル基(COOH)を持つ有機酸である。α-ケト酸は、主にアミノ酸の代謝やエネルギー生成に関連する中間体として機能する。特に、タンパク質の分解やアミノ酸の合成、そしてクエン酸回路(TCA回路)などで中心的な役割を果たす。
1. 基本構造
- 化学式: R-CO-COOH
- ここで、Rは有機基を表します。
- α-ケト酸は、カルボキシル基(COOH)に隣接する炭素にケト基(C=O)が結合している。
2. 主なα-ケト酸の例
- ピルビン酸(Pyruvate)
- 化学式: CH₃-CO-COOH
- 解糖系の最終産物であり、糖新生やエネルギー生成(TCA回路)に利用される。
- オキサロ酢酸(Oxaloacetate)
- 化学式: HOOC-CH₂-CO-COOH
- クエン酸回路の中間体で、糖新生やアミノ酸代謝にも関与する。
- α-ケトグルタル酸(α-Ketoglutarate)
- 化学式: HOOC-CH₂-CH₂-CO-COOH
- クエン酸回路の中間体であり、アミノ酸のアミノ基転移反応において重要である。
- フェニルピルビン酸(Phenylpyruvate)
- フェニルアラニン代謝の中間体であり、特定の代謝障害(フェニルケトン尿症など)に関連する。
3. 生体内での役割
3.1 アミノ酸代謝
-
- α-ケト酸は、アミノ基転移酵素(トランスアミナーゼ)の作用によりアミノ酸と相互変換される。
- 例: グルタミン酸からα-ケトグルタル酸への変換。グルタミン酸+αケト酸⇄αケトグルタル酸+アミノ酸
3.2 エネルギー代謝
3.3 糖新生
- ピルビン酸やオキサロ酢酸は糖新生の基質として利用され、肝臓や腎臓でグルコースの合成に寄与します。
3.4 アンモニアの排出
- α-ケト酸は、アミノ基を回収し尿素サイクルにアンモニアを供給する。
4. 代謝異常と疾患
- フェニルケトン尿症(PKU):
フェニルアラニンの代謝障害により、フェニルピルビン酸が異常蓄積する。 - 代謝性アシドーシス:
α-ケト酸(特にピルビン酸や乳酸)の過剰蓄積が血液の酸性化を引き起こすことがある。
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