DPP-4阻害薬
◉DPP-4阻害薬とは
DPP-4阻害薬(ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬)とは、インスリン分泌を調整することで血糖値を下げる薬で糖尿病治療薬として用いられている。
糖尿病治療薬の中には、体重を増加させるものがあるが、DPP-4阻害薬は体重を増加させにくく、また、単独投与では低血糖を起こしにくい。
◉DPP-4の作用機序
インクレチンの分解に関わるDPP−4(ジペプチジルペプチダーゼ4)を阻害し、インクレチンの濃度を上昇させることにより血糖依存的にインスリン分泌促進作用を示すとともにグルカゴン濃度低下作用を示す
インクレチンとは
食事を摂ると小腸から分泌されるホルモン
膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進する。また、α細胞に働きグルカゴンの分泌を抑制することで血糖の上昇を抑制する。
【参考:インスリン分泌促進薬の作用点】
◉DPP-4阻害薬の種類と特徴
- シタグリプチン
(販売名:ジャヌビア錠、グラクティブ錠) - ビルダグリプチン
(販売名:エクア錠) - アログリプチン
(販売名:ネシーナ錠) - リナグリプチン
(販売名:トラゼンタ錠) - テネリグリプチン
(販売名:テネリア錠) - アナグリプチン
(販売名:スイニー錠) - サキサグリプチン
(販売名:オングリザ錠) - トレラグリプチン
(販売名:ザファテック錠) - オマリグリプチン
(販売名:マリゼブ錠)
- シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、アナグリプチン、サキサグリプチン、トレラグリプチン、オマリグリプチンは、腎機能障害のある患者では排泄が遅延し、血中濃度が上昇することがあるため、投与量を調節する必要がある。
- ビルダグリプチンは、重篤な肝障害患者に投与することができない
(投与禁忌)。 - 消化管蠕動運動低下により腸閉塞をきたすことがあるため、消化器症状(腹痛、吐き気、嘔吐など)が認められたら、担当の医師に相談する必要がある。
- 単独投与では、低血糖を起こしにくいが、SU剤と併用すると、低血糖を起こしやすくなるため、DPP-4阻害薬にSU剤を併用する際には、SU剤を減量することが望ましい。