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交感神経系に作用する薬

交感神経系に作用する薬

自律神経系は、交感神経系と副交感神経系で構成されており、一般に1つの効果器(臓器)は、交感神経系と副交感神経系により拮抗的支配を受けている(拮抗的二重支配)。
交感神経系は、運動時、恐怖を感じた時、興奮時に優位になり、活動に必要なエネルギーを有効に利用できるように生体反応(散瞳、気管支拡張、心機能亢進、内臓の血管収縮、肝臓におけるグリコーゲン分解の促進など)が起こる。それに対して、副交感神経系は、安静時や睡眠時に優位になり、エネルギーを蓄えるように生体反応(縮瞳、気管支収縮、心拍数減少、消化管運動の促進、グリコーゲン合成の促進など)が起こる。

1 交感神経系の情報伝達機構

交感神経は、胸髄、腰随から発現しており、基本、短い節前線維(コリン作動性神経)と長い節後線維(アドレナリン作動性神経)で構成されている。

例外として、汗腺と副腎髄質を支配する交感神経があり、汗腺を支配する交感神経は、節後線維よりアセチルコリンが分泌され、副腎髄質は、節前線維のみに支配されている。

基本、交感神経の節後線維は、アドレナリン作動神経であり、神経終末よりノルアドレナリンを放出し、末梢臓器に情報を伝達する。

交感神経終末では、チロシンからドパ、ドパミンを経て、ノルアドレナリン(NAd)が合成される。合成されたNAdは、シナプス小胞に貯蔵され、交感神経興奮によりCa2が流入すると交感神経終末から遊離される。遊離したNAdの一部は、末梢臓器のα受容体、β受容体やシナプス前膜のα2受容体に作用する。
シナプス間隙に遊離したNAdの大部分は、アミントランスポーターにより神経終末に取り込まれ、その一部は、小胞モノアミントランスポーターにより小胞に貯蔵される。また、再取り込みされなかったNAdは、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)により分解される。

2 情報伝達物質の生合成と不活化

1)カテコールアミンの生合成

中枢神経および交感神経節後線維において、チロシンは、チロシン水酸化酵素(チロシンヒドロキシラーゼ)によりドパとなり、その後、芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素によりドパミンとなる。ドパミンは、ドパミンβ−水酸化酵素(ドパミンβ−ヒドロキシラーゼ)によりノルアドレナリンとなる。
中枢神経および副腎髄質において、ノルアドレナリンはN−メチル基転移酵素(N−メチルトランスフェラーゼ)によりアドレナリンとなる。

2)ノルアドレナリンの不活化
 ノルアドレナリンの不活化には、ミトコンドリアや神経終末に存在するモノアミン酸化酵素(MAO)や末梢臓器に存在するカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)が関与している。

MAO(モノアミン酸化酵素)
モノアミンの酸化的脱アミノ化を行う酵素の総称
COMT(カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ)
β−フェニルエチルアミンのカテコールの3位の水酸基(OH)をメチル化する酵素

3 交感神経興奮薬(アドレナリン作動薬)

交感神経興奮薬とは、アドレナリンα受容体やβ受容体にアゴニストとして作用する薬のことであり、①直接型(直接受容体に作用して効果器を興奮させるもの)、②間接型(交感神経終末に作用してノルアドレナリンを遊離させ、間接的に効果器を興奮させるもの)、③混合型(直接型と間接型の両方の性質を有するもの)に分類される。

1)直接型アドレナリン作動薬
(1)アドレナリンα、β受容体刺激薬
① アドレナリン:作用の強さα1=α2=β1=β2

a)循環器系に対する作用
・心臓のβ1受容体を刺激することにより心機能亢進が認められる。
・皮膚血管や内臓血管では、β2受容体よりα1受容体の方が多く存在するため、血管収縮が認められるが、骨格筋の血管や冠血管では、α1受容体よりβ2受容体の方が多く存在するため、血管拡張が認められる。
・低用量投与した場合には、β作用が強く現れるため、心拍数が増加し、血圧は低下するが、高用量を投与した場合には、α作用が強く現れるため、やや血圧が上昇する。

<アドレナリンの血圧反転>
アドレナリンを単独で急速静注すると、β作用に比べ、α作用が強く現れるため、血圧上昇が認められるが、α受容体遮断薬(フェントラミンなど)を投与した後に、アドレナリンを投与するとアドレナリンのα作用が現れず、β作用のみが現れるため、血圧は下降する。

b)血管以外の平滑筋に対する作用
・消化管のβ2受容体を刺激し、消化管の平滑筋を弛緩させる。
・気管支、子宮、膀胱のβ2受容体を刺激し、それぞれの平滑筋弛緩させる。
・瞳孔散大筋のα1受容体を刺激し、散瞳させる(瞳孔平滑筋を収縮する)。

c)代謝
・肝臓のβ2受容体を刺激し、グリコーゲン分解を促進する。
・β3受容体を刺激し、脂肪分解を促進する。

② ノルアドレナリン:作用の強さα1>α2>β1>β2

α1作用が強いため、皮膚、内臓血管収縮作用は強く現れるが、β2作用が弱いため、アドレナリンのようにα1受容体遮断薬で前処理しても血圧反転は認められない。β1受容体を刺激することにより心収縮力が増大するが、α1受容体刺激作用により血圧が上昇するため、反射的に迷走神経が活性化され、徐脈を引き起こすことがある。

(2)アドレナリンα1受容体刺激薬 
① ナファゾリン ② フェニレフリン ③ ミドドリン
<作用>
・アドレナリンα1受容体を刺激することにより、血管収縮作用や瞳孔散大筋収縮作用を示す。
<適用>
①:充血、うっ血の改善
②:急性低血圧又はショック時の補助療法、診断又は治療を目的とする散瞳
③:本態性低血圧、起立性低血圧
<主な副作用>
眼圧上昇、異常な高血圧 など

α1受容体刺激薬による徐脈
アドレナリンα1受容体を刺激すると、血圧上昇による迷走神経の反射により徐脈を起こすことがある。この徐脈は、ムスカリン受容体拮抗薬により回復する。

(3)非選択的アドレナリンβ受容体刺激薬
① イソプレナリン(イソプロテレノール) ② イソクスプリン
<作用>
・β1、β2受容体を刺激する。
・β1受容体刺激:心機能亢進作用(心筋収縮力増強、心拍数増加、心拍出力増加)を示す。
・β2受容体刺激:気管支が拡張する、血管平滑筋及び子宮平滑筋が弛緩する。
<適用>
①:高度の徐脈、気管支けいれん、内耳障害に基づく「めまい」
②:抹消循環障害、子宮収縮の抑制(切迫流・早産)
<主な副作用>
低カリウム血症、心筋虚血、徐脈、頭痛、振戦 など

β2受容体刺激薬による低K血症
β2受容体を刺激すると、Na/KATPaseが活性化されて細胞内にKが取り込まれて低K血症を誘発すると考えられている。

(4)アドレナリンβ1受容体刺激薬
① ドブタミン ② デノパミン
<作用>
・β1受容体を選択的に刺激する。
・心機能亢進作用(心筋収縮力増強、心拍数増加、心拍出力増加)を示す。
<適用>
①:急性循環不全における心収縮力増強を目的で用いられる
②:慢性心不全
<主な副作用>
頻脈、不整脈、動悸、過度の血圧上昇 など
<補足>
・ドブタミンは合成カテコールアミンであり、静脈内投与で急性心不全に用いられ、デノパミンは非カテコールアミンであり、経口投与で慢性心不全に用いられる。

(5)アドレナリンβ2受容体刺激薬
① サルブタモール
② テルブタリン
③ フェノテロール
④ プロカテロール
⑤ ツロブテロール
⑥ サルメテロール
⑦ クレンブテロール
⑧ インダカテロール
⑨ ホルモテロール
⑩ リトドリン

<作用>
・β2受容体を選択的に刺激する。
・気管支拡張作用、血管拡張作用、子宮収縮抑制作用を示す。
<適用>
①〜⑥:気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫
⑦:気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎、腹圧性尿失禁
⑧:慢性気管支炎
⑨:慢性気管支炎(ステロイドとの合剤の場合:気管支喘息)
⑩:切迫流・早産
<主な副作用>
振戦、低K血症、頻脈、動悸 など
<補足>
①〜③:短時間作用型β2受容体刺激薬(SABA)として用いられる。
④:内服は長時間作用型β2受容体刺激薬(LABA)、外用はSABAとして用いられる。
⑤〜⑨:LABAとして用いられる。

(6)アドレナリンβ3受容体刺激薬
① ミラベグロン
② ビベグロン
<作用>
・β3受容体を選択的に刺激する。
・膀胱平滑筋を弛緩させることにより蓄尿機能改善作用を示す。
<適用>
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
<主な副作用>
尿閉、高血圧 など

2)間接型アドレナリン作動薬
(1)間接型アドレナリン作動薬
① アンフェタミン
② メタンフェタミン
<作用>
・ノルアドレナリンの遊離を促進するとともにMAOを阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリンの量を増加させ、α1受容体刺激作用、β1受容体刺激作用を示す。
<適用>
②:ナルコレプシー
<主な副作用>
精神的依存、耐性、興奮、不眠、心悸亢進、頻脈、血圧上昇 など
<補足>
・タキフィラキシー(短時間に反復投与すると、シナプス前ニューロンに存在する化学物質が急激に消耗され、シナプス伝達が低下する現象)を起こす。
・大脳皮質興奮作用を有していることから覚せい剤に分類されている。
・精神的依存が強く、身体的依存はほとんど認められない。

③ アメジニウム
<作用>
・ノルアドレナリンの代わりに交感神経終末に取り込まれ、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害するとともにMAO阻害作用により交感神経機能を亢進する。
<適用>
本態性低血圧、起立性低血圧
<主な副作用>
動悸、頻脈、血圧変動、不整脈、頭痛、立ちくらみ など

チラミン
チーズに含まれる成分であり、アミントランスポーターを介して神経終末に取り込まれ、神経節後終末線維からノルアドレナリンの遊離を促進し、交感神経興奮作用を示す。
・短時間に反復投与すると、シナプス前ニューロンに存在する化学物質が急激に消耗され、シナプス伝達が低下するタキフィラキシーを起こす。

3)混合型アドレナリン作動薬
(1)混合型アドレナリン受容体作動薬
① エフェドリン
<作用>
・β受容体を直接刺激する。
・交感神経終末からのノルアドレナリンの分泌を促進する。
・血液脳関門を通過し、ドパミン遊離やMAOを阻害することにより中枢興奮作用を示す。
<適用>
気管支喘息、気管支炎、感冒、上気道炎を伴う咳嗽
鼻粘膜の充血
<主な副作用>
動悸、血圧上昇、不整脈、振戦、低カリウム血症、不眠 など
<補足>
・麻黄の有効成分である。
・生体膜透過性が高く、COMTやMAOで分解されないため、経口投与で有効性を示す。

② ドパミン
<作用>
・用量によって異なる作用を示す。
・少量:D1受容体を刺激し、腎血管を拡張する(利尿作用を示す)。
・中用量:β1受容体を刺激し、心機能亢進作用を示す。
・大量:α1受容体刺激作用が優位となり、血管収縮を誘発する。
・直接作用に加え、ノルアドレナリンの遊離を促進する作用も有する(間接作用あり)。
<適用>
急性循環不全
<主な副作用>
不整脈、動悸、麻痺性イレウス など
<補足>
・生体膜を通過しにくく、分解されやすいため、経口投与では用いられない。
・ドパミンのプロドラッグであるドカルパミンは、経口投与で持続的効果を示す。

4 交感神経遮断薬(抗アドレナリン薬)

交感神経遮断薬(抗アドレナリン薬)には、アドレナリン作動性神経遮断薬(ノルアドレナリン生合成阻害薬、枯渇薬、遊離阻害薬)やアドレナリン受容体遮断薬(α受容体やβ受容体を遮断する薬)がある。

1)アドレナリン作動性神経遮断薬
アドレナリン作動性神経遮断薬は交感神経終末よりノルアドレナリンの遊離を抑制させる、または、枯渇させることにより交感神経機能を抑制する。

除神経効果
アドレナリン作動性神経遮断薬と直接型アドレナリン作動薬を併用すると、直接型アドレナリン作動薬の効果が増大することがある。これは、アドレナリン作動性神経遮断薬は用いると、ノルアドレナリがシナプス間隙に放出されるのが抑制され、代償的に受容体の量が増える(up regulation)ことにより誘発される。

(1)ノルアドレナリン枯渇薬
① レセルピン
<作用>
・小胞モノアミントランスポーターを阻害し、ドパミンやノルアドレナリンのシナプス小胞(アミン顆粒)への取り込みを阻害することによりアドレナリン作動性神経終末や副腎髄質のノルアドレナリンを枯渇させる。
・ノルアドレナリン枯渇により、降圧作用や鎮静作用が認められる。
・中枢神経、自律神経、副腎などのノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンも枯渇させる。
<適用>
高血圧、統合失調症
<主な副作用>
うつ状態、消化器症状、口渇、徐脈 など

(2)ノルアドレナリン遊離阻害薬
① グアネチジン
・アミントランスポーターにより交感神経系に取り込まれ、交感神経節後線維終末の膜を安定化し、ノルアドレナリンの遊離を抑制するとともに、ノルアドレナリンを枯渇させ、持続的な降圧作用を示す。
・血液脳関門を通過しないため、中枢作用を示さない。

(3)中枢性交感神経抑制薬
① (α−)メチルドパ
② クロニジン
③ グアナベンズ
<作用>
・中枢神経系の血管運動中枢のα2受容体を刺激することにより、神経細胞の興奮を抑制する。
・交感神経節後ニューロンの終末にあるα2受容体を刺激し、ノルアドレナリンの分泌を抑制する。
・上記の作用のより、血管が拡張し、血圧が低下する。
<適用>
高血圧
<主な副作用>
口渇、めまい、眠気、徐脈、起立性低血圧、肝機能障害 など

2)アドレナリン受容体遮断薬
(1)非選択的アドレナリンα受容体遮断薬
① フェントラミン
<作用>
・血管平滑筋のα1受容体を遮断し、血管拡張させる。
・交感神経終末のα2受容体を遮断し、ノルアドレナリンの分泌を増加させることにより心機能が亢進する。
<適用>
褐色性細胞腫の診断
褐色性細胞腫の手術前、手術後の血圧調整
<主な副作用>
急激な血圧低下、起立性低血圧、不整脈 など

(2)アドレナリンα1受容体遮断薬
α1A、α1B、α1D受容体遮断

① ブナゾシン
② ドキサゾシン
③ プラゾシン
④ テラゾシン
⑤ ウラピジル
α1A受容体遮断
⑥ タムスロシン
⑦ シロドシン
α1D受容体遮断
⑧ ナフトピジル

<作用>
 アドレナリンα1受容体にはサブタイプとしてα1A、α1B、α1D受容体があり、遮断する受容体により現れる作用が異なる。
・α1B受容体遮断:血管平滑筋が弛緩する
・α1A受容体遮断:前立腺肥大を軽減する
・α1D受容体遮断:内尿道括約筋が弛緩する
<適用>
①:高血圧症、緑内障
②:高血圧
③〜⑤:高血圧症、前立腺肥大に伴う排尿障害
⑥〜⑧:前立腺肥大に伴う排尿障害
褐色性細胞腫の手術前、手術後の血圧調整
<主な副作用>
急激な血圧低下、起立性低血圧、射精障害、肝機能障害 など

(4)非選択的アドレナリンβ受容体遮断薬
<ISA(-)、MSA(+)>
① プロプラノロール
② ブフェトロール
<ISA(+)、MSA(-)>
③ ピンドロール
④ カルテオロール
<ISA(-)、MSA(-)>

⑤ チモロール
⑥ ナドロール
⑦ ニプラジロール

ISA、MSA
ISA:内因性交感神経刺激作用
β受容体を軽く刺激する作用。ISAを有するβ遮断薬は、ノルアドレナリンやアドレナリンによるβ受容体の刺激を遮断するが、軽いβ刺激作用を示すため、心拍数、心拍出量に対して穏やかな作用を示す。
ISA(-)のものには、心保護作用により心不全の予後を改善するものがある。
MSA:膜安定化作用
Naチャネルを遮断することにより、膜を安定化させる作用。
局所麻酔薬や抗不整脈薬と同様の作用を示す。

<作用>
・β1受容体遮断:心泊数、心拍出量、心収縮力を低下させる、レニン分泌を抑制する
・β2受容体遮断:気管支平滑筋が収縮する、毛様体筋が収縮する
<適用>
①:狭心症、不整脈、高血圧症、片頭痛の発生抑制
②:狭心症、洞性頻脈
③:不整脈、狭心症、高血圧症
④:不整脈、狭心症、高血圧症、緑内障
⑤:緑内障
⑥:不整脈、狭心症、高血圧症
⑦:狭心症、高血圧症、緑内障
<主な副作用>
うっ血性心不全、徐脈、末梢虚血、血糖降下 など
<補足>
気管支喘息、高度徐脈、洞房・房室ブロックには投与禁忌である。

(5)アドレナリンβ1受容体遮断薬
<ISA(-)>
① アテノロール
② メトプロロール
③ ビソプロロール
<ISA(+)>
④ アセブトロール
⑤ セリプロロール

<作用>
・β1受容体遮断:心泊数、心拍出量、心収縮力を低下させる、レニン分泌を抑制する
<適用>
①、②、④:高血圧症、狭心症、不整脈
③:高血圧症、狭心症、不整脈、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全
⑤:高血圧症、狭心症
<補足>
高度徐脈、急性心不全、洞房・房室ブロックには投与禁忌である。
非選択的アドレナリンβ受容体に比べ、気管支への影響は少ないが、気管支ぜん息患者には慎重に投与する必要がある。

(6)アドレナリンα1、β受容体遮断薬
① ラベタロール
② アモスラロール
③ アロチノール
④ カルベジロール

<作用>
・α1受容体遮断:血圧が低下する
・β1受容体遮断:心泊数、心拍出量、心収縮力を低下させる、レニン分泌を抑制する
・β2受容体遮断:気管支平滑筋が収縮する、毛様体筋が収縮する
<適用>
①、②:高血圧症
③:高血圧症、狭心症、不整脈、本態性振戦
④:高血圧症、狭心症、不整脈、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全
<補足>
気管支喘息、高度徐脈、洞房・房室ブロックには投与禁忌である。

◇関連問題◇
第97回第152、第98回問27、第98回問153、第99回問29、第100回問153、第101回問28、
第101回問152、第102回問29、第102回問152、第103回問28、第103回問152、第104回問152

第104回薬剤師国家試験 問226〜227

第104回薬剤師国家試験 問226〜227

58歳男性。 健康診断の結果が、体重72 kg、血清クレアチニン値1.0 mg/dL、BUN 20 mg/dL、 空腹時血糖値122 mg/dL、HbA1c(NGSP値)6.5%、BMI 25.6であったため、かかりつけ医を受診した。かかりつけ医での検査の結果、耐糖能異常と診断され、食事療法と運動療法を開始した。仕事上、夜勤があり、食生活が不規則で十分な改善効果が得られなかったため、以下の薬剤を処方され薬局を訪れた。患者は、この薬剤の服用は初めてで、服用方法や副作用について不安を抱いている様子であった。

問226(実務)
薬剤師がこの患者に行う服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 おならが増えたり、下痢をしたりすることがありますが、症状が軽度の場合は心配せず続けて服用してください。
2 この薬で腎臓の働きが悪くなることがありますので、尿量が減少した場合はお知らせください。
3 この薬で低血糖症状が起きた時は、砂糖では改善効果が低いのでブドウ糖を摂取してください。
4 この薬を食直前に飲めなかった場合は、食間でも同様の効果がありますので、 食後2時間を目安に飲んでください。
5 この薬は舌の下で溶かして口の中で吸収させる薬なので、水で飲み込まないでください。

 

 

 

 

 

 


解答
1、3


解説
1 正
本剤を服用することにより、消化管においてα−グルコシダーゼが阻害され、二糖から単糖への分解が抑制される。消化管で未消化の糖類は、腸内細菌により発酵し、ガスを発生することから腸閉塞様症状(腹部膨満や放屁の増加など)の原因となる。また、消化管で未消化の糖類は、消化管の浸透圧を増加させるため、浸透圧性の下痢を誘発することがある。これらの症状が軽度の場合、身体に影響がほとんどないことから、本剤を継続して服用しても問題ない。
2 誤
本剤はほとんど消化管から吸収されないため、腎機能に対して影響を与えることはない。
3 正
本剤投与中に低血糖が現れた場合には、砂糖(スクロース:二糖)ではなく、グルコース(単糖)を摂取する必要がある。
4 誤
本剤を食直前に飲み忘れた場合には、以下のように対処する必要がある。
食事中に気づいた時にはすぐに服用し、食後に気づいた時には、その回を服用せず、次回服用時に1回分服用する。
5 誤
本剤は口腔内崩壊錠であり、消化管から吸収されるように設計されているため、唾液または水で飲み込む必要がある。


問227(衛生)
 前問の服薬指導の根拠となる糖質の消化・吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 マルトースは、グルコースよりも小腸からの吸収効率が高い。
2 マルターゼは、α−グルコシダーゼである。
3 スクロースは、グルコースとフルクトースが α1→ 4結合したものである。
4 二糖類が消化されずに小腸管腔内に滞留すると、浸透圧性の下痢を起こしやすくなる。
5 ボグリボースは、ラクトースの分解を阻害する。

 

 

 

 

 

 

 


解答
2、4 


解説
1 誤
マルトースは、グルコースがα−グルコシド結合(α1→4結合)した二糖であり、単糖であるグルコースより小腸からの吸収効率が低い。
グルコースは、小腸に存在するNa/グルコーストランスポーター1(SGLT1)により小腸上皮細胞に取り込まれるが、マルトースはマルターゼによりグルコース2分子に分解されてからSGLT1により小腸上皮細胞に取り込まれるため、マルトースはグルコースに比べ小腸からの吸収効率が低い。
2 正
3 誤
スクロースは、グルコースとフルクトースがα1→β2結合したものである。
4 正
5 誤
ラクトースは、ガラクトースとグルコースがβ−ガラクトシド結合(β1→4結合)した二糖であることから、α−グルコシダーゼ阻害薬(ボグリボースなど)により分解を阻害されることはない。

レクサプロ(エスシタロプラム)

名称

商品名:レクサプロ
一般名:エスシタロプラムシュウ酸塩


剤形、規格

錠:10mg、20mg


構造


薬効分類

セロトニン再取り込み阻害薬


薬効薬理・作用機序

エスシタロプラムは選択的にセロトニンの再取り込みを阻害することにより脳内において細胞外のセロトニン濃度を増大させ、5−HT系神経を賦活化させ抗うつ作用を示すと考えられている。

エスシタロプラムの特徴
他のSSRIに比べ、セロトニン受容体に対してより選択的に作用する。

適応症、服用方法、使用方法

・うつ病・うつ状態、社会不安障害
通常、成人にはエスシタロプラムとして10mgを1日1回夕食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日最高用量は20mgを超えないこととする。

下田武

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮することとされている。


使用できない場合(禁忌)

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者
・ピモジドを投与中の患者
・QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)
[心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心電図QT間隔の過度な延長を起こすことがある。]


副作用

<主な副作用>
倦怠感、浮動性のめまい、頭痛、傾眠、感覚鈍麻、易刺激性、腹部不快感、食欲減退、腹痛、動悸、肝機能検査値異常、排尿困難、回転性めまい、耳鳴り

<重大な副作用>
・痙攣
・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
・セロトニン症候群
・QT延長症候群


(注意事項)
作成日時の時点における医薬品情報を使用して作成しております。
医薬品を使用する前には、必ず最新の添付文書を確認するようにしてください。

第104回薬剤師国家試験 問224〜225

第104回薬剤師国家試験 問224〜225

7 歳女児。卵アレルギーがある。小学校で給食を食べた直後、女児が異常を訴えた。ゼーゼーとした呼吸音(喘鳴)、皮膚の赤み、唇とまぶたの赤みを担任教諭が確認し、アドレナリン注射液(エピペン®️注射液)を投与して、その後の適切な対応により改善した。この女児が引越しに伴い転校することになり、転校先の学校に母親より女児の受け入れ後の対応について相談があった。


問224(物理・化学・生物)
この女児の症状を引き起こした生体内反応として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 卵由来のアレルゲンと結合した細胞外マトリックス成分に対する抗体(IgG)により、抗体依存性細胞障害が起きた。
2 卵由来のアレルゲンに対する抗体(IgGやIgM)が免疫複合体を形成して組織に沈着し、補体を活性化した。
3 肥満細胞上の抗体(IgE)に卵由来のアレルゲンが結合して、肥満細胞の活性化を引き起こし、ケミカルメディエーターが放出された。
4 卵由来のアレルゲンを認識したT細胞が炎症性サイトカインを放出し、マクロファージを活性化した。
5 卵由来のアレルゲンと結合した抗体により、NK細胞が活性化した。

 

 

 

 

 

 

 


解答
3


解説
本症例では、給食を食べた直後、女児に喘鳴、皮膚の赤み、唇とまぶたの赤みが現れたことを確認し、アドレナリン注射液(エピペン®️注射液)を投与していることから、女児は、給食に含まれていたアレルゲン(卵に含まれるタンパク質)によりアナフィラキシーショックを引き起こしたと推察される。
アナフィラキシーショックは、Ⅰ型アレルギーに分類されており、アレルゲンが体内に侵入し、肥満細胞や好塩基球上の抗体(IgE)に結合して、ケミカルメディエーターが放出されることにより誘発される。


問225(実務)
この相談を受け、万が一に備えて小学校から学校薬剤師にアドレナリン注射液(エピペン®️注射液)の使用法講習の依頼があった。学校薬剤師が説明する重要なポイントとして、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 アナフィラキシーの初期症状が現れたら、ショック症状が発現する前に投与する。
2 正しい持ち方は、図のとおりである。
3 注射部位に垂直になるようにし、強く押し付ける。
4 お尻に注射する。
5 緊急時には、衣服の上からでも注射することができる。

 

 

 

 

 

 

 


解答
4


解説
1 正しい
本剤は、ショック症状の発現を防止するために、アナフィラキシーの初期症状が現れたら、速やかに使用する。
2 正しい
3 正しい
4 誤っている
本剤は、臀部からの注射を避け、大腿部の前外側から注射することとされている。
5 正しい

受容体と情報伝達系

1 受容体

内因性情報伝達物質(神経伝達物質、ホルモン、オータコイドなど)には、それぞれに固有の受容体が存在する。受容体は、発現部位や効果の現れ方、機能、情報伝達の違いなどによりサブタイプに分類される。

1)アドレナリン受容体

2)アセチルコリン受容体

3)ヒスタミン受容体

4)セロトニン受容体

5)ドパミン受容体

6)グルタミン酸受容体

7)GABA受容体

8)グリシン受容体

9)オピオイド受容体

10)アンギオテンシンⅡ受容体

11)エイコサノイド受容体

2 細胞膜受容体

細胞膜受容体は、アゴニストが結合することによって発生する刺激情報が細胞内に伝達される様式からGタンパク質共役型、イオンチャネル内蔵型、酵素内蔵型受容体の3種類に分類することができる。

1)Gタンパク質共役型受容体
 Gタンパク質共役型受容体は、細胞膜7回貫通型受容体であり、Gタンパク質を介して効果器である酵素やイオンチャネルの活性化をもたらす。

2)イオンチャネル内蔵型受容体
 イオンチャネル内蔵型受容体は、細胞膜4〜5回貫通型受容体であり、受容体にアゴニストが結合することによりイオンチャネルが活性化される。

チャネルが開口すると、濃度の高い方から低い方にイオンが移動する。細胞外には、Ca2、Na、Clが多いため、それぞれのチャネルが開口すると細胞外から細胞内にCa2、Na、Clが流入する。それに対して、細胞内には、Kが多いため、Kチャネルが開口すると細胞内から細胞外にK、Na、Clが流出する。

3)酵素内蔵型受容体
 酵素内蔵型受容体には、チロシンキナーゼ内蔵型受容体やグアニル酸シクラーゼ内蔵型受容体などがある。酵素内蔵型受容体は、細胞膜1回貫通型受容体であり、細胞内に酵素活性領域を有しており、リガンドが結合すると細胞内で酵素活性化による反応が促進する。
チロシンキナーゼ内蔵型受容体の代表例として、インスリン受容体や上皮成長因子(EGF)受容体があり、グアニル酸シクラーゼ内蔵型受容体の代表例として、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体がある。

インスリン受容体
受容体にインスリンが結合すると、細胞質内に存在するチロシンキナーゼ部分が活性化し、作用発現に関与するIRS(insulin recepter substrate)のチロシンがリン酸化される。
それにより、グルコース輸送担体(GULT)が細胞内から細胞表面に移動し、細胞外から細胞内にグルコースが取り込まれる。

 

3 細胞内受容体

細胞内受容体は、細胞質や核内に存在する。細胞内受容体は、リガンドに結合し、複合体を形成すると、核内に存在するDNAに作用することにより転写調節因子として作用する。
例)活性型ビタミンD3受容体、コルチゾール受容体、アルドステロン受容体、エストロゲン受容体、レチノイン酸受容体、甲状腺ホルモン受容体 など

4 細胞内情報伝達系

薬物や情報伝達物質が受容体に結合することにより、細胞内シグナルが発生し、最終応答を生じさせるまでのプロセスを細胞内情報伝達系という。

1)Gタンパク質共役型受容体
 Gタンパク質共役型受容体に薬物が作用すると、細胞膜内伝達器(G タンパク質)と酵素を介して、細胞内セカンドメッセンジャーに情報が伝達され、生理反応が認められる。

<Gタンパク質を介した情報伝達>
細胞膜上受容体と共役するGタンパク質はαβγの三量体構造を有している。受容体にアゴニストが結合すると、Gタンパク質が活性化することにより効果器に情報が伝達される。
①:受容体にアゴニストが結合すると、Gタンパク質の構造が変化する。
②:Gタンパク質の構造変化によりGαに結合しているGDPがGTP に変換される。
③:活性型Gα又はβγサブユニットが効果器の活性化を促進または抑制する。
④:GαはGTPaseを有しており、細胞内GTPからGDPを産生し、結合すると共にβγサブユニットと会合して不活性型に戻る。

2)アデニル酸シクラーゼを活性化する系
 アデニル酸シクラーゼ活性化系では、受容体にアゴニストが結合すると、Gsタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼが活性化され、細胞内のサイクリックAMP(cAMP)が増加する。増加したcAMPによりプロテインキナーゼAが活性化し、細胞内機能タンパク質がリン酸化され、生理反応が引き起こされる。

3)アデニル酸シクラーゼを抑制する系
 アデニル酸シクラーゼ抑制系では、受容体にアゴニストが結合すると、Giタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼの活性が抑制され、細胞内のサイクリックAMP(cAMP)が減少する。cAMPに減少することによりプロテインキナーゼAが活性が低下し、細胞内機能タンパク質がリン酸化が抑制されることにより生理反応が引き起こされる。
また、心房細胞に存在するM2受容体が刺激されると、Giタンパク質βγサブユニットを介して、Gタンパク質制御型Kチャネルが開口することにより徐脈が認められる。

4)ホスホリパーゼCを活性化する系
 ホスホリパーゼCを活性化する系では、受容体にアゴニストが結合すると、Gqタンパク質を介してホスホリパーゼC(PLC)が活性化され、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスリン酸(PIP2)からイノシトール1,4,5−トリスリン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)が産生される。
IP3はIP3受容体に結合することにより小胞体からCa2の遊離を促進するとともに細胞外からのCa2の流入を促進する。DGは、プロテインキナーゼCを活性化することにより細胞内機能タンパク質のリン酸化を介して様々な生理反応を引き起こす。

5)一酸化窒素(NO)
 一酸化窒素は、情報伝達物質であり、受容体を介することなく血管弛緩因子として作用する。
<一酸化窒素(NO)を介した血管平滑筋の弛緩>
①:アセチルコリンがムスカリンM3受容体に結合するとGqタンパク質を介して一酸化窒素合成酵素が活性化される。
②:血管内皮細胞において、活性化された一酸化窒素合成酵素によりアルギニンから一酸化窒素が生成する。
③:血管内皮細胞で合成されたNOが血管平滑筋細胞に遊離し、血管平滑筋細胞の可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化することによりサイクリックGMP(cGMP)が増加する。
④:血管平滑筋細胞のcGMPの増加によりプロテインキナーゼGが活性化し、血管平滑筋が弛緩する。

◇関連問題◇
第97回第151、第98回問26、第99回問26、第99回問151、第101回問26、第102回問27、
第102回問151、第103回問26、第104回問151

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第104回薬剤師国家試験 問222〜223

第104回薬剤師国家試験 問222〜223

78歳男性。経営している会社の業務量が最近急増し、デスクワークが毎日続いたため、眼精疲労と肩こりを強く感じ、一般用医薬品を購入するため来局した。男性が所持していたお薬手帳により、服用中の薬を確認した。男性はパーキンソン病で以下の処方薬を服用していることが判明した。


問222(実務)
 現在、薬局には以下の成分を含む一般用医薬品がある。この男性に販売するのに適切なのはどれか。2つ選べ。


問223(物理・化学・生物)
 前問において、販売すべきでないと薬剤師が統合的に判断した根拠のうち、レボドパの代謝に関わる反応とそれに必要なビタミンの組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。

 

 

 

 

 

 

 


問222: 解答
3、4

問223:解答
2


解説
レボドパは末梢(血液中)でレボドパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)の影響を受け、分解され(脱炭酸され)、中枢移行性が低下することがあるため、芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素の補酵素であるビタミンB6(ピリドキサール、ピリドキシン、ピリドキサミン)と併用することを避ける必要がある。
上記のことより、この患者にはピリドキサールリン酸(活性型ビタミンB6)、ピリドキシン塩酸塩を含む一般用医薬品を販売すべきではない。また、選択肢2はイブプロフェン(解熱鎮痛剤)、ジヒドロコデインリン酸塩(鎮咳薬)などが含まれている総合感冒薬であり、本患者の症状である眼精疲労、肩こりに効果が期待できないため、本患者に販売すべきではない。

第104回薬剤師国家試験 問220〜221

第104回薬剤師国家試験 問220〜221

88歳男性。独居。現在、高血圧症で以下の処方により在宅療養中であり、日中もほとんど寝たきりの生活をしている。

患者は過去に貼付剤による接触性皮膚炎を発症したことがある。また、患者は1人で服薬できないため、50 歳の一人娘が毎朝出勤前に薬の管理と服薬介助をしている。娘はこれ以上の介護負担は困難だと考え、将来に不安を感じている。医師からは、血液検査結果に異常は認められないが、最近、患者の嚥下能力が低下し始めているので、誤嚥に注意するように言われている。


問220(物理・化学・生物)
 患者の娘が仕事帰りに薬局に立ち寄り、「誤嚥はどのようにして起こるのですか」と薬剤師に質問した。正常な嚥下及び誤嚥の過程について、下図を用いた薬剤 師の説明として正しい組合せはどれか。1つ選べ。なお、下図は、口腔から食道・ 気管までの断面図である。

A 咽頭口部への移送
B 咽頭喉頭部への移送
C 喉頭蓋による気道の閉鎖
D アへの移送
E イへの移送

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解答
5


解説
<正常な嚥下の過程>
咽頭口部への移送→咽頭蓋による気道の閉塞(この過程により誤嚥が起こらないようになっている)→咽頭喉頭部への移送→イ(食道)への移送  <誤嚥の過程>
咽頭口部への移送→咽頭喉頭部への移送→ア(気道)への移送


問221((実務)
本日の訪問診療で、医師は軽度アルツハイマー型認知症と診断し、薬局に処方提案を依頼した。依頼を受け、薬剤師はアルツハイマー型認知症に適応のある医薬品の用法及び剤形を表のようにまとめた。患者の生活状況、全身状態、疾患などを考慮して、訪問医に追加提案する薬剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠
2 ガランタミン臭化水素酸塩口腔内崩壊錠
3 ガランタミン臭化水素酸塩内用液
4 リバスチグミン経皮吸収型製剤
5 メマンチン塩酸塩口腔内崩壊錠

 

 

 

 

 

 

 


解答
1


解説
以下の点より、訪問医に追加提案する薬剤として適切なものを選択する必要がある。
・以前に貼付剤により接触性皮膚炎を起こしている
→貼付剤であるリバスチグミンは不適
・これ以上の介護負担は困難(服用回数をこれ以上増やすことは困難)
→1日2回服用する必要があるガランタミンは不適
・軽度のアルツハイマー
→中等度〜高度のアルツハイマー型認知症に用いるメマンチンは不適

第104回薬剤師国家試験 問218〜219

第104回薬剤師国家試験 問218〜219

27歳女性。 1年前に結婚し、近いうちに子供が欲しいと考えている。自分の母子手帳を確認したところ、麻しんワクチンの接種記録が1回であった。近隣の病院に設置されたお薬相談コーナーに、麻しんワクチン接種の相談に訪れた。麻しんワクチン製剤は現時点で入手の見通しが立たないので接種できないが、当該病院には麻しん風しん混合ワクチン製剤の在庫がある。

 問218(実務)
相談を受けた薬剤師が、この女性に行う説明として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 麻しんワクチン接種歴が1回あるので、追加のワクチン接種は必要ありません。
2 マスクを着用し、手洗いをすれば、ワクチン接種は必要ありません。
3 麻しんワクチンの代替として、麻しん風しん混合ワクチンを接種できます。
4 妊娠していても、ワクチン接種はできます。
5 ワクチン接種後約2ヶ月間は妊娠しないように注意してください。

 

 

 

 

 

 

 

 


解答
3、5


解説
1 誤
麻しんワクチンは、1回接種のみでは、2〜5%程度免疫が十分に得られない場合があるが、2回接種すると、免疫を獲得することができる割合が97〜99%以上になるとされていることから、麻しんワクチンは、2回接種することとされている。
2 誤
麻しんウイルスは、空気感染(飛沫核感染)するため、マスクの着用や手洗いをしても感染することがある。麻しんを予防するための有効な方法として、麻しんワクチンを接種する必要がある。
3 正
4 誤
麻しん風しん混合ワクチンは、弱毒生ワクチンであり、妊婦に投与禁忌とされている。また、麻しん風しん混合ワクチン接種後約2ヶ月間は妊娠しないようすることとされている。
5 正
解説4参照


問219(物理・化学・生物)
この女性への説明事項の根拠として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 麻しんウイルスは、主として腸管粘膜で増殖し、リンパ節へと拡散する。
2 麻しんウイルスは、回帰発症により帯状疱疹を生じさせる。
3 麻しんウイルスは空気感染はせず、飛沫感染及び接触感染によって伝播する。
4 麻しん風しん混合ワクチンは、麻しんワクチンと同様に麻しんウイルスに対する細胞性免疫を獲得させる。
5 麻しん風しん混合ワクチン中の麻しんワクチンは、弱毒生ワクチンである。

 

 

 

 

 

 

 

 


解答
4、5


解説
1 誤
麻しんウイルスは、主として気管支粘膜で増殖し、リンパ節へと拡散する。
2 誤
麻しんウイルスは、帯状疱疹の原因とはならない。なお、回帰発症により帯状疱疹を生じさせるのは、水痘・帯状疱疹ウイルスである。
3 誤
麻しんウイルスは、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染及び接触感染によって伝播する。
4 正
麻しん風しん混合ワクチンは、麻しんワクチンと同様に弱毒生ワクチンであり、麻しんウイルスに対する細胞性免疫および体液性免疫を獲得させる。
5 正 

第104回薬剤師国家試験 問216〜217

第104回薬剤師国家試験 問216〜217

78歳女性。体重45 kg。骨粗しょう症、うつ病及び不眠症のため下記の処方薬を服用していた。最近、食欲がなくなり、とても体がだるいとの訴えを聞いた家族が、この女性を通院中の病院に連れて来たところ、そのまま入院となった。

入院時の検査の結果、低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム高値、 高張尿が見られた。しかし、脱水症状は無く、腎機能及び副腎皮質機能が正常であり、上記以外の疾患はなかった。その結果、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)と診断された。診断した医師から薬剤師に薬学的管理について相談があった。

 問216(実務)
この患者の薬学的管理に関する提案として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 アルファカルシドールカプセルの中止
2 パロキセチン錠の中止
3 ゾピクロン錠の中止
4 塩化ナトリウムの投与
5 積極的な水分摂取


問217(物理・化学・生物)
この患者の検査結果で見られた異常の原因として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 腎臓の集合管におけるプロテインキナーゼA活性の阻害
2 腎臓の集合管での水分の再吸収の促進
3 腎臓のヘンレループ上行脚における Na/K/2Cl共輸送体の阻害
4 腎臓のヘンレループ下行脚での水分の再吸収の促進
5 下垂体後葉からの抗利尿ホルモン(バソプレシン)分泌の抑制

 

 

 

 

 

 

 

 


問216:解答
2、4

問217:解答
2


解説
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、抗利尿ホルモン(バソプレシン)が持続的分泌され、腎臓の集合管で水分の再吸収が促進されることにより低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム高値、 高張尿が認められる。
本症例では、うつ病、不眠症以外の疾患がなく、SIADHと診断されていることから、薬剤性SIADHであると推察される。薬剤性SIADHでは、原因薬物を中止するとともに低ナトリウム血症を解消する目的で塩化ナトリウムを投与する必要がある。処方薬のうち、パロキセチン錠は重大な副作用としてSIADHを起こすとの報告があることから、パロキセチン錠を中止し、塩化ナトリウムを投与する必要がある。

第104回薬剤師国家試験 問214〜215

第104回薬剤師国家試験 問214〜215

50歳女性。3ヶ月前から、ふくらはぎがつることで眠れないなどの症状が出たので、市販の漢方薬Aを服用していた。今回、両下腿浮腫が発現したので、近医を受診し、胸部レントゲン検査にて心拡大を認めたため入院となった。血圧160/64 mmHg、脈拍78回/分、血清カリウム値3.1 mEq/L。動脈血ガス検査にて代謝性アルカローシスを認めた。心電図は正常。心臓超音波検査にて、心機能正常 だが心嚢液貯留を認めた。


問214(実務)
漢方薬Aはどれか。1つ選べ。

1 芍薬甘草湯
2 八味地黄丸
3 半夏厚朴湯
4 大建中湯
5 牛車腎気丸

 

 

 

 

 

 


解答
1


解説
 本症例では、ふくらはぎがつることを改善するために市販の漢方薬Aを服用していたことから、漢方薬Aは、芍薬甘草湯であると推察される。
1 正
芍薬甘草湯は、急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛に用いられる。
2 誤
八味地黄丸は、疲労、倦怠感が著しく、尿量減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧に用いられる。
3 誤
半夏厚朴湯は、 気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症に用いられる。
4 誤
大建中湯は、腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるものに用いられる。
5 誤
牛車腎気丸は、疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少または多尿で時に口渇がある、下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみに用いられる。


問215(物理・化学・生物)
 前問における漢方薬A服用後の症状の発現の原因となる生薬成分は、腸内細菌による加水分解を受けたのちに吸収される。加水分解後の化学構造はどれか。1つ選べ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解答
5


解説
 本患者は、血圧が高く(160/64 mmHg)、血清カリウム値(3.1 mEq/L)が低いことから偽アルドステロン症の症状が現れている可能性があると考えられる。漢方薬Aの構成生薬は、シャクヤク、カンゾウであり、カンゾウの有効成分であるグリチルリチン酸により偽アルドステロン症を誘発することがある。
カンゾウの有効成分であるグリチルリチン酸は、腸内細菌のβ−グルクロニダーゼにより加水分解を受けグリチルレチン酸(選択肢5)に代謝される。