投稿者「下田 武」のアーカイブ

第104回薬剤師国家試験 問174

第104回薬剤師国家試験 問174

ある薬物の静注用の水性注射剤の製造工程を図に示した。本注射剤及びその製 造工程に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 アの操作として、高圧蒸気法を用いなければならない。
2 イの操作は、10-6以下の無菌性保証水準が得られる条件で行われる。
3 容器Aは、日本薬局方一般試験法のエンドトキシン試験法に適合しなければならない。
4 溶剤Bは、日本薬局方一般試験法の発熱性物質試験法に適合しなければならない。
5 充てんは、表示量の±5%の範囲で行う。

 

 

 

 

 

 


解答
2


解説
1 誤
製造工程のアでは、ガラスアンプルの滅菌を行なっている。ガラスアンプルの滅菌では、加熱法である高圧蒸気滅菌(湿熱滅菌法)や乾熱滅菌法を用いることができる。
2 正
製造工程のイでは、ガラスアンプルに充てんした静注用の水性注射液の滅菌を行なっている。この方法のように製剤を充てんした後に滅菌する方法を最終滅菌法という。最終滅菌法は、通例、適切な滅菌指標体を用いるなどして、10-6以下の無菌性保証水準を担保する条件において行う。
3 誤
容器Aは、ガラスアンプルであるため、注射剤用ガラス容器試験法に適合しなければならないが、エンドトキシン試験法に適合する必要はない。
4 誤
溶剤B(注射用水)は、エンドトキシン試験法に適合すれば、発熱性物質試験法に適合する必要はない。
5 誤
注射剤は、採取容量試験法(表示量よりやや過剰に採取できる量が容器に充てんされていることを確認する試験法)に適合するために、表示量よりも多く充てんされていなければならない。

第104回薬剤師国歌試験 問258〜259

第104回薬剤師国歌試験 問258〜259

63 歳男性。根治切除不能な悪性黒色腫と診断され、外来化学療法でニボルマブが投与されることになった。薬剤師が初回投与時に患者のもとを訪れ、抗がん薬の特徴や注意すべき副作用の説明を行うことになった。


問258(実務)
ニボルマブの市販後に報告されている以下の副作用のうち、その作用機序から考えて、間接的に生じると思われる副作用として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 間質性肺炎
2 低血糖
3 重症筋無力症
4 下痢
5 甲状腺機能障害

 

 

 

 

 


解答
2


解説
ニボルマブは、モノクローナル抗体であり、活性型T細胞の表面に発現するPD−1に作用し、PD−1とPD−L1及びPD−L2との結合を阻害することによりT細胞への抑制シグナルを減少させることで、がん細胞に不応答となっていた腫瘍抗原特異的なT細胞の再活性化作用を示す。ニボルマブはT細胞活性化作用を有していることから、過剰な免疫反応による副作用が発現することがある。

過剰な免疫反応により起こる副作用
間質性肺炎、重症筋無力症、心筋炎、大腸炎、小腸炎、重度の下痢、1型糖尿病、血液障害、肝機能障害、甲状腺機能障害、下垂体機能障害、神経障害、腎障害、副腎障害、脳炎、皮膚障害 など

選択肢のうち、過剰な免疫反応により、間接的に生じると思われる副作用は、低血糖である。ニボルマブを投与すると、甲状腺機能障害や下垂体機能障害、副腎障害が起こることにより血糖上昇ホルモン(甲状腺ホルモン、成長ホルモン、副腎髄質ホルモン、副腎皮質ホルモン)が分泌されにくくなり、低血糖を起こすと考えられる。


問259(薬理)

ニボルマブは別の薬物を併用すると作用増強が現れる。理論的に考えて、同一細胞における別の標的分子に働くことで、ニボルマブと相乗作用を示すと考えられる併用薬の作用点として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 RANKL(NF−κB活性化受容体リガンド)
2 CD20
3 CTLA−4(細胞傷害性Tリンパ球抗原−4)
4 VEGFR2 (血管内皮増殖因子受容体2型)
5 HER2 (ヒト上皮増殖因子受容体2型)

 

 

 

 

 

 


解答
3


動画解説


解説
ニボルマブの作用を増強させる目的で、ニボルマブと併用される薬としてイピリムマブがある。イピリムマブは、モノクローナル抗体であり、活性化T細胞表面に発現するCTLA−4に作用し、CTLA−4と抗原提示細胞に存在するCD80/CD86との結合を阻害することによりT細胞への抑制シグナルを減少させることで、腫瘍抗原特異的なT細胞の増殖、活性化作用を示す。また、制御性T細胞(Treg)の機能低下及び腫瘍組織におけるTreg数の減少により腫瘍免疫反応を亢進させ、抗腫瘍効果を示すと考えられる。

第104回薬剤師国歌試験 問175

第104回薬剤師国歌試験 問175

コーティングを施した固形製剤の溶出性を調べたところ、下図の結果が得られた。この薬物溶出を示す製剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。ただし、薬物の溶解度は試験液のpHに依存せず、薬物と添加剤の相互作用はないものとする。

 

 

 

 

 

 

 

 


解答
3


解説
設問の図よりpH1.2、pH6.0の試験液では薬物は溶出せず、pH7.0の試験液で薬物が溶出していることを確認することができる。このことから、本製剤は、腸溶性製剤であると考えられる。選択肢のうち、腸溶性製剤は、メタクリル酸コポリマーSでコーティングされている選択肢3の製剤である。なお、選択肢1、2、5の製剤は即放性部分があるため、pH1.2、pH6.0の試験液で薬物が溶出する。また、選択肢4の製剤はヒプロメロースにより胃溶性コーティングされているため、pH1.2、pH6.0の試験液で薬物が溶出する。

第104回薬剤師国家試験 問173

第104回薬剤師国家試験 問173

ある固体薬物Aに粉砕や再結晶などの処理を行ったところ、下図の粉末X線回折パターンを示す固体a、b、cが得られた。別の方法で再結晶を行ったところ、異なる回折パターンを示す固体dが得られた。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。 ただし、粉末X線回折測定に必要な前処理により、薬物Aの化学変化や固体組成の変化は生じないものとする。

1 固体a〜dの回折パターンを比較することにより、それぞれの結晶の外観の相違を判断できる。
2 固体aと固体bの回折パターンを比較することにより、固体aの水分量は固体bより多いことが判断できる。
3 固体aと固体dの回折パターンから、両者の結晶の単位格子の大きさが異なっていることが判断できる。
4 固体bと固体dは、結晶多形の関係にあると判断できる。
5 固体cの回折パターンから、本品の結晶性は著しく低いことが判断できる。

 

 

 

 

 

 


解答
4、5


解説
粉末X線回折パターンから得られる回折図については、以下の特徴を示す。
・同じ結晶構造を有する(単位格子の大きさが同じ)ものは、同じ回折角の部分に回折強度が強く現れる。
・異なる結晶構造を有する(単位格子の大きさが異なる)ものは、異なる回折角の部分に回折強度が強く現れる。
・結晶構造を有していないもの(非晶質)は、明確な回折強度は現れない。
上記より、固体a、dは同じ回折角度に回折強度が現れていることから、固体a、dは単位格子の大きさが同じであり、固体a、dと固体bでは、異なる回折角度に回折強度が現れていることから、固体a、dと固体bは異なる結晶構造を有している(結晶多型である)と考えられる。また、固体cは明確な回折強度が現れていないことから、結晶性が著しく低い(非晶質である)と考えられる。

分析バリデーション

バリデーション

 バリデーションとは、医薬品の製造工程、手順、品質管理の方法に問題ないかを検証することである。バリデーションには様々なものがあり、分析法を対象としたものを分析法バリデーションという。

分析法バリデーション

分析法バリデーションとは、医薬品の試験法に用いる分析法が適切であるかを検証することであり、日本薬局方では、以下のように定義されている。
分析法バリデーションとは、「医薬品の試験法に用いる分析法が、分析法を使用する意図に合致していること。すなわち、分析法の誤差が原因で生じる試験の判定の誤りの確率が許容できる程度であることを科学的に立証することである。」と定義されている。

分析能パラメーター

分析法バリデーションでは、分析法の妥当性を示すために評価する必要があるパラメーターが定められている。このパラメーターを分析能パラメーターという。分析能パラメーターには、「真度」「精度」「特異性」「検出限界」「定量限界」「直線性」「範囲」がある。


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第87回薬剤師国家試験 問62

第87回薬剤師国家試験 問62

下の模式図に示すA及びB地域の年齢別生存数に関する記述について、正しいのはどれか。1つ選べ

1 このグラフの縦軸は10万人の出生者が、観察集団の各年齢の死亡率に従って死亡すると仮定して算出した生き残る人数の期待値である。
2 平均寿命は、A地域よりB地域の方が長い。
3 A地域とB地域の50歳における平均余命は同じである。

 

 

 

 

 

 

 

 


解答


動画解説


解説
動画解説参照

第104回薬剤師国家試験 問170

第104回薬剤師国家試験 問170

25 °Cにおいて固相が十分に存在する条件下、pHと弱電解質Aの分子形とイオン形の溶解平衡時の濃度の関係を図に表した。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、弱電解質Aの分子形とイオン形の溶解平衡時の濃度比はHenderson–Hasselbalch の式に従い、弱電解質Aの溶解やpH調整に伴う容積変化は無視できるものとする。必要ならば、log2=0.30、log3=0.48、101/2 =3.2を 用いて計算せよ。

1 弱電解質Aは弱酸性化合物である。
2 弱電解質Aの pKa は2.0である。
3 25 ℃において、pH7.0のときの弱電解質Aの溶解度は、pH6.0のときの溶解度の約10倍になると予想される。
4 25 ℃において、pH1.0のときの弱電解質Aの溶解度は、pH2.0のときの溶解度の約1/10倍になると予想される。
5 25℃において、弱電解質A5 mgを水1 mLに分散させたとき、pH5.5以上になると全量が溶解すると予想される。

 

 

 

 

 

 

 


解答
1、3


解説
設問の図より以下のことを読み取ることができる。
pHの増加に伴ってイオン形の濃度が上昇していることから、弱電解質Aは弱酸性薬物であると考えられる。
pH4では、分子の濃度とイオンの濃度が同じであることから、弱電解質AのpKaは4.0であると考えられる。
1 正
前記参照
2 誤
弱電解質AのpKaは4.0である。
3 正
弱酸性電解質の溶解度CsとpHの関係は以下の式で表される。
Cs=分子形の溶解度×(1+10pH-pKa
設問の図より分子形の溶解度は0.1 mg/mLであることから、25℃におけるpH6.0、pH7.0のときの弱電解質Aの溶解度を以下のように求めることができる。
<pH6.0の溶解度>
Cs=0.1×(1+106-4)=10.1 mg/mL
<pH7.0の溶解度>
Cs=0.1×(1+107-4)=100.1 mg/mL
上記のことから、25℃において、pH7.0のときの弱電解質Aの溶解度は、pH6.0のときの溶解度の約10倍になると予想される。
4 誤
解説3と同様に25 °CにおけるpH1.0、pH2.0のときの弱電解質Aの溶解度を以下のように求めることができる。
<pH1.0の溶解度>
Cs=0.1×(1+101-4)≒0.1 mg/mL
<pH2.0の溶解度>
Cs=0.1×(1+102-4)≒0.1 mg/mL
上記のことから、25℃において、pH1.0のときの弱電解質Aの溶解度は、pH2.0のときの溶解度とほぼ同じになると予想される。
5 誤
25℃におけるpH5.5における溶解度を以下のように求めることができる。
<pH5.5の溶解度>
Cs=0.1×(1+105.5-4)=0.1×(1+101×101/2)≒3.3 mg/mL
上記のことから、25℃において、弱電解質A 5 mgを水1 mLに分散させたとき、pH5.5では一部溶解せず、固体として存在すると予想される。

イソバイド(イソソルビド)

名称

商品名:イソバイド
一般名:イソソルビド


剤形、規格

シロップ:70%

本剤には、500mL瓶と携帯しやすくした分包品(20mL、23mL、30mL)がある。

構造


薬効分類

経口浸透圧利尿・メニエール病改善剤


薬効薬理・作用機序

イソソルビドは、体内でほとんど代謝を受けないため、濃厚液を大量に投与すると、血液の浸透圧が上昇し、組織中の水分を血液中に移動させる。また、腎糸球体で容易にろ過され、糸球体ろ過量(GFR)を増加させるとともに尿細管で再吸収されないため、尿細管腔内の浸透圧が上昇し、水の再吸収が抑制される。その結果、電解質及び水の排泄が増加し、組織中の水分量が減少するため、頭蓋内圧や眼圧が低下する 。

イソソルビドは、内耳の血管条、内リンパ嚢、内リンパ管に作用して内リンパ圧を降下させる。
イソソルビドは、血管条の辺縁細胞内に移行し、細胞内浸透圧を高める結果、内リンパとの間に浸透圧勾配が生じ内リンパを吸収する。

メニエール病に対するイソソルビドの作用
メニエール病の原因は、内リンパ水腫(内リンパの水ぶくれ)であるとされている。
イソソルビドは、内リンパ液を細胞に移行させる作用を有するため、内リンパ水腫改善作用(メニエール病改善作用)を示すとされている。
現在、本剤はメニエール病の治療に主に用いられており、メニール病診療ガイドラインにも本剤の使用について記載されている。

適応症、服用方法、使用方法

1. 脳腫瘍時の脳圧降下、頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下、腎・尿管結石時の利尿、緑内障の眼圧降下
通常成人1日量70〜140mLを2〜3回に分けて経口投与する。症状により適宜増量する。
必要によって冷水で2倍程度に希釈して経口投与する。

2. メニエール病
メニエール病の場合には、1日体重当り1.5〜2.0mL/kgを標準用量とし、通常成人1日量90〜120mLを毎食後3回に分けて経口投与する。症状により適宜増減する。
必要によって冷水で2倍程度に希釈して経口投与する。

イソバイドシロップを快適に服用する方法
イソバイドシロップの味は、甘みと苦味が混じっていることから非常に飲みにくいとされています。
イソバイドを快適に飲む方法として、「一気に流し込んで他の飲み物を飲む方法」「舌にオブラートをおき味を感じにくくして飲む方法」などがあります。

使用できない場合(禁忌)

1.本剤及び本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

2.急性頭蓋内血腫のある患者
〔急性頭蓋内血腫を疑われる患者に、頭蓋内血腫の存在を確認することなく本剤を投与した場合、脳圧により、一時止血していたものが、頭蓋内圧の減少とともに再び出血し始めることもあるので、出血源を処理し、再出血のおそれのないことを確認しない限り本剤を投与しないこと。〕


副作用

<主な副作用>
嘔気、悪心、下痢、嘔吐等

<重大な副作用>
ショック、アナフィラキシー様症状


(注意事項)
作成日時の時点における医薬品情報を使用して作成しております。
医薬品を使用する前には、必ず最新の添付文書を確認するようにしてください。

第104回薬剤師国家試験 問166

第104回薬剤師国家試験 問166

以下に示す薬物代謝反応のうち、第I相代謝反応はどれか。2つ選べ。

 

 

 

 

 

 


解答
4、5


解説
1 誤
サリチル酸のグルクロン酸抱合反応(第Ⅱ相反応)である。
2 誤
イソプレナリンの硫酸抱合反応(第Ⅱ相反応)である。
3 誤
イソニアジドのアセチル抱合反応(第Ⅱ相反応)である。
4 正
プロカインの加水分解反応(第Ⅰ相反応)である。
5 正
フェニトインの酸化反応(第I相反応)である。

第104回薬剤師国家試験 問165

第104回薬剤師国家試験 問165

ある薬物のアルブミンに対する結合定数を、平衡透析法を用いて測定した。半透膜で隔てた2つの透析セルの一方に0.6 mmol/Lのアルブミン溶液を加え、他方には0.6 mmol/Lの薬物溶液を同容積加えた。平衡状態に達したとき、アルブミン溶液中の薬物濃度は0.4 mmol/L、他方の薬物濃度は0.2 mmol/Lであった。薬物の結合定数K(L/mmol)に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、アルブミン1分子当たりの薬物の結合部位数を1とし、薬物及びアルブミンは容器や膜に吸着しないものとする。

1 2.5
2 3.3
3 5.0
4 6.6
5 10

 

 

 

 

 

 


解答
1


解説
 アルブミンと薬物が1:1で結合する場合、結合定数Kは以下の式より求めることができる。よって、平衡透析法により、[Df]:遊離型薬物濃度、[DP]:結合型薬物濃度、[Pf]:遊離型アルブミン濃度を求めることができれば、その結果より、結合定数Kを求めることが可能となる。

平衡到達後、両セルの遊離型薬物濃度は等しくなるため、両セルの遊離薬物濃度は0.2 mmol/Lとなる。また、薬物の全濃度は0.6 mmol/Lであるため、結合型薬物濃度は薬物の全濃度と遊離型薬物濃度の差である0.2 mmol/L(0.6 mmol/L-0.2 mmol-0.2 mmol)となる。
アルブミン1分子に対して薬物が1分子結合することから、結合型タンパク質濃度は結合型薬物濃度と等しくなる。そのため、遊離型のアルブミン質は、0.6 mmol(全アルブミン濃度)-0.2 mmol/L=0.4 mmol/Lとなる。
これらのことからこの薬物の結合定数Kは以下のように求めることができる。