◉名称、化学構造
一般名:レボフロキサシン水和物
商品名:クラビット
◉分類
ニューキノロン系抗菌薬
◉効能・効果
【適応菌種】
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、結核菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
【適応症】
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頸管炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、肺結核及びその他の結核症、Q熱
◉薬理作用
本剤は、ラセミ体であるオフロキサシンの一方の光学活性S体であるレボフロキサシンの水和物を含有するニューキノロン系経口抗菌製剤で、細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVに作用し、DNA複製を阻害する。
DNAジャイレース及びトポイソメラーゼIV阻害活性はオフロキサシンの約2倍の強さである。
◉使用する際の注意
【効能共通】
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる。
- 意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明する。
- 大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導する。
【肺結核及びその他の結核症】
- 他の抗結核薬との併用により、重篤な肝機能障害があらわれることがあるので、併用する場合は定期的に肝機能検査を行う。
- 本剤を含む抗結核薬による治療で、薬剤逆説反応を認めることがある。治療開始後に、既存の結核の悪化又は結核症状の新規発現を認めた場合は、薬剤感受性試験等に基づき投与継続の可否を判断する。
◉相互作用
◉薬物動態学的相互作用の要因
- アルミニウムまたはマグネシウム含有の制酸剤、鉄剤との併用により、キレートが形成され、本剤の吸収が低下する。
- 本剤がワルファリンの代謝酵素を阻害することやタンパク置換を起こすことによりワルファリンの作用が増強する。
◉薬力学的相互作用の要因
- フェニル酢酸系、プロピオン酸系非ステロイド性抗炎症薬との併用により、中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強され、中枢性のけいれんが現れる。
- QT延長を起こす薬剤との併用により、QT延長作用が相加的に増加する。
- 副腎皮質ホルモン剤との併用により、腱障害のリスクが増大する。
◉副作用
◉主な副作用
発疹、不眠、めまい、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、腹部不快感、食欲不振、消化不良など
◉重大な副作用[初期症状]
ショック、アナフィラキシー
[紅斑、寒気、呼吸困難、顔面蒼白、冷汗]中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群
[発熱、紅斑、水疱、びらん] 痙攣
[筋肉が発作的に収縮する]QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)
[胸痛、動悸、胸部不快感]急性腎障害、間質性腎炎
[発熱、全身倦怠感、尿量減少、手足や顔のむくみ]劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
[吐き気、嘔吐、食欲不振、倦怠感、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる]汎血球減少症、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少 発熱、のどの痛み、全身倦怠感、出血傾向(歯ぐきの出血、鼻血、皮下出血など)]
[間質性肺炎、好酸球性肺炎
[発熱、から咳、呼吸困難] 偽膜性大腸炎などの血便を伴う重篤な大腸炎
[腹痛、頻回の下痢、吐き気]横紋筋融解症
[筋肉痛、脱力感、赤褐色尿]低血糖
[発汗、動悸、脱力感] アキレス腱炎、腱断裂などの腱障害
[腱周辺の痛み、浮腫、発赤]錯乱、せん妄、抑うつなどの精神症状
[考えがまとまらない、時間や場所などが理解できない、話の筋や行動がまとまらない]過敏性血管炎
[発熱、関節痛、紫斑]重症筋無力症の悪化
[上まぶたの下垂、複視(物が重なって見える)、運動時の筋肉の疲労感]大動脈瘤、大動脈解離
[しわがれ声、飲み込みにくい、胸部や背部の痛み、息苦しい]末梢神経障害
[四肢のしびれ、筋力低下、痛み]
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