◉名称、化学構造
名称:クラリスロマイシン
◉代表的な製剤
クラリシッド錠/小児用錠/DS
クラリス錠/小児用錠/DS
◉分類
マクロライド系抗生物質
◉効能・効果
[200mg錠]
○一般感染症
〈適応菌種〉
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ属、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属
〈適応症〉
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頸管炎、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
○非結核性抗酸菌症
〈適応菌種〉
本剤に感性のマイコバクテリウム属
〈適応症〉
マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症
を含む非結核性抗酸菌症
○ヘリコバクター・ピロリ感染症
〈適応菌種〉
本剤に感性のヘリコバクター・ピロリ
〈適応症〉
胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
◉薬理作用
細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、蛋白合成を阻害する。
◉使用する際の注意
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる。
- 血小板減少、汎血球減少、溶血性貧血、白血球減少、無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行う。
- 「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与する。
- 特発性血小板減少性紫斑病に対しては、ガイドライン等を参照し、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療が適切と判断される症例にのみ除菌治療を行う。
- ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に用いる際には、ヘリコバクター・ピロリが陽性であること及び内視鏡検査によりヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であることを確認する。
- QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室細動をおこすことがあるため、QT延長等の心疾患のある患者、低カリウム血症のある患者は特に注意する。
- 肝機能障害患者で、肝機能障害を悪化させるおそれがあるため、肝機能障害患者に投与する際、特に注意する。
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が安全性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
(動物実験で、母動物に毒性が現れる高用量において、胎児毒性が報告されている。)
◉相互作用
本剤は主としてCYP3Aにより代謝される。また、本剤はCYP3A、P-糖蛋白質(P-gp)を阻害する。
- ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒロドエルゴタミンメシル酸塩、スボレキサント、タダラフィル、チカグレロル、イブルチニブ、アスナプレビル、ダグラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(用量漸増期)、ルラシドン塩酸塩、アナモレリン塩酸塩(併用禁忌)
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、代謝が阻害され血中濃度が上昇する可能性がある - ジゴキシン
本剤の腸内細菌叢に対する影響によりジゴキシンの不活化が抑制される、P糖蛋白質を介したジゴキシンの輸送が阻害されることで血中濃度が上昇することがある。 - スルホニル尿素系血糖降下剤
低血糖が報告されている。 - カルバマゼピン、テオフィリン、アミノフィリン水和物、シクロスポリン、タクロリムス水和物、エベロニムス、アトルバスタチン、シンバスタチン、コルヒチン、ベンゾジアゼピン系薬剤(CYP3Aで代謝される薬剤)、クエチアピン、アリピプラゾール、ブロナンセリン、ジソピラミド、トルバプタン、エプレレノン、カルシウム拮抗剤、リオシグアト、ジエノゲスト、シルデナフィル、ワルファリンカリウム、ドセタキセル、アベマシクリブ、オキシコドン塩酸塩水和物、フェンタニル、フェンタニルクエン酸塩、ベトネクラクス(維持投与期)
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により代謝が阻害される。 - アピキサバン、リバーロキサバン
本剤のCYP3A、P糖蛋白質に対する阻害作用により代謝、排泄が阻害される。 - ダビガトランエテキシラート、エドキサバントシル酸塩水和物
本剤のP糖蛋白質阻害作用により排泄が阻害される。 - イトラコナゾール、HIVプロテアーゼ阻害剤
本剤と上記薬剤によるCYP3Aに対する阻害さようにより、相互に代謝が阻害される。 - リファブチン、エトラビリン
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により代謝が阻害される。また、上記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が誘導される。 - リファンピシン、エファビレンツ、ネビラピン
上記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。 - 天然ケイ酸アルミニウムゲル
本剤の吸収が低下するとの報告がある。
◉副作用
◉主な副作用
腹痛、下痢、発疹、幻覚、失見当識(場所、時間、名前などが判らない)、意識障害、せん妄、躁病(上機嫌、興奮しやすい、活動的になる)、耳鳴、聴力低下、嗅覚異常、口腔内びらん、歯牙変色、振戦(手足の震え)、しびれ(感)、カンジダ症(外性器などに発疹・ただれ・かゆみ、口内炎、嚥下困難)、動悸、筋肉痛、低血糖など
◉重大な副作用
・ショック、アナフィラキシー
[呼吸困難、筋肉が発作的に収縮する状態、全身のかゆみを伴った発赤]
・QT延長、心室頻拍、心室細動
[胸がどきどきする、胸部不快感、胸痛]
・劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全
[全身倦怠感、食欲不振、皮膚や結膜などの黄染(黄色くなる)]
・血小板減少、汎血球減少、溶血性貧血、白血球減少、無顆粒球症
[全身倦怠感、頭痛、鼻血・歯ぐきの出血]
・皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、多形紅斑
[皮膚の赤い発疹、水疱、眼球結膜の充血]
・偽膜性大腸炎、出血性大腸炎
[腹痛、頻回の下痢]
・横紋筋融解症
[筋肉痛、脱力感、CK上昇、ミオグロビン上昇]
・薬剤性過敏症症候群
[リンパの腫れ、発疹、発熱、白血球増加]
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