ビタミンAは、脂溶性ビタミンの一種で、主に視覚機能、成長促進、免疫機能、皮膚や粘膜の健康維持に重要な役割を果たす。
1. 形態と種類
ビタミンAには以下の形態があります:
- レチノール(活性型ビタミンA)
- 動物性食品に含まれる形態。体内で直接利用可能。
- レチナール(視覚に関与)
- 視細胞で光受容に関与する。
- レチノイン酸(遺伝子調節に関与)
- 細胞分化や成長の調節。
- プロビタミンA(カロテノイド)
- 植物性食品に含まれる形態(例:β-カロテン)。体内で必要に応じてレチノールに変換される。
2. 生理的役割
2.1 視覚機能
- ロドプシンの構成成分
ビタミンA(レチナール)は、網膜の視細胞内でロドプシンという光受容タンパク質の構成要素として機能する。これにより暗い場所での視覚(暗順応)を手助けする。
2.2 皮膚や粘膜の健康維持
- 上皮細胞の分化と保護
ビタミンAは、皮膚や消化器官、呼吸器、泌尿器などの粘膜の健康を保ち、感染症のリスクを低減する。
2.3 成長と発達
- 細胞分化の促進
レチノイン酸は、遺伝子の発現調節を介して、細胞の分化や発育をサポートする。
2.4 免疫機能の向上
- 免疫細胞の活性化
ビタミンAは、免疫細胞(T細胞やB細胞)の正常な働きを維持し、感染症の予防に寄与する。
3. 食品中の主な含有源
動物性食品(レチノール)
- レバー(特に鶏や牛)
- 卵黄
- バター
- 魚類(ウナギ、サケなど)
植物性食品(プロビタミンA:β-カロテン)
- 緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)
- 果物(マンゴー、パパイヤ、アプリコットなど)
4. 不足と過剰摂取
ビタミンA不足
- 原因:
- 栄養不良。
- 脂肪吸収障害(例:胆汁うっ滞性疾患、膵臓疾患)。
- 症状:
- 夜盲症(暗い場所での視力低下)。
- 乾燥性角結膜炎(目の乾燥)。
- 皮膚や粘膜の乾燥、感染症のリスク増加。
ビタミンA過剰症
- 原因:動物性食品やサプリメントの過剰摂取。
- 症状:
- 急性:頭痛、めまい、嘔吐。
- 慢性:骨痛、皮膚乾燥、肝機能障害、出生異常(妊婦の場合)。
※β-カロテン(プロビタミンA)は安全性が高く、過剰摂取による毒性はありませんが、皮膚が黄色くなることがある(カロチン血症)。
5. 臨床的利用
- 目の健康:ビタミンAサプリメントは夜盲症や乾燥性角結膜炎の治療に使用される。
- 栄養補助:発展途上国ではビタミンA欠乏症の予防としてサプリメント投与が行われている。





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