こんにちは。本講義では、「酵素内蔵型受容体(enzyme-linked receptors)」について学びます。
このタイプの受容体は、細胞膜を1回だけ貫通する構造を持ち、細胞内に酵素活性領域を持つのが最大の特徴です。
1. 酵素内蔵型受容体とは?
細胞外のリガンド(ホルモンやサイトカインなど)が受容体に結合すると、細胞内の酵素活性領域が活性化し、さまざまな細胞内シグナルが伝達されます。構造上、以下の3つに大別されます。
種類 | 活性ドメイン | 代表 |
---|---|---|
チロシンキナーゼ型 | チロシンリン酸化酵素 | インスリン受容体、EGFR、VEGFR |
細胞質チロシンキナーゼ結合型 | 受容体に結合する細胞質キナーゼが活性化 | インターフェロン、サイトカイン受容体 |
セリン/スレオニンキナーゼ型 | セリン/スレオニンをリン酸化 | TGF-β受容体など |
2. チロシンキナーゼ型受容体のメカニズム
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代表例:インスリン受容体、EGFR(上皮増殖因子受容体)
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機構
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リガンド結合で受容体が二量体化
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自己リン酸化によりチロシンキナーゼ活性がON
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細胞内タンパク質(IRSなど)をリン酸化 → シグナル伝達へ
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🔍 インスリン受容体の場合
βサブユニットのチロシンキナーゼが活性化
IRS(insulin receptor substrate)をリン酸化
GLUT(グルコース輸送担体)が細胞膜に移動 → 血糖降下作用
3. 細胞質チロシンキナーゼと結合する受容体
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代表例:サイトカイン受容体(インターフェロン、インターロイキン)
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特徴
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自身には酵素活性がなく、結合するJAK(Janus kinase)などの細胞質酵素が活性化
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活性化されたJAKがSTATをリン酸化 → 転写活性
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4. セリン/スレオニンキナーゼ活性を持つ受容体
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代表例:TGF-β受容体
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機構
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リガンド結合でセリンスレオニンキナーゼが活性化
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Smadタンパク質がリン酸化され、核へ移行して転写制御を行う
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発生・免疫・組織修復などに関与
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5. グアニル酸シクラーゼ関連受容体:ANP受容体
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代表例:心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体
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特徴
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細胞膜に内在するグアニル酸シクラーゼ活性領域を持つ
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ANPが結合するとGTPからcGMPを生成
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生成されたcGMPが作用し、利尿作用・血圧低下作用を発揮
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6. 語呂で覚える!
インターで ぬすんだ チロル を いじでも 1回 口に いんする
インター:インターフェロン・インターロイキン
ヌス:ヤヌスキナーゼ
チロル:チロシンキナーゼ
イジ:EGFR・VEGFR
1回:膜1回貫通
インス:インスリン受容体
まとめ
種類 | 活性部位 | 代表的受容体 | 作用 |
---|---|---|---|
チロシンキナーゼ内蔵型 | 受容体自身 | インスリン、EGFR | 細胞増殖・代謝 |
チロシンキナーゼ結合型 | 結合するJAKなど | インターロイキン、インターフェロン | 免疫応答 |
セリン/スレオニンキナーゼ型 | 受容体自身 | TGF-β受容体 | 細胞分化・転写調節 |
グアニル酸シクラーゼ型 | 受容体自身 | ANP受容体 | 利尿、血圧低下 |
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