臭化エチジウム(Ethidium Bromide, EtBr)は、DNAやRNAに対して強い親和性を持つ蛍光性の化学物質である。主に分子生物学の実験で、核酸を可視化するための染色剤として広く使用されている。
1. 基本情報
- 化学式: C21H20BrN3
- 分子量: 約394.31 g/mol
- 性質:
- オレンジ色の結晶性粉末。
- 水やエタノールに可溶。
- 紫外線を当てると蛍光を発する。
2. 用途
臭化エチジウムは、主に分子生物学や遺伝学の研究において以下の用途で使用される。
2.1 核酸の可視化
- DNA・RNA染色:
- 電気泳動後のアガロースゲルやポリアクリルアミドゲルで、DNAまたはRNAを可視化するために使用される。
- DNAやRNAと相互作用することで蛍光を発し、紫外線照射下で観察が可能となる。
2.2 核酸量の確認
- 核酸の濃度や存在を簡易的に確認する目的で利用される。
3. 作用機構
- 臭化エチジウムは、インターカレーション(intercalation)と呼ばれる機構でDNAの二重らせん構造に挟み込まれる。
- この作用により、DNAの構造に軽微な変化を与えつつ、蛍光強度を増大させる。
- フリー状態の臭化エチジウムは弱い蛍光を示しますが、DNAやRNAと結合すると蛍光が顕著に強くなる。
4. 応用例
4.1 電気泳動による核酸解析
- DNA断片の分離やPCR産物の確認に利用される。
- 電気泳動のゲルに臭化エチジウムを混入させるか、泳動後にゲルを染色する。
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