65歳男性。一過性脳虚血発作と診断され、血栓・塞栓の治療のため以下の薬剤が処方された。
問220 (実務)
本薬剤の服用にあたり、患者に対する服薬指導として適切でないのはどれか。1つ選べ。
- 服用開始後2ヶ月間は、定期的に検査を行う必要があるので、原則として2週間に1回受診してください。
- 発熱、倦怠感などの症状が現れた場合には、服用を中止し、直ちに医師又は薬剤師に連絡してください。
- 手術や歯の治療を受ける場合、この薬を飲んでいることを医師又は歯科医師に伝えてください。
- この薬の服用期間中は、市販のクロレラ食品や青汁の摂取を避けて下さい。
- 風邪などで他の薬を薬局で購入する場合は、この薬を飲んでいることを薬剤師に伝えてください。
解答・解説
解答
4
解説
1 正しい
本剤服用開始後2ヶ月以内に血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、重篤な肝障害等の重大な副作用が発現し、死に至る例も報告されていることから、本剤服用開始後2ヶ月間は原則として2週間に1回受診し、血液検査及び肝機能検査を行うこととされている。
2 正しい
本剤の副作用である血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、重篤な肝障害では症状として発熱、倦怠感などを呈することがある。よって、本剤服用中にこれらの症状が現れた場合には、服用を中止し、直ちに医師又は薬剤師に連絡する必要がある。
3 正しい
本剤は血小板凝集抑制剤であることから手術や歯の治療を受ける場合は、予め本剤服用中の旨を医師又は歯科医師に伝える必要がある。
4 誤っている
本剤とクロレラ食品や青汁の相互作用は特に知られていない。なお、クロレラ食品や青汁によって作用が減弱するため摂取を避けるべき医薬品は、ワルファリンである。
5 正しい
風邪などの症状に頻用される一般用医薬品には、アスピリン等が含まれていることが多く、チクロピジン塩酸塩と相互作用を起こす可能性がある。よって、風邪などで他の薬を薬局で購入する場合は、本剤服用中であることを薬剤師に伝える必要がある。
問221 (物理・化学・生物)
脳梗塞の発症に関連する血小板の活性化及び血液凝固に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 血小板の活性化により、顆粒に含まれているプロスタグランジンI2が放出される。
- アデノシン二リン酸は、血小板のGタンパク質共役型受容体を刺激して、アデニル酸シクラーゼを活性化する。
- セロトニンは、ホスホリパーゼCの活性化を介して、血小板の凝集を抑制する。
- プロトロンビンから変換されたトロンビンは、フィブリノーゲンからフィブリンを形成する。
- プロトロンビンの生合成過程には、ビタミンK依存的な反応が含まれる。
解答・解説
解答
4、5
解説
1 誤
血小板の活性化により、顆粒に含まれているトロンボキサンA2、セロトニン、アデノシン二リン酸(ADP)が放出される。なお、プロスタグランジンI2は、血管内皮細胞より放出される。
2 誤
ADPは、血小板のADP受容体(Giタンパク質共役型受容体)を刺激して、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する。
3 誤
セロトニンは、血小板の5−HT2受容体(Gqタンパク質共役型受容体)を刺激し、ホスホリパーゼCの活性化を介して血小板の凝集を促進する。
4 正
プロトロンビンから変換されたトロンビンは、フィブリノーゲンからフィブリンを形成する。
5 正
プロトロンビンの生合成過程では、プロトロンビン前駆体(デスカルボキシプロトロンビン)のグルタミン酸残基が、肝臓においてビタミンK依存的にγ—カルボキシ化される。
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