3歳男児。急性白血病で化学療法を施行中であるが、感染症治療のため、以下の処方せんが発行された。


問200 (実務)
この処方せんの疑義照会について、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ノルフロキサシン小児用錠は粉砕投与できない。
- スクラルファート細粒と同時投与するとノルフロキサシン小児用錠の効果が減弱することがある。
- イトラコナゾール内用液はノルフロキサシン小児用錠と併用禁忌なので、テルビナフィン塩酸塩錠へ変更すべきである。
- イトラコナゾール内用液は空腹時の服用が推奨される。
- アセトアミノフェンシロップはノルフロキサシン小児用錠の効果を増強させる。
解答・解説
解答
2、4
解説
1 誤
ノルフロキサシン小児用錠は、苦味や吸湿性を軽減するためにフィルムコーティングが施されている錠剤であり、吸湿性や苦味などに問題がなければ粉砕することが可能である。
2 正
ノルフロキサシン小児用錠とスクラルファート細粒を併用すると、スクラルファートに含まれているアルミニウムとノルフロキサシンが不溶性のキレートを形成し、ノルフロキサシンの消化管からの吸収性が低下する。
3 誤
イトラコナゾール内用液はノルフロキサシン小児用錠と併用禁忌ではない。そのため、イトラコナゾール内用液をテルビナフィン塩酸塩錠に変更する必要はない。
4 正
イトラコナゾールは脂溶性が高く、弱塩基性薬物であることから、溶解させるためには、食事による胆汁酸の分泌及び胃酸の分泌を必要とする。そのため、イトラコナゾール固形状製剤は、食直後に服用することとなっている。一方、イトラコナゾール内用液には、溶解補助剤として塩酸が含まれており、消化管内で溶解しやすいように設計されている。よって、イトラコナゾール内用液は、空腹時の服用が推奨される。
5 誤
アセトアミノフェンシロップがノルフロキサシン小児用錠の効果を増強させるという報告はない。
問201 (物理・化学・生物)
以下の表は、処方された薬物の物性を示したものである。薬物間相互作用が予想される組合せはどれか。2つ選べ。

解答・解説
解答
1、4
解説
処方されている医薬品の物性を以下に示す。
・ノルフロキサシン
カルボン酸とアミンを持つことから、両性化合物である(pKaが2つある)。
白から微黄色の結晶粉末。
・スクラルファート
構造に硫酸アルミニウム塩を持つことから、酸性度が高い(pKaが低い)。
・イトラコナゾール
脂溶性が高い(分配係数が大きい)。
・アセトアミノフェン
フェノール性水酸基を持つことから、非常に酸性度が低い(pKaが高い)。
上記より、選択肢1:スクラルファート、選択肢2:イトラコナゾール、選択肢3:アセトアミノフェン、選択肢4:ノルフロキサシンである。
本患者に処方された医薬品の中で、薬物間相互作用が予想される医薬品の組合せは、スクラルファート(選択肢1)とノルフロキサシン(選択肢4)である。
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