第98回薬剤師国家試験 問302〜303

68歳男性。身長160 cm、体重50 kg。2年前に大腸がんの手術を受けたが、再発を認めたため、以下の処方(FOLFIRI)にて治療を受けることになった。

(処方1)
点滴静注 グラニセトロン塩酸塩注射液(3 mg/バイアル 1本) 3 mg     
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液(6.6 mg/アンプル 1本)6.6 mg
生理食塩液 100 mL
主管より約15分間で注入
(処方2)
点滴静注 レボホリナートカルシウム注射用
(100 mg/バイアル 3本) 300 mg
5%ブドウ糖注射液 250 mL
主管より約120分間で注入
(処方3)
点滴静注 イリノテカン塩酸塩水和物注射液
(100 mg/バイアル 2本、40 mg/バイアル 1本) 225 mg
5%ブドウ糖注射液 250 mL
側管より約90分間で注入
(処方4)
点滴静注 フルオロウラシル注射液(250 mg/アンプル 3本) 600 mg
生理食塩液 50 mL
主管より5分以内で注入
(処方5)
点滴静注 フルオロウラシル注射液
(1000 mg/バイアル 3本、250 mg/アンプル 3本)3,600 mg
生理食塩液 158 mL
約46時間で注入

問302 (実務)
この処方に関する記述のうち、適切なのはどれか。1つ選べ。

 処方1は、インフュージョンリアクション(infusion reaction)の予防のために使用する。
 処方2は、処方3の薬剤の効果を高めるために使用する。
 処方3は、アルコールを含有しているため、アルコールに敏感な患者には使用しない。
 処方4は、ルアーチップタイプの注射器を用いて混合•調製することが適切である。
 処方5は、携帯型ディスポーザブル注入ポンプを用いることにより、入院しなくても実施ができる。

 

 

 


解説

1 誤
処方1は、FOLFIRI療法実施中に現れる悪心・嘔吐の予防のために使用する。
2 誤
処方2は、処方4、5の薬剤の効果を高めるために使用する。
3 誤
処方3の添加剤や溶媒には、アルコールは含まれていない。
4 誤
処方4のような抗悪性腫瘍薬は、注射針の脱落を防止するため、ルアーロックタイプの注射器を用いて混合・調製する必要がある。
5 正
携帯型ディスポーザブル注入ポンプとは、一定速度で薬物を注入できる装置のことであり、この装置を用いると、患者自身が自宅で処方5を投与することができる。


解答

5


問303 (薬剤)
この患者において、UDP−グルクロン酸転移酵素(UGT)の遺伝子多型検査をした結果、UGT1A1*6のホモ接合体であったため、FOLFOX6に処方を変更することにした。正しいのはどれか。1つ選べ。

 グラニセトロン塩酸塩注射液をパロノセトロン塩酸塩注射液に変更
 グラニセトロン塩酸塩注射液をアプレピタントカプセルに変更
 イリノテカン塩酸塩水和物注射液をオキサリプラチン注射液に変更
 イリノテカン塩酸塩水和物注射液をエピルビシン塩酸塩注射液に変更
 フルオロウラシル注射液をシタラビン注射液に変更
 フルオロウラシル注射液をメトトレキサート注射液に変更

 

 

 


解説

イリノテカンは、体内でカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN−38)に変換される。SN−38は、主に肝の代謝酵素であるUDP−グルクロン酸転移酵素(UGT)の一分子種であるUGT1A1によりグルクロン酸抱合され、SN−38のグルクロン酸抱合体(SN−38G)となり、主に胆汁中に排泄される。
UGT1A1には、UGT1A1*6UGT1A1*28などの遺伝子多型が存在し、UGT1A1*6もしくはUGT1A1*28の遺伝子多型を有する患者では、SN−38の代謝が遅延する傾向にある。
これらのことから、UGT1A1*6のホモ接合体である患者に対しては、イリノテカン塩酸塩を投与することができないため、イリノテカン塩酸塩をオキサリプラチンに変更したFOLFOX6療法が行われる。


解答

3

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