一部の遺伝子疾患は新生児マススクリーニングにより診断され、早期に適切な治療を行うことができる。一方、成長後に発症することで明らかになる遺伝子疾患もある。
問230 (衛生)
新生児マススクリーニングに関する記述について、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 先天性代謝異常等検査ともいう。
- 対象疾患には、血友病が含まれる。
- 検体には、生後約1週目に採取した尿が用いられる。
- 検査には、公費負担制度がある。
- 対象は、発見頻度が非常に低い(数百万人に1人程度の)疾患である。
解答・解説
解答
1、4
解説
1 正
新生児マススクリーニングは、別名先天性代謝異常等検査ともいわれる。
2 誤
新生児マススクリーニングの対象疾患は、フェニルケトン尿症、メイプルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース尿症、先天性副腎過形成症、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)であり、対象疾患には、血友病は含まれていない。
3 誤
検体には、生後5〜7日目の血液が用いられる。
4 正
新生児マススクリーニングには、公費負担制度が導入されている。
5 誤
新生児マススクリーニングの対象疾患の発見頻度は様々であり、最も発見頻度が高いクレチン症で約4000人に1人の頻度で発見される。
問231 (実務)
14歳女児。かつて新生児マススクリーニングで異常は見つからなかった。しかし、肝機能の異常が認められたため精査した結果、遺伝性疾患であるウイルソン病と診断され、以下の薬剤が処方された。
この処方の調剤に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ペニシラミンと酢酸亜鉛水和物を同時に内服すると、作用が減弱するので疑義照会する。
- ピリドキサールリン酸エステル水和物は、酢酸亜鉛水和物の副作用を防止する目的で使用することを患者に説明する。
- 酢酸亜鉛水和物は、ウイルソン病の病態として生じる吸収低下による亜鉛欠乏の改善を目的として使用することを患者に説明する。
- 貧血の症状が現れた場合、受診するよう患者に説明する。
解答・解説
解答
1、4
解説
1 正
ペニシラミンは、重金属とキレートを形成し重金属の吸収を阻害する作用を有するため、ペニシラミンと酢酸亜鉛水和物を同時に服用すると亜鉛の吸収が阻害され、酢酸亜鉛水和物の作用が減弱する。本処方ではペニシラミンと酢酸亜鉛が同時に処方されているため、疑義照会する必要がある。
2 誤
ペニシラミンは、ビタミンB6の吸収を阻害するため、ペニシラミン服用によるビタミンB6の不足を防止する目的で、ピリドキサールリン酸エステル水和物が使用されている。
3 誤
酢酸亜鉛水和物は、腸管細胞でのメタロチオネインの生成を誘導し、腸管での銅の吸収を抑制するため、酢酸亜鉛水和物は、ウイルソン病に効果を示す。
4 正
ペニシラミンは、重大な副作用として白血球減少症、無顆粒球症、顆粒球減少症、血小板減少症、再生不良性貧血を起こすことがあるため、貧血の症状が現れた場合は、受診するように患者に説明する。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 第98回 問230〜231 […]