70歳男性。数日前から続く腹痛を伴う下痢を訴えて受診した。
問290 (実務)
この患者に対する治療薬として、最も不適切なのはどれか。1つ選べ。
- ロペラミド塩酸塩
- ブチルスコポラミン臭化物
- ピコスルフアートナトリウム水和物
- ビフィズス菌製剤
- タンニン酸アルブミン
解答・解説
解答
3
解説
本患者は腹痛を伴う下痢を訴えて受診している。そのため、本患者に対する治療薬として、最も不適切なのは大腸刺激性下剤であるピコスルファートナトリウムである。なお、ロペラミド塩酸塩、タンニン酸アルブミン、ブチルスコポラミン臭化物は止瀉薬、ビフィズス菌は整腸薬として本患者に用いられる可能性がある。
問291 (病態・薬物治療)
この患者は、翌日から水様便となり、下痢が止まらず再度受診した。このとき初めて「下痢症状を発現する前に生肉を摂っていた」ことを告げた。以下の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 細菌性食中毒では、急性胃腸炎の症状を示す。
- 血液から分離した菌のベロ毒素の産生について検査し診断する。
- 溶血性尿毒症症候群や脳症を併発することがある。
- 水分及び電解質の補給には、市販の「スポーツ飲料水」も用いられる。
- 消化管運動を抑制する薬剤は用いない。
解答・解説
解答
2
解説
設問に「下痢症状を発現する前に生肉を摂っていたこと」とあることから、本患者の症状の原因は、感染性胃腸炎であると考えられる。また、選択肢の内容より、本患者は腸管出血性大腸炎に罹患していると考えられる。
1 正しい
細菌性食中毒では、一般に急性胃腸炎の症状(下痢、腹痛、発熱など)を示す。
2 誤っている
腸管出血性大腸菌の感染の有無については、糞便から分離した菌のベロ毒素の産生について検査し診断する。
3 正しい
腸管出血性大腸炎では、溶血性尿毒症症候群や脳症を併発することがある。
4 正しい
感染性胃腸炎により引き起された下痢により、水分及び電解質が不足した場合には、市販の「スポーツ飲料水」が用いられる。
5 正しい
消化管運動を抑制する薬剤は、毒素の排泄を遅延させ、症状を悪化させるおそれがあるため用いるべきではない。
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[…] 第97回 問290〜291 […]