第97回薬剤師国家試験

第97回薬剤師国家試験 問270〜271

第97回薬剤師国家試験 問270〜271

入院中の糖尿病患者の喀痰よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出されたため、バンコマイシン塩酸塩注射液を投与することとなった。

問270 (実務)
この治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 副作用として視力障害が現れることがあるので、観察を十分に行うとともに、患者に対して目がかすむ等を感じた場合はすぐに連絡するように説明した。
 急性腎不全等の重篤な腎障害が現れることがあるので、投与中は腎機能検査値に注意することを医師に提案した。
 ヒスタミン遊離によるレッドネック症候群を引き起こすことがあるため、60分以上かけて点滴静注するように医師に情報提供した。
 時間依存型の殺菌効果を示すため、有効血中濃度を長時間維持することが必要である。

 

 

 

 

 

解答・解説

解答
2、3

解説
1 誤
バンコマイシン塩酸塩は、副作用として、視力障害を起こすとの報告はされていない。なお、バンコマイシン塩酸塩は、副作用として、第8脳神経障害(目眩、耳鳴、聴力低下など)を起こすことがある。
2 正
バンコマイシン塩酸塩は、副作用として、急性腎不全、間質性腎炎を起こすことがある。そのため、バンコマイシン塩酸塩投与中は、腎機能検査値に注意する必要がある。
3 正
バンコマイシン塩酸塩注射液を急速に投与するとヒスタミン遊離に起因するレッドネック症候群(顔、頸の紅班性充血、そう痒等)や血圧低下等の副作用を起こすことがあるため、60分以上かけて点滴静注する。
4 誤
バンコマイシン塩酸塩は、時間依存型の殺菌効果を示すため、長時間有効血中濃度を維持することで高い殺菌効果を示す。しかし、バンコマイシン塩酸塩は、有効血中濃度域と副作用域がとても近く、長時間高い血中濃度を維持すると、腎障害などの副作用が現れやすくなる。よって、バンコマイシン塩酸塩を投与する際は、一時的に血中濃度を低くする必要がある。


問271 (薬剤)
この患者に、バンコマイシン塩酸塩1 gを点滴静注して血清中濃度を測定したところ、投与終了3時間後に28.3 µg/mL、11時間後に6.9 µg/mLであった。バンコマイシンの消失速度定数(h1)に最も近い値はどれか。1つ選べ。

 0.2
 0.4
 0.6
 0.8
 1.0

 

 

 

 

 

解答・解説

解答
1

解説
点滴投与終了後、バンコマイシンの血清中濃度は、1次反応に従って減少する。
本設問では、「血清中濃度を測定したところ、投与終了3時間後に28.3 µg/mL、11時間後に6.9 µg/mLであった」となっていることから、8時間でバンコマイシンの血清中濃度が約1/4に低下したことになる。
1次反応では、血中濃度が1/4になる時間は、半減期×2であることから、バンコマイシンの半減期t1/2は、4 hであることがわかる。
消失速度定数keは、以下の式で表される。

消失速度定数keを以下のように求めることができる。
よって、バンコマイシンの消失速度定数keに最も近い値は、0.2 h1である。

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