40歳女性。高コレステロール血症の改善のため、処方1で治療を行っていたが、治療効果不十分のため、処方2が追加となった。

問216 (実務)
この処方に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 両薬剤の服用時間をずらす必要があるため、医師に疑義照会した。
- 処方の追加により十分な効果が期待できるため、生活習慣の改善努力は必要ないことを患者に伝えた。
- ロスバスタチンカルシウム錠を夕食後に服用することが望ましい理由として、コレステロールの生合成が夜間に亢進するため、より高い効果が期待できることを患者に説明した。
- 両薬剤とも横紋筋融解症のリスクがあるため、患者に筋肉痛や脱力感などの副作用症状に気をつけるよう伝えた。
解答・解説
解答
3、4
解説
1 誤
ロスバスタチンカルシウム錠とエゼチミブ錠を併用する場合、同時に服用しても問題ない。よって、服用時間を変更してもらうために、医師に疑義照会する必要はない。
2 誤
脂質異常症(高コレステロール血症)の治療は、食事療法、運動療法に加えて、薬物療法を行うため、生活習慣(食事、運動など)の改善努力をするように患者に説明する必要がある。
3 正
ロスバスタチンカルシウム錠は、HMG−CoA還元酵素阻害薬であり、コレステロールの生合成を抑制する作用を有する。コレステロールの生合成は夜間に亢進するため、コレステロールの生合成を抑制するロスバスタチンカルシウム錠は夕食後に服用することが望ましい。
4 正
ロスバスタチンカルシウム錠及びエゼチミブ錠は、共に副作用として横紋筋融解症を起こすことがあるため、横紋筋融解症の初期症状(筋肉痛や脱力感など)に気をつけるよう伝える必要がある。
問217 (物理・化学・生物)
コレステロール及びリポタンパク質に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 健常人の血清中で、総コレステロールの50%以上は低密度リポタンパク質(LDL)に含まれる。
- 健常人の血清中では、コレステロールのエステル型は遊離型よりも多く存在する。
- 血中の大部分のコレステロールエステルは、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)により生成される。
- キロミクロンは、主に末梢組織からコレステロールを受け取り肝臓へ運搬する。
- 肝臓では、主にアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)によりコレステロールエステルが生成される。
解答・解説
解答
4
解説
1 正しい
血清中において、総コレステロールの60〜70%は低密度リポタンパク質(LDL)内に存在する。
2 正しい
血清中において、コレステロールの70〜80%はコレステロールエステルとして存在し、一部は遊離型として存在する。
3 正しい
レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は、血漿中の高密度リポタンパク質(HDL)の表面に存在し、レシチンの2位に存在する脂肪酸残基(アシル基)を遊離型コレステロールに転移させる反応を触媒し、コレステロールエステルの生成に関与する。
4 誤っている
キロミクロンは、主に食物由来のトリアシルグリセロールを小腸から各組織に運搬する。なお、主に末梢組織からコレステロールを受け取り肝臓へ運搬するのは、HDLである。
5 正しい
アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)は、肝臓、小腸などの細胞のミクロソーム画分に存在し、遊離型コレステロールに脂肪酸残基(アシル基)を転移させる反応を触媒し、コレステロールエステルの生成に関与する。
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