53歳男性。進行期パーキンソン病の患者。以下の薬剤が処方されている。

問210 (実務)
それぞれの薬剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- カルビドパは、レボドパの消化管吸収を高めるために配合されている。
- エンタカポンは、パーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)を改善する。
- ペルゴリドは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と併用禁忌である。
- アマンタジンは、抗A型インフルエンザ薬としても用いられる。
- セレギリンの服用中は、必ず定期的に心エコー検査を行う。
解答・解説
解答
2、4
動画解説
解説
1 誤
カルビドパは、芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素阻害薬であり、末梢におけるレボドパの代謝を抑制し、レボドパの脳内移行量を増加させる。
2 正
wearing−off現象とは、レボドパの長期投与により、レボドパの効果時間が短縮し、レボドバの効果に日内変動が認められる現象である。wearing−off現象が現れた場合には、レボドパ製剤とCOMT阻害薬であるエンタカポンの併用療法を行うことがある。
3 誤
ペルゴリドメシル酸塩と選択的セロトニン再取り込み阻害薬は併用禁忌ではない。なお、本処方において、選択的セロトニン阻害薬と併用禁忌の薬物は、セレギリン塩酸塩である。
4 正
アマンタジン塩酸塩は、パーキンソン病及びA型インフルエンザに用いられる。
5 誤
セレギリン服用中は、定期的に心エコー検査を行う必要はない。なお、本処方において、定期的に心エコー検査を行う必要がある薬物は、ペルゴリドメシル酸塩である。
問211 (物理・化学・生物)
レボドパとその関連化合物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

- レボドパの名称は(S)−3−(3,4−dihydroxyphenyl)valineである。
- レボドパは副腎皮質でトリプトファンから合成される。
- レボドパが脱炭酸されると、ドパミンが生じる。
- ドパミンのベンジル位がヒドロキシ化されるとアドレナリンが生じる。
- ノルアドレナリン及びアドレナリンを含む一部の生体アミンをフェノールアミンとよぶ。
解答・解説
解答
3
解説
1 誤
レボドパをIUPAC名で表すと、(2S)−2−amino−3−(3,4−dihydroxyphenyl)propanoic acidとなる。
2 誤
レボドパは副腎髄質でL−チロシンから合成される。
3 正
レボドパが脱炭酸されると、ドパミンが生じる。
4 誤
ドパミンのベンジル位がヒドロキシ化されるとノルアドレナリンが生じる。
5 誤
ノルアドレナリン及びアドレナリンなどの生体内アミンは、構造中にカテコール骨格とアミンを有するためカテコールアミンといわれる。