有機化合物A~Dが100mgずつ含まれるジエチルエーテル(エーテル)溶液100mLについて、エーテルと同体積の各水溶液を用いて、分液ロートによる以下の操作を行った。このとき分液操作②によって得られた水層には、有機化合物Dの塩が主に含まれていた。有機化合物A〜Dを分離する分液操作の組合せとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
ア 2mol/L塩酸を用いる分液操作
イ 2mol/LNaOH水溶液を用いる分液操作
ウ 飽和NaHCO3水溶液を用いる分液操作
有機化合物A~Dが100mgずつ含まれるジエチルエーテル(エーテル)溶液100mLについて、エーテルと同体積の各水溶液を用いて、分液ロートによる以下の操作を行った。このとき分液操作②によって得られた水層には、有機化合物Dの塩が主に含まれていた。有機化合物A〜Dを分離する分液操作の組合せとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
ア 2mol/L塩酸を用いる分液操作
イ 2mol/LNaOH水溶液を用いる分液操作
ウ 飽和NaHCO3水溶液を用いる分液操作
解答
6
解説
A:アニソール、B:安息香酸、C:アニリン、D:フェノール
本操作は、酸塩基反応により酸性化合物や塩基性化合物の塩を形成し、水層に移行させることで各化合物を分離している。
分液操作②によって得られた水層には、有機化合物D(フェノール)の塩が主に含まれていたことから、分液操作②ではフェノールが塩を形成するために塩基性の水溶液を用いていると推察できる。フェノールは、炭酸より弱い酸であるため、炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)では反応しない。したがって、フェノールの塩を形成させるには強塩基のNaOHが必要であり、分液操作②では2 mol/L NaOH水溶液が用いられている。一方、有機化合物B(安息香酸)はフェノールより強い酸であり、NaHCO₃と反応して塩を形成できる。このため、分液操作①では飽和NaHCO₃水溶液を用いて安息香酸を塩として水層に移行させることが可能である。また、分液操作③では2 mol/L 塩酸水溶液を用いることで、塩基性物質であるアニリンを塩として水層に移行させることができる。なお、脂溶性が高い中性物質であるアニソールは、分液操作③後のエーテル層に主に含まれる。
以上より、本問における分液操作として最も適切な組合せは、操作①がウ、操作②がイ、操作③がアである。
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