39歳、閉経前女性。身長155cm、体重43kg、体表面積1.38m2、右乳房に腫瘤を触知し、乳腺外科を受診、針生検の結果、T1N1M0のStageⅡAの右乳がんと診断され、入院した。右乳房部分切除術、センチネルリンパ節生検及び腋窩リンパ節郭清を実施した。術後の検査所見は以下のとおりであった。
今回この患者に以下の術後薬物療法を施行することとなった。
問264(実務)
この患者の術後薬物療法に用いられる薬物Aとして、適切なのはどれか。1つ選べ。
- アナストロゾール
- エキセメスタン
- エンザルタミド
- タモキシフェン
- ラパチニブ
問 265(薬理)
処方1又は処方2の薬物の抗がん作用の機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 視床下部のERを刺激して、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌を抑制する。
- 下垂体のGnRH受容体のダウンレギュレーションを起こすことで、ゴナドトロピンの分泌を抑制する。
- 脂肪組織において、アロマターゼを阻害して、エストロゲンの生成を抑制する。
- 乳がん組織のERにおいて、エストロゲンに拮抗する。
- HER2に結合して、乳がん細胞の増殖を抑制する。
問266(実務)
この患者への薬物治療に関して、病棟の症例検討カンファレンスに参加している研修医向けに発表して欲しいと病棟担当薬剤師へ依頼があった。カンファレンスにおける薬剤師の発表内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 処方1の薬剤の服用により子宮体がん(子宮内膜がん)のリスクが高まること があり、本剤投与中及び投与終了後の患者は定期的に検査を行うことが望ましい。
- 処方2の薬剤の投与により、うつ状態が現れることがあり、症状悪化時にはSSRI等の抗うつ薬の追加処方を検討する。
- 処方2の薬剤の投与により、骨疼痛の一過性増悪がみられることがあり、このような症状が現れた場合には、ビスホスホネート製剤の投与を行う。
- 今回の薬物治療に際して患者が妊娠していないことを確認し、また治療期間中は低用量経口避妊薬による避妊法を用いる。
- 今回の薬物治療により骨密度の低下がみられることがあるので、長期にわたり投与する場合は骨密度の検査を実施する。
問267(薬剤)
処方2の製剤に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 乳酸・グリコール酸共重合体が使用されている。
- 高分子で薬物結晶をコーティングしている。
- マトリックスを形成している高分子が分解することにより薬物を放出する。
- 自己乳化型マイクロエマルション製剤である。
- 粉末部の薬剤を液体部の溶液で溶解して使用する製剤である。
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