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第109回薬剤師国家試験 問198〜199

 65歳女性。身長155cm。パート勤務。糖尿病性腎症が進行し、1年前から血液透析が導入された。透析後目標体重(ドライウエイト)43kg、透析間体重増加量平均2.0kg。女性は、週3回透析を受けていたが、透析後に立ちくらみ、ふらつき、倦怠感、脱力感などの血圧低下症状がみられるようになり、最近は透析の翌日まで症状が続くようになった。そのため、透析チームは栄養状態の確認、ドライウエイトの再設定及び透析効率を検討することにした。

問198(物理・化学・生物)

 透析効率の指標に、標準化透析量(Kt/V)がある。Kt/Vは透析前BUNの濃度[BUNpre]と透析後BUNの濃度[BUNpost]の値を用いて次式で計算される。

この患者では、[BUNpre]=80mg/dL、[BUNpost]=10mg/dLであった。このときのKt/Vの値として正しいのはどれか。1つ選べ。
 ただし、ln20.69とし、Kは透析により単位時間あたりに除去された尿素量に対応する血液の容量、tは透析時間、Vは透析された血液の総容量を表すものとする。

  1. 2.07
  2. 1.38
  3. 0.69
  4. 1.38
  5. 2.07

解答・解説

解答

BUNpre]=80mg/dL、[BUNpost]=10mg/dLであり、ln2=0.69であることから、Kt/Vの値を下記のように求めることができる。

問199(実務)

 透析効率を評価した結果、 ドライウエイトの上方修正を行った。しかし、その後も透析後の起立時に収縮期血圧が25mmHg以上低下しており、症状の改善もみられなかった。そのため、医師は透析後の血圧低下を予防するために薬物を投与することにした。予防投与される薬物として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. イソプレナリン塩酸塩
  2. アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物
  3. ジゴキシン
  4. ドロキシドパ
  5. ニトログリセリン

解答・解説

解答

解説
1 誤
イソプレナリン塩酸塩は、アドレナリンβ受容体刺激薬であり、心臓、血管等のアドレナリンβ1及びβ2受容体に非選択的に作用する。本剤は、β1受容体を刺激することで心機能が亢進し、血圧は上昇するが、β2受容体を刺激することで内臓及び骨格筋に存在する血管拡張が拡張するため、平均的な血圧は低下する。

2 誤
アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物は、血管細胞内で加水分解されアデノシンとなり、血管内皮細胞に存在するアデノシンA受容体に作用することで血管拡張作用を示すが、末梢血管収縮作用(血圧上昇作用)を示さない。

3 誤
ジゴキシンは、Na,K-ATPaseを阻害し、Na,Ca2交換系の機能を抑制することで心筋細胞内のCa濃度を上昇させることで強心作用を示す。また、本剤は迷走神経刺激作用により、心拍数を減少させるが、末梢血管収縮作用(血圧上昇作用)を示さない。

4 正
ドロキシドパは、体内でノルアドレナリンに変化し、末梢血管収縮作用(血圧上昇作用)を示すため、透析後の血圧低下を予防する目的で使用される。

5 誤
ニトログリセリンは、一酸化窒素を遊離し、可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化することで血管拡張作用を示すが、末梢血管収縮作用(血圧上昇作用)を示さない。

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