49歳男性。身長162cm、体重50kg。高血圧症治療のため、かかりつけ内科受診中。降圧効果が思わしくないため、大学病院を紹介受診し精査のため入院となった。精査の結果、両側副腎の腫大が認められたが手術適応はなかった。血液検査の結果から、ARR(注)を求めたところ、298であった。
問292(病態・薬物治療)
本症例で、高血圧が持続した場合、合併しやすい病態はどれか。2つ選べ。
- 下垂体腫瘍
- 大動脈解離
- 脳梗塞
- 前立腺がん
- 褐色細胞腫
解答・解説
解答
2、3
解説動画
解説
本患者は、血圧、ARR(アルドステロン濃度/レニン活性比)が高く、K値が低い、また、両側副腎の腫大が認められていることから、副腎腫大に伴う原発性アルドステロン症であると推察される。原発性アルドステロン症に伴う高血圧を放置すると、動脈硬化や血管が脆くなり、脳卒中(脳出血、脳梗塞)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、腎硬化症(腎不全、尿毒症)、大動脈解離等を誘発することがある。
問293(実務)
血圧コントロールのために追加する薬物として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- スピロノラクトン
- ヒドロクロロチアジド
- エプレレノン
- エサキセレノン
- ビソプロロールフマル酸塩
解答・解説
解答
4
解説
本患者は原発性アルドステロン症であると推察されるため、アルドステロンの作用を減弱させる必要がある。また、抗アンドロゲン薬による副作用である女性化乳房を起こしたことがある。これらのことから、ステロイド骨格を有していない抗アンドロゲン薬である「エサキセレノン」を追加する必要がある。なお、スピロノラクトン、エプレレノンは、ステロイド骨格を有する抗アンドロゲン薬であり、副作用として女性化乳房を起こしたことがある場合には用いられない。
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