55 歳女性。159 cm、60 kg。卵巣がんにて、パクリタキセル、カルボプラチン、ベバシズマブを用いた外来化学療法を施行している。来院日の臨床検査値から 判断して、医師はレノグラスチム注100 µgを投与して、以下の処方を追加した。
臨床検査値は、体温37.8℃、白血球数2×103 個/µL、好中球40%(白血球百分率)、血清クレアチニン値 0.64 mg/dL、eGFR 74.0 mL/min/1.73 m2であった。
薬剤師はこの処方に疑義を抱いた。薬剤師が行う処方提案として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠100 mgを1回1錠、1日2回朝夕食後にする。
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠100 mgを1回1錠、1日1回朝食後にする。
- レボフロキサシン錠250 mgを1回1錠、1日1回朝食後にする。
- レボフロキサシン錠500 mgを1回1錠、1日1回朝食後にする。
- シプロフロキサシン塩酸塩錠100 mgを1回2錠、1日2回朝夕食後にする。
解答・解説
解答
4、5
解説
本症例では、がん化学療法に伴い、37.5℃以上の発熱及び好中球の減少(白血球数2000×0.4=好中球数:800/µL)が認められていることから、がん化学療法による骨髄抑制に伴う発熱性好中球減少症(FN:febrile neutropenia)を起こしている可能性がある。
<FNの定義>
好中球数が500/µL未満、または1000/µL未満で48時間以内に500/µL未満に減少すると予測される状態でかつ腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱を生じた場合を発熱性好中球減少症(FN:febrile neutropenia)と定義する。
FNを起こしている可能性がある場合、FNを悪化させないために、ニューキノロン系抗菌薬の経口投与が推奨されていることから、本患者に対して、ニューキノロン系抗菌薬の経口投与する必要がある。
本患者はeGFRが74.0 mL/min/1.73 m2であることから、腎機能は正常である。このことから、本患者に対してニューキノロン系抗菌薬を減量することなく、使用することが可能であるため、「レボフロキサシン錠500 mgを1回1錠、1日1回朝食後にする。」「シプロフロキサシン塩酸塩錠100 mgを1回2錠、1日2回朝夕食後にする。」と処方変更を提案することが適切であると考えられる。
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