32歳女性。難治性の多発性骨髄腫のため、治療を目的に入院してサリドマイド製剤を服用する予定である。サリドマイドは、過去に薬害を引き起こした薬物である。
問312(実務)
病棟でのサリドマイド製剤の取扱いについて誤っているのはどれか。1つ選べ。
- サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)を遵守する。
- 製薬会社に登録した医師のみが処方する。
- 入院中、本剤は患者の自己管理とする。
- 本剤の服用開始4週間前から本剤服用中止4週間後までは、妊娠を避けさせる。
- 本剤の管理上の責任を担う薬剤師を、製薬会社に登録する。
解答・解説
解答
3
解説
1 正しい
サリドマイド製剤の製造販売・管理・使用するにあたっては、サイドマイド製剤安全管理手順TERMS(Thalidomide Education and Risk Management System)を遵守する必要がある。
サリドマイドは、過去に四肢奇形などの重度の先天異常や胎児死亡(薬害)を引き越したことがある。そのため、サリドマイドによる薬害を二度と繰り返さないようサリドマイドの使用と管理について厳重に監視するとともに、サリドマイドを必要とする患者に適正に使用されることを目的とし、医療従事者向けの「サイドマイド製剤安全管理手順TERMS(Thalidomide Education and Risk Management System)」が作成された。
2 正しい
3 誤っている
患者が入院した場合、医師、薬剤師等の医療従事者又はその他適切に薬剤管理を行うことのできる者が、処方医師及び責任薬剤師と協力して、カプセルシートを用いて調剤された本剤の数量管理を行う。
4 正しい
妊娠する可能性のある女性については、本剤服用開始4週間前から本剤服用中止4週間後まで妊娠を回避する必要がある。なお、男性は、本剤服用開始時から本剤服用中止4週間後まで妊娠を回避する必要がある。
5 正しい
問313(法規・制度・倫理)
医薬品の安全対策の充実には、幾つかの薬害が関わっている。サリドマイドが引き起こした薬害が契機となって整備された制度として適切なのはどれか。1つ選べ。
- 副作用報告制度
- 再審査制度
- 医薬品リスク管理計画制
- 感染症定期報告制度
- 市販直後調査制度
解答・解説
解答
1
解説
サリドマイドが引き起こした薬害が契機となって整備された制度は、副作用報告制度である。なお、再審査制度が導入される契機となった薬害は「キノホルムによる亜急性脊髄視神経抹消神経症(SMON)」、感染症定期報告制度が導入される契機となった薬害は「医原性クロイツフェルト・ヤコブ病」である。
コメント