70歳女性。気管支喘息のため吸入療法を行っている。本日、デバイスが異なる吸入剤へ変更したため、医師から薬剤師に吸入指導の依頼があった。薬歴を確認したところ、前回の処方1から処方2へ変更になっていた。
患者に確認したところ、認知機能、視力、聴力及び手指筋力の低下は認められなかった。
問276(実務)
薬剤師がこれまでのデバイスとの吸入方法等の違いを指導するポイントとして適切なのはどれか。2つ選べ。
- 使用前によく振る。
- 吸入直前に息を強く吐き出してから吸い込む。
- できるだけ速く吸い込む。
- 噴霧と吸気のタイミングが合わないときにはスペーサーを使用する。
- 吸入後にそのまま3〜4秒程度息を止める。
解答・解説
解答
1、4
解説
本症例では、吸入粉末剤であるアドエア250ディスカス60吸入(処方1)から吸入エアゾール剤であるアドエア125エアゾール120吸入(処方2)に処方が変更されている。各デバイスの吸入方法等が異なることから、その違いを指導する必要がある。
1 正
処方1は使用する前に振る必要はないが、処方2は使用する前によく振る必要がある。
2 誤
両デバイスとも、吸入する前には無理をしない程度に息を吐く。
3 誤
処方1はできるだけ勢いよく速く吸い込む必要があるが、処方2は噴霧するタイミングと吸入のタイミングを合わせてゆっくり吸い込む。
4 正
処方1は吸入粉末剤であり噴霧剤を使用せず、吸気によりエアゾールを発生させるため、タイミングを気にせず吸入することができる。それに対して処方2は噴霧剤とともに有効成分を噴霧するため、噴霧するタイミングと吸入するタイミングを合わせる必要がある。これらのことから、処方1ではスペーサー(吸入補助具)を使用することはないが、処方2では噴霧と吸気のタイミングが合わないときにはスペーサーを使用することがある。
5 誤
両デバイスとも、吸入後にそのまま3〜4秒程度息を止める。
問277(薬剤)
処方1と処方2の製剤の特徴に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 処方1の製剤は、吸入量が一定となるように調製された固体粒子のエアゾールとして吸入する製剤である。
- 処方1の製剤は、薬物の固体粒子が液状媒体に懸濁した状態で吸入器に充てんされた製剤である。
- 処方1の製剤は、容器に充てんした噴射剤と共に、一定量の有効成分を噴霧する定量噴霧式吸入剤である。
- 処方2の製剤には、密閉容器が用いられる。
- 処方2の製剤は、薬剤を含むエアゾール缶、定量バルブとアクチュエーター等から構成される。
解答・解説
解答
1、5
解説
1 正
アドエアディスカスは、吸入量が一定となるように調製された固体粒子エアゾール剤である。
2 誤
吸入用懸濁剤に関する記述である。
3 誤
吸入エアゾールに関する記述である。
4 誤
エアゾール剤の容器には、通常、耐圧性の密封容器が用いられる。
5 正
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