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第104回薬剤師国家試験 問200〜201(実践問題) 血糖測定器

50歳女性。身長160 cm。体重72 kg。地域の健康フェアで指の穿刺血液による空腹時血糖値と HbA1c 値の測定を行った。測定結果は空腹時血糖値が95 mg/dL、HbA1c 値が5.6%(NGSP値)であった。後日、女性は近隣の薬局に測定結果の相談に訪れた。女性の仕事はデスクワーク中心で、職場までは自家用車で通勤しており、運動不足であった。また、洋菓子と果実ジュースが好きで毎日間食し、ワインを毎晩グラス 1 杯飲んでいた。

 問200(実務)
 相談を受けた薬剤師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 空腹時血糖値が糖尿病の診断基準を超えているので、すぐに受診するよう伝えた。
  2. HbA1c値が糖尿病の診断基準を超えているので、すぐに受診するよう伝えた。
  3. 運動不足を解消するよう助言した。
  4. 間食を少なくするよう助言した。
  5. 食後高血糖の可能性もあるので、今後毎日、食事をした後にHbA1c値を測定することを勧めた。

解答・解説

解答
3、4

解説
本症例では、空腹時血糖値(基準値:70〜110 mg/dL)、HbA1c 値(NGSP値 基準値:4.3〜5.8%)は基準値範囲内にあるが、BMI値(BMI=体重kg÷身長mの2乗=72÷1.6=28.125)は高値を示している。本患者は、空腹時血糖値、HbA1c 値より糖尿病の可能性は低いが、BMI値より肥満Ⅰ度(BMI:25.0以上、30.0未満)に該当する。肥満は糖尿病を誘発する原因となるため、食生活を改善することや運動不足を解消することにより肥満を改善する必要がある。
なお、本患者は、空腹時血糖値、HbA1c 値に問題ないが、食後高血糖の可能性がある。食後高血糖の有無を調べるためには、HbA1c値を測定するのではなく、食後に血糖値を測定することが推奨されている。

問201(物理・化学・生物)
 この健康フェアで行われている血糖値の簡易測定においては、グルコース脱水素酵素あるいはグルコース酸化酵素が用いられており、検出には酵素比色法及び酵素電極法が用いられている。今回用いられている血糖値測定法に関する記述のうち、 正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. グルコース脱水素酵素を用いる血糖値測定法では、マルトースは測定の妨害とならない。
  2. グルコース酸化酵素を用いる血糖値測定法では、酵素反応によって生じた過酸化水素が利用される。
  3. グルコース酸化酵素を用いる酵素比色法では、波長215 nmの光が用いられる。
  4. グルコース脱水素酵素及びグルコース酸化酵素を用いる血糖値測定法では、指に付着した果汁中のグルコースが測定の妨害となる。
  5. 酵素電極法においては、酵素がグルコースと反応した際に酵素自体に生じる電位差変化を検出する。

解答・解説

解答
2、4

解説
1 誤

グルコース脱水素酵素(GDH)法を用いた血糖測定法ではマルトースが測定結果に影響を与え、実際の血糖値よりも高値を示す場合があることが報告されている。インスリン投与が必要な患者においては、インスリンの過量投与につながり低血糖を来すおそれがあるので、マルトースを投与されている患者の血糖値の測定には、マルトースの影響を受ける旨の記載がある血糖測定用試薬及び測定器は使用しないこととされている。

2 正
グルコース酸化酵素を用いるグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ(GOD−POD)比色法では、グルコースにグルコースオキシダーゼ(GOD)を作用させ、生成した過酸化水素をペルオキシダーゼ(POD)の存在下で還元型酵素を反応させる。その結果、生成する赤色色素(波長505〜570 nm)を測定することによりグルコースの濃度を求める。

3 誤
解説2参照

4 正

5 誤
酵素電極法では、グルコースが酵素により酸化還元反応する際に生じる電子を検出する方法であり、酵素自体に電位差変化を検出する方法ではない。

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