68歳男性。肝細胞がんによる肝部分切除後に痛みが出現したため疼痛治療を開始した。1ヶ月前から医療用麻薬が導入され、2週間前に増量された。今回、肝細胞がん再発の治療のため入院となった。緩和ケアチームの薬剤師は、患者へのインタビューにより、「痛みのコントロールは良好だが、2週間ほど前から眠気が強くなり昼間でも傾眠傾向あり」との情報を得た。
<検査データ>
NH3 50 µg/dL、Alb 3.0 g/dL、Na 137 mEq/L、Cl 104 mEq/L、K 5.3 mEq/L、Ca 8.7 mg/dL、
BUN 25 mg/dL、Cr 1.28 mg/dL、Ccr 38.2 mL/min、腹水(-)、脳への転移(-)
問302 (実務)
薬剤師は患者の眠気の原因を考察した結果、モルヒネ硫酸塩水和物から他の鎮痛薬への変更の必要性を医師に相談することにした。薬剤師が推奨すべき薬物として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- フェンタニルクエン酸塩
- プレガバリン
- オキシコドン塩酸塩水和物
- ペンタゾシン
- トラマゾール塩酸塩
問303 (病態・薬物治療)
この患者の病態と薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 他の鎮痛薬へ変更しても、便秘は軽減できない。
- 排泄障害により、モルヒネの血中濃度が上昇し傾眠傾向となっている。
- モルヒネの代謝物が、オピオイド受容体に対する作用増強の原因となっている。
- 鎮痛薬の変更と同時にナロキソンを投与して傾眠を改善させる。
- 腎機能の悪化が、眠気を引き起こすことになった要因として考えられる。