◉名称、化学構造
一般名:ラモトリギン
商品名:ラミクタール
◉分類
抗てんかん剤、双極性障害治療薬
◉効能・効果
- てんかん患者の下記発作に対する単剤療法
部分発作(二次性全般化発作を含む)
強直間代発作
定型欠神発作 - 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法
部分発作(二次性全般化発作を含む)
強直間代発作
Lennox-Gastaut症候群における全般発作 - 双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制
◉薬理作用
Na+チャネルを頻度依存的かつ電位依存的に抑制することによって神経膜を安定化させ、グルタミン酸等の興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することにより抗痙攣作用を示す
◉使用する際の注意
【効能共通】
- 本剤の投与による発疹は斑状・丘疹状にあらわれることが多く、重篤な皮膚障害の発現率は、本剤投与開始から8週間以内に高く、また、バルプロ酸ナトリウムと併用した場合、あるいは小児において高いことが示されているので、本剤の投与にあたっては十分に注意し、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
- 双極性障害患者を含め、うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。また、新たな自傷、気分変動、アカシジア/精神運動不穏等の情動不安定の発現、もしくはこれらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
- 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
- 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
- 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
【各種てんかんの治療】
- てんかん患者では、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、発疹の発現等安全性の観点から直ちに投与を中止しなければならない場合を除き、少なくとも2週間以上かけて徐々に減量するなど慎重に行うこと。
◉相互作用
- バルプロ酸ナトリウム
肝臓におけるグルクロン酸抱合が競合する
本剤の消失半減期が約2倍に延長するとの報告がある - グルクロン酸抱合を誘導する薬
(フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン)
肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される - アタザナビル+リトナビル
肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される - カルバマゼピン
本剤とカルバマゼピンの併用により、めまい、失調、複視、霧視、嘔気等が発現したという報告があり、通常、これらの症状はカルバマゼピンの減量により回復する - リスペリドン
本剤とリスペリドンの併用時には、それぞれ単独投与時に比較して、傾眠の報告が多いとの報告がある - 経口避妊薬
(卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン配合剤)
肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進されるため、本剤の血中濃度が減少したとの報告がある
レボノゲストレルの血中濃度が減少し、血中卵胞刺激ホルモン(FSH)及び黄体形成ホルモン(LH)が上昇し、エストラジオールがわずかに上昇したとの報告がある
◉副作用
◉主な副作用
発疹、傾眠、めまい、頭痛、胃腸障害(吐き気・嘔吐、下痢など)、複視など
◉重大な副作用
・中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜症候群
[発熱、皮膚・粘膜が赤く腫れて発疹や水ぶくれができる、眼球結膜の充血]
・薬剤性過敏症症候群
[発疹、発熱、リンパ節の腫れ]
・再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症
[貧血症状、出血傾向、発熱]
・血球貪食症候群
[発熱、発疹、神経症状(意識の低下・けいれん・異常な行動)]
・肝炎、肝機能障害および黄疸
[全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる]
コメント