定圧過程・定容過程・等温過程・断熱過程の4つの基本過程は、エネルギーのやりとり(熱と仕事)を理解するうえで非常に重要です。
ここでは、熱力学第一法則(ΔU = q + w)を用いて、それぞれの特徴とエネルギー変化を整理します。
① 定圧過程(一定圧力下の変化)
定義
系の圧力が変化しない状態で、熱の出入りがある過程。
特徴
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加えられた熱エネルギー(q)の一部は、系の内部エネルギー(ΔU)として蓄えられ、残りは膨張などによる外部への仕事(w)に使われます。
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w = –pΔV(体積が増えるほど外部への仕事が増える)
エネルギー式:ΔU = q + w = q – pΔV
(ΔU > 0, q > 0, w < 0 の場合:膨張して外に仕事をしている)
② 定容過程(一定体積下の変化)
定義
体積が変化せず、系が熱を受け取る過程。
特徴
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容器の体積が固定されているため、外部への仕事はゼロ(w = 0)
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受け取った熱(q)はすべて内部エネルギー(ΔU)に変換される。
エネルギー式:ΔU = q(w = 0)
(ΔU > 0, q > 0)
③ 等温過程(一定温度下の変化)
定義
系の温度が一定に保たれている状態での変化。
特徴
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温度が一定のため、内部エネルギーは変化しない(ΔU = 0)
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加えた熱エネルギー(q)はすべて外部への仕事(w)として使われる。
エネルギー式:ΔU = 0 → q = –w
(例えば外部に仕事をすると、その分だけ熱を吸収する)
④ 断熱過程(熱の出入りがない変化)
定義
外界との間で熱のやりとりが一切ない過程。
特徴
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q = 0(熱は出入りしない)
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系が行う仕事は、内部エネルギーの減少によってまかなわれる。
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逆に外から圧縮されると、内部エネルギーは増加する。
エネルギー式:ΔU = w(q = 0)
💡補足:熱力学第一法則とは?
熱力学第一法則はエネルギー保存の法則に基づき、以下のように表されます:
ΔU = q + w
-
ΔU:内部エネルギーの変化
-
q:系に出入りする熱
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w:系が外部にした(またはされた)仕事
この式を使えば、どの過程でもエネルギーの流れを論理的に整理できます。
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