可視光線は、電磁波スペクトルの中で人間の目に見える範囲の波長を持つ電磁波のことである。私たちが「光」として認識するものはこの可視光線で、色として感じられる特定の波長範囲内の光である。
1. 可視光線の基本特性
- 波長: 約380ナノメートル(nm)~約780ナノメートル(nm)。
- 色の範囲: 波長によって色が決まり、短波長側は紫色、長波長側は赤色となる。
2. 可視光線の色と波長の対応
| 色 | 波長範囲(nm) | 周波数(THz) |
|---|---|---|
| 紫 | 380 ~ 450 | 668 ~ 789 |
| 青 | 450 ~ 495 | 606 ~ 668 |
| 緑 | 495 ~ 570 | 526 ~ 606 |
| 黄 | 570 ~ 590 | 508 ~ 526 |
| 橙 | 590 ~ 620 | 484 ~ 508 |
| 赤 | 620 ~ 780 | 384 ~ 484 |
3. 可視光線の性質
- 屈折: 可視光線は異なる媒質(空気、水、ガラスなど)を通るときに屈折する。プリズムで光を分散させると虹色が観察できる。
- 反射: 可視光線が物体に当たると、一部が反射し、それが私たちの目に届いて物体の色として認識される。
- 吸収: 物体は特定の波長を吸収し、吸収されなかった波長が反射されて色として見える。
- 直進性: 可視光線は基本的に直進するが、微粒子や分子によって散乱することもある(例:空が青く見える現象)。
4. 可視光線の利用
4.1 日常生活
- 視覚: 可視光線は私たちの目で認識できる唯一の電磁波で、世界を視覚的に理解するのに重要。
- 照明: 白熱電球、蛍光灯、LEDなどの人工光源によって可視光線を生成。
- 色彩: 物体の反射光による色の認識。
4.2 科学と技術
- 分光分析: 可視光線を利用して物質の性質を調べる。
- 光通信: 光ファイバーで可視光線を用いた通信が可能。
- レーザー技術: 可視光線レーザーは測定や加工に利用。
5. 可視光線と自然現象
- 虹: 雨滴で屈折・反射した可視光線が分散して、色の帯が現れる。
- 夕焼け: 太陽光が大気中の粒子で散乱し、赤色が強調されて見える。
- 光の干渉: シャボン玉や薄膜に現れる虹色模様は光の干渉によるもの。
6. 可視光線と他の電磁波との比較
| 種類 | 波長範囲 | 用途 |
|---|---|---|
| 紫外線 | 10 ~ 380 nm | 殺菌灯、日焼け、医療 |
| 可視光線 | 380 ~ 780 nm | 視覚、照明、通信 |
| 赤外線 | 780 nm ~ 1 mm | 暖房、リモコン、医療 |
7. 可視光線と人体
- 安全性: 可視光線は通常、安全な電磁波とされている。
- 目への影響: 高強度の可視光線(例:レーザー光)は目を損傷する可能性がある。
- 生体リズム: 可視光線、特に青色光は体内時計に影響を与え、覚醒や睡眠に関連。




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